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第164話

Author: 小春日和
この舞踏会には一体どんな魔力があるのか、兄さんまでが気にかけているとは。

真奈はさらに不思議に思った。

佐藤茂は普段めったにイベントに出席しないのに、まして弟に代理で出席させるなんて。

なぜ今回は自らバッジを弟に渡したのだろう?しかも身分を明かすなと特別に注意までして。

傍らで真奈の様子を見て取った幸江は、小声で言った。「考えすぎよ。早く行きましょう。遅くなっちゃうわ」

真奈は頷いた。

今はこんなことを考えている場合ではない。

とにかく、佐藤が二人を連れて入場できれば、目的は達成されたことになる。

その頃、冬城グループのオフィスでは、冬城が今日届いたバッジを見つめながら、深い思考に沈んでいた。

中井が言った。「総裁、本日Mグループが仮面舞踏会を開催します。全員仮面着用が義務付けられていて、噂では……最上道央も姿を現すとか。ご確認されますか?」

冬城は眉をひそめた。

Mグループの背後の人物には次の手はないと思っていたが、まさかこんな策を思いついてくるとは。

冬城は言った。「最上道央の身元はまだ分からないのか?」

「はい、個人情報どころか写真一枚も見つかっていません。非常に謎めいた人物です。各企業もMグループの急成長と、この謎めいたオーナーに興味を持って、今回の仮面舞踏会に参加するのではないでしょうか」

中井は少し躊躇してから言った。「総裁、今回は最上道央を調査する絶好の機会です。今日行かなければ、次にこのような機会が訪れるのはいつになるか分かりません」

「真奈はどこだ?」

「奥様でしょうか?それが……」中井は言った。「昨夜お帰りになった後、幸江様と一緒に佐藤家に向かわれたようですが、それ以来お戻りになっていません」

冬城は眉をひそめた。

中井は続けた。「それから、浅井さんの件については既に交渉を始めましたが、佐藤様が断固として許可されず、保釈は難しい状況です。あと数日は拘束されることになりそうです」

冬城は眉間を揉みながら言った。「まずは舞踏会に行こう」

「承知いたしました」

その頃、真奈と幸江は既に着替えを済ませ、派手なメイクを施し、仮面をつけていた。

佐藤の赤い髪は隠しようがなかったため、真奈は気を利かせてマントを用意し、仮面舞踏会で正体がばれないようにした。

舞踏会が始まって一時間、参加者たちは既に酒も回り始めていた
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kyanos
おや冬城、浅井をほっとくの? 真奈が仮面舞踏会で何をするかが気になる。
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