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第215話
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九条薫は急いで家に帰った。本当に、シェリーは元気がなかった。一日中ドッグフードをほとんど食べず、大好きなおやつや おもちゃにも興味を示さなかった。佐藤清はひどく心配していた。「病気じゃないかしら！私も着替えて一緒に動物病院に行きましょう。万が一、大きな病気になったら大変だわ」九条薫はシェリーを抱き上げ、少し考えて言った。「お父さんの体調が良くないから、家に誰もいないわけにはいかないわ。私一人で行く。おばさん、住み込みの介護士を雇おうと思うの。そうすれば、おばさんも少しは楽になるでしょう」佐藤清は少し考えて、「そうね！夜道は気をつけなさい」と言った。九条薫が出かける時、九条大輝が出てきた。彼はシェリーの頭を撫でた。ドアが閉まると、九条大輝は佐藤清に言った。「普段は犬を嫌がっているくせに、いざとなると誰よりも心配するんだな！」佐藤清はキッチンに行って彼に水と薬を持ってきた。しばらくすると、キッチンから声が聞こえてきた。「あなただってそうじゃないの。よく言うよ」九条大輝は笑った............アニマルクリニック。獣医がシェリーを丁寧に診察している間、九条薫は傍で見守っていた。シェリーは彼女にとても懐いていて、頭を彼女の手のひらに 乗せ、黒い瞳でじっと見つめていた。入り口のガラス戸が開き、受付の女性が驚いた声で言った。「藤堂さん！」藤堂さん？九条薫はとても驚き、入り口の方を見ると、やはり藤堂沢が来ていた。彼は深夜に急いで来たようで、服は適当に羽織っただけのように見えた。黒いシャツに黒いズボン、その上に黒い薄手のダウンジャケットを着ていた......それでも、彼は依然としてかっこよく、凛々しかった。藤堂沢は九条薫の隣に歩み寄り、説明した。「登録してある電話番号が俺のだから、お前が診察予約を入れた時、俺にメッセージが届いたんだ」九条薫はうつむいてシェリーを優しく撫でながら、静かに言った。「見て見ぬふりをしてください」彼女の態度は冷淡だった。ところがシェリーは、藤堂沢が来ると甘えた声で2回鳴いた......抱っこしてほしいようだった。藤堂沢はシェリーを優しく撫でながら、さらに低い声で言った。「少し会いたかった」隣の獣医は、あてられたような気分で苦笑いをした。この二人が本当に離婚した
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第217話
そう言うと、彼は反対側から降りて店の中に入った。5分も経たないうちに、藤堂沢はペット用サニタリーパンツの入った袋を持って出てきて、それをトランクに入れた。車に乗り込むと、シェリーの頭を撫でながら、九条薫に言った。「超小型を買ってきた。家に帰ったら着けてやってくれ」九条薫は「うん」と返事をして、顔をそむけて窓の外の景色を見つめた。車が再び走り出すと、藤堂沢はさりげなく彼女に話しかけた。「伊藤夫人から、お前が商売を始めたいと聞いだが......金が足りないのか？足りないなら俺に言え」彼の口調は穏やかだったが、どこか支配的な雰囲気を漂わせていた。九条薫は少し不快感を覚え、冷たい口調で言った。「沢、私のことに干渉しないで」「ただ心配しているだけだ」前方の交差点が赤信号になり、藤堂沢は車を停めた。彼は彼女の方を向き、優しい声で言った。「たとえ離婚したとしても、俺たちは家族のようなものだろ？薫、ただ家族としてお前を心配しているだけなんだ......それもいけないのか？」彼は本当に優しく思いやりがあり、まるで最高の元夫のようだった。しかし、九条薫は彼と何年も一緒に暮らしてきた中で、彼に何度も裏切られ、失望を味わってきた......彼女はこれが男の策略、女の心を揺さぶるための策略であることをよく知っていた。彼女は冷淡に拒絶した。「沢、私たちの間で一番いい関係は、何の関係もないことなのよ」すると、彼女の手を彼に握られた。車内は薄暗く、お互いの顔ははっきりとは見えなかったが、見つめ合った時、二人の瞳の奥に光が見えた。一方は悲しみに濡れた光、もう一方は女に対する男の独占欲に満ちた光。藤堂沢は彼女の手を強く握り、逃がさないようにした。彼は狭くて静かな車内で、秘めた言葉を彼女に囁いた。「薫、俺は後悔している。離婚した後、何人かの女性と食事をしたり、付き合ってみたりもしたが、彼女たちに全く興味が持てず、男としての本能も全く感じなかった......でも、今夜のレストランのトイレで、俺は全てを投げ打ってお前とそこで関係を持ちたいと思った。お前の掠れた、我慢できない声で俺の名前を呼ぶのを聞きたかった。俺のせいで我を忘れてしまうお前の顔を見たかった。俺を愛して欲しい！」九条薫は顔を赤らめたが、平静を装って、「感心したわ。下劣なことを、あんなに上品に言えるなんてね」と返し
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第218話
九条薫が帰宅すると、佐藤清はまだ起きていて、彼女を待っていた。シェリーが生理になったと聞いて、彼女は目を丸くした。「犬にもそういうのあるのね！」九条薫はサニタリーパンツを開封し、シェリーにはかせた。ぴったりだった！サニタリーパンツをはかせてもらったことで、犬としての尊厳が回復したのか、シェリーは少しドッグフードを食べ、水を飲み、寝る時には九条薫の腕に抱かれてスヤスヤと眠っていた......電気を消したが、九条薫はなかなか寝付けず、夜半過ぎにようやくうとうとと眠りについた。......2日後、彼女と小林颯は伊藤夫人が紹介してくれた物件を見に行った。確かにあらゆる面で申し分なく、九条薫はとても気に入った。伊藤夫人を通して、彼女は華茂ビルの黒崎さんに会う約束をした。伊藤夫人は彼女に言った。「この黒崎さんは婿養子で、プライドが高い人だから、その点には気をつけた方がいいわ。それ以外は、とても話しやすい人よ」九条薫は安心して、伊藤夫人に礼を言った。九条薫はこの物件をどうしても手に入れたかったので、誠意を込めて、最高の料亭で食事を共にし、市場価格よりも5%高い金額を提示した。黒崎さんも大変満足していた。彼が契約を承諾しようとしたその時、気を利かせてお茶を注いでいる小林颯が目に入った。黒崎さんは小林颯を知っていた。以前はモデルをしていて、道明寺晋と何年も付き合っていたが、彼が婚約した途端捨てられた......しかも、婚約者に障害を負わされた。黒崎さんは小林颯のようなタイプの女性が好きで、近くで見るとさらに気持ちが抑えきれなくなった。酒が進むにつれ、彼は小林颯にちょっかいを出すようになった。小林颯はもちろん拒否した。彼女が何度も拒むので、黒崎さんは興ざめして、あからさまに言った。「小林さんが今夜、私と一晩過ごしてくれたら、すぐにサインする！サインするだけでなく、1年間の家賃も無料にするんだ！」小林颯の性格なら、平手打ちを食らわせたいところだったが、物件のためぐっと我慢して、「私はそういう女じゃない！」と言った。黒崎さんは冷笑した。彼は小林颯の補聴器を見ながら、皮肉っぽく言った。「そういう女じゃない？道明寺に何度も抱かれたんだろう！俺が抱いてやるって言うんだから感謝しろ！今のあんたみたいな女、誰が相手に
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第219話
伊藤夫人は40歳を過ぎていたが、依然として魅力的で、その流し目は人を惹きつけた。最近、伊藤社長は愛人ができて、長い間彼女とは親密な関係を持っていなかった。今、彼女の流し目に誘われて、思わず近づいて彼女の腰を抱きしめ、関係を持ちたくなった。伊藤夫人は彼の浮気を思い出し、嫌悪感を覚えた。彼女は彼の手に軽く触れ、怒ったふりをした。「昼間なのに、使用人たちが見ているわ！見られたら恥ずかしいでしょう！それに......今日は生理だから、できないわ」伊藤社長は少しがっかりした様子だった。彼はすぐに「会社に用事がある」と言って出て行ったが、伊藤夫人は彼が愛人のところに行くつもりだと分かっていた............九条薫は小林颯に贈り物を渡した。小林颯はとても感動していた。贈り物よりも、伊藤夫人に認められたことが嬉しかった。彼女は九条薫に、ここ数日、黒崎さんが彼女にしつこく付きまとっていて、危害を加えるようなことはないものの、家の近くまで来て迷惑行為をしていると伝えた。九条薫は考え込んで言った。「しつこい男ね！」小林颯は彼女を見て、指示を待っていた。九条薫は彼女をじっと見つめた後、言った。「いい考えがある。彼を諦めさせるだけでなく、物件も手に入れられる方法よ。あなたにできるかどうか次第ね......」小林颯は彼女の手を握り、「私にできないことはないわ！」と言った。九条薫は小林颯に近づき、小声で言った。「黒崎奥様はやり手の女性実業家で、黒崎さんは恐妻家として有名なの！私たちが......そうすれば、彼はもう二度とあなたに付きまとうことはないし、黒崎奥様はあなたのことを見直すでしょう。今後、誰かがあなたの噂話をしたとしても、彼女があなたを守ってくれるわ」小林颯は話を聞いて感心した。九条薫と比べると、自分は考えが単純すぎると感じた。彼女は九条薫の言葉に従い、黒崎さんを拒否するのをやめた。何度かラインでやり取りした後、黒崎さんは頃合いだと判断し、小林颯をホテルに誘った。小林颯は快諾した。黒崎さんはこれが九条薫の仕掛けた罠だとは知る由もなかった。彼は部屋に入るなり、小林颯のワンピースを脱がせようとした。ボタンが外れないので、無理やり破こうとした......彼はすぐにでも彼女の体に触れたくてたまらなかった。小林
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第220話
藤堂沢は、九条薫の姿が見えなくなるまで、長い時間そこにいた。薄暗い車内、彼はスーツ姿で革張りのシートに深く腰掛け、冷徹で気品のある雰囲気を漂わせていた。運転手も黙っていたが、しばらくして慎重に尋ねた。「社長、ご自宅に戻りますか？」藤堂沢が口を開こうとしたその時、携帯電話が鳴った。母親からだった。藤堂沢は電話に出た。携帯電話を握る長く美しい指が目立つ。しかし、彼の口調はどこか冷淡だった。「何だ？」藤堂邸。藤堂夫人は豪華なガウンを着て、高価な錦織のソファに座っていた。彼女の手には、何枚かの写真が握られていた。それは、藤堂沢と九条薫が車の中で、九条薫が犬を抱いている写真だった。藤堂夫人は息子を問い詰めた。「薫と離婚したのなら、あんなに親しくする必要はないでしょう！世間体が悪いし、藤堂家との縁談を望んでいるお嬢様方にどう思われるの？」藤堂沢は体勢を直し、何も言わなかった。藤堂夫人は彼の態度が軟化したと思い、続けた。「あの子たちの中で、私が一番気に入っているのは瞳よ。家柄も容姿も、薫に劣るところはないわ......沢、何を迷っているの？あなたも分かっているでしょう？藤堂グループには社長夫人が必要なのよ」藤堂沢は冷淡な口調で言った。「興味がない」彼は額を軽く揉み、さらに冷たい声で言った。「俺の私事に干渉しないでくれと言ったはずだ」藤堂夫人は腹を立てた。「私はあなたの母親よ！沢、今あなたが薫にどんなに尽くしたところで、気持ちが離れた女は戻ってこないわ。彼女があなたと復縁するはずがない......」藤堂沢が口を開こうとしたその時、電話の向こうが騒がしくなった。「お祖母様......お祖母様......」「奥様、お祖母様が奥様の電話を聞いて、気を失ってしまいました！早く病院へ！」......深夜、藤堂総合病院の特別病室。藤堂老婦人は意識を取り戻していたが、ずっと口を利こうとせず、食事も摂ろうとしなかった。藤堂夫人は気づいていた。藤堂老婦人は、自分を困らせようとしているのだ！ちょうどいい、藤堂夫人も付き添いなんてしたくない。彼女は立ち上がり、服を整えて藤堂沢に言った。「じゃあ、あなたがおばあ様を見ていてちょうだい！私は明日また来るわ」藤堂沢はベッド脇の1人掛けソファに座っていた。スーツのジャケッ
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第221話
夜が更けるにつれ、藤堂沢の心はますます重くなっていった............華茂ビルの一等地、入口付近。約60坪の正方形の物件は、間取りも良く、スイーツショップに最適だった。内装工事中で、施工会社はとても有名で、料金が高いことで知られていた。小林颯と九条薫は一緒に物件をチェックしていた。彼女は計算しながら言った。「年間の賃料が4000万円、内装費が1億円。薫、この店の年間売上高はせいぜい4億円でしょう？一体いつになったら元が取れるのよ？」九条薫は壁を軽く撫でながら、静かに言った。「この店は儲けるためのお店じゃないの。ここで評判を作って、フランチャイズ展開を目指すのよ。有名になれば、加盟店はこんなに良い立地じゃなくても、こんなに広いスペースも必要ないから、コストはかなり抑えられるわ！ただ、品質だけは落としてはダメ。これは私たちがしっかり管理しないとね」小林颯は「へえ」と相槌を打った。彼女にとって、これらの商売の話はちんぷんかんぷんだった。二人が話していると、タクシーが店の前に停まり、藤堂老婦人が降りてきた。彼女の手には、大きな紫檀の宝石箱が抱えられていた。老婦人は可愛がっている孫嫁を見て、鼻の奥がつんとした。彼女は心の中で孫を責めた。夫ととして、どういうつもりだ？離婚したのに、十分なお金も渡さずに、彼女を苦労させているなんて、昨日の夜はもっと殴るべきだった。老婦人の姿を見て、九条薫は呆然とした。しばらくして我に返り、藤堂老婦人に駆け寄って支えた。「おばあ様、どうしてここに？」藤堂老婦人は彼女の手を握り、涙を流しながら言った。「私を騙していたのね！沢は全てを話してくれたわ。あなたたちは離婚したんでしょう？彼は一体何をしたっていうの？どうしてこんなことになってしまったの？」九条薫は過去の出来事を思い出したくなかった。彼女は老婦人を送り返そうとしたが。老婦人は首を横に振り、宝石箱を九条薫に押し付け、涙を拭きながら言った。「私も年だから、いつ何時あの世に旅立つかわからない！これはあなたに持っていて欲しい。一つは沢の母親に渡したくないから、もう一つは私からのささやかな気持ちよ」九条薫はそっと箱を開けた。中には、ヒスイのネックレス、ピンクダイヤモンドのフルセット、最高級のルビーのセット......その他
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第222話
藤堂沢が到着した時には、すでに夕方6時半だった。老婦人は店の前のベンチに座って、小林颯が買ってきてくれたホットドッグを食べていた。藤堂沢が車から降りてくると、「これ美味しいわ。あなたも店を開きなさい」と言った。藤堂沢は呆れながらも、可笑しかった。彼は車のドアを閉めて、老婦人の隣にしゃがみ込み、優しく諭した。「病院から出てきて、どれだけの人がおばあちゃんを探しているか分かっているのか？それなのに、子供みたいに道端でホットドッグを食べているなんて」彼は老婦人のホットドッグを取り上げた。老婦人は不満そうに、ホットドッグを取り返した。「私は孫嫁に会いに来たのよ！」「......」藤堂沢はしばらく老婦人の様子を見つめた後、立ち上がって九条薫と向き合った。二人はそれほど離れていなかったが、すでに離婚した夫婦であり、どこかぎこちなかった。九条薫は宝石箱を藤堂沢に渡した。「おばあ様が持ってこられたものよ。持ち帰ってください」藤堂沢は受け取らなかった。彼は彼女を深く見つめていた。その中には、九条薫には理解できない何かがあった。しばらくして、彼は嗄れた声で言った。「受け取っておけ。おばあ様からの気持ちだ」九条薫は再び彼に箱を押し付けた。「相応しくないわ」「じゃあ、何が相応しいんだ？」藤堂沢は箱ごと彼女を抱き寄せた。九条薫はほとんど彼の腕の中に抱かれている状態で、全く身動きが取れなかった。彼女は顔を上げて彼の目を見つめた。彼の瞳はさらに深く、声は嗄れていた。「薫、教えてくれ。何が相応しいんだ？」老婦人は見ていられなくなり、ホットドッグを一口食べようとして危うく窒息しそうになった。小林颯の心の中で、まるでドラマみたいと、呟いていた。......ようやく、藤堂老婦人は車に乗り込んだ。車に乗り込むと、彼女は再び藤堂沢に小言を言った。「彼女が好きなら、ちゃんと追いかけなさい！チンピラみたいな真似はやめなさい！薫はそんなの喜ばないわ」藤堂沢は身を乗り出して、老婦人にシートベルトを締めてあげた。彼は優しく言った。「分かってる！今、追いかけているところだ」車が走り去ると、小林颯は九条薫に尋ねた。「彼、あなたのこと口説いてるの？まさか犬の看病に付き合うのも口説き文句ってことないよね？沢って、口説き方を何か勘違いしてんじゃ
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翌日、九条薫は藤堂グループ本社ビルへ行った。彼女は宝石箱を田中秘書に渡し、藤堂沢に渡してくれるよう頼んだ。田中秘書は箱を受け取り、少し迷った様子で言った。「社長とお話しになりませんか？ここ数日、社長はあなたのことをずっと気にしているようです」九条薫は微笑んで首を横に振った。「もう離婚したし、話す必要はないわ」彼女が振り返って去っていくのを見て、田中秘書は、どうやら九条さんは、本当にこの恋に決着をつけたようだと心の中で思った。田中秘書は最上階に戻り、宝石箱を藤堂沢に渡した。藤堂沢はそっと箱を撫でながら、静かに尋ねた。「彼女は何か言っていたか？」田中秘書は小さく首を横に振った。「何も......」しばらくして、藤堂沢は静かに言った。「分かった。出て行ってくれ」田中秘書が部屋を出て行くと、藤堂沢はそっと箱を撫でた。離婚後、彼は九条薫に何度も好意を示し、尽くしたが、彼女は全てを拒絶した。彼の気持ちも、贈り物も受け取ろうとしなかった......彼女はきっぱりと彼との関係を断ち切り、全てに区切りをつけたのだ！しかし、彼の方はまだ吹っ切れていなかった。九条薫が去った時、彼の心には涙がこぼれ落ちた。もし彼女をこんなにも恋しく思うと分かっていたら、あの時、プロジェクトではなく、九条薫との結婚を選んだだろう......しかし、人生に「もしも」はない。二人はすでに離婚してしまったのだ！藤堂沢は革張りの椅子にもたれかかり、手で照明を遮った......眩しすぎたからだ。......九条薫は過去にとらわれることなく、仕事と生活に励んでいた。あと半月で兄の裁判が始まる。彼女のお店の内装工事もほぼ終わり、小林颯がミシュランのシェフを3人紹介してくれた。九条薫は彼らの料理を試食してみて、とても満足していた。全てが順調に進んでいた。土曜日の夜、伊藤夫人は自宅でパーティーを開いた。彼女と九条薫は個人的に仲が良かったので、伊藤夫人は九条薫に料理の試食を頼んだ。九条薫は喜んで試食し、「とても美味しいです」と言った。伊藤夫人は新式のチャイナドレスを着て、華やかな雰囲気だった。「香市の銘記の看板料理よ！お客様に特別に味わっていただこうと思って」彼女は九条薫の手の甲を軽く叩きながら、小声で言った。「香市銘記の奥山社長も今夜来る
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九条薫は受け取ろうとしなかった。藤堂沢は軽く笑い、わざと彼女を挑発した。「なんだ、見れないのか？」九条薫は小声で言った。「そんなはずないわ」そう言うと、彼女は藤堂沢から書類を受け取ったが、数行読んだだけで固まってしまった。これは......これは、父が九条グループが倒産する前にサインしたプロジェクトの書類だ。いくつかのプロジェクトは中止・整理され、ニュースにもなった。もしこの書類が世間に知れたら、父は一生刑務所から出られないだろう！彼女の顔は、血の気が引いて真っ白になった。藤堂沢は彼女の考えていることが分かった。彼は彼女の手から書類を取り上げ、ライターで火をつけた。彼の声はとても穏やかだった。「お父さんも騙されて、うっかりサインしてしまっただけだ。彼も被害者だ。この書類は原本しかない。今、燃やしてしまえば、もう何も残らない。お兄さんの裁判が2ヶ月延期になっても、結果は変わらない」書類は、藤堂沢の指先で灰になった......九条薫は呆然としていた。彼女はこれが藤堂沢からの贈り物であることを理解していた。そして、彼がこれを無償で行ったわけではないことも分かっていた。そこで彼女は彼の前に立ち、静かに尋ねた。「沢、あなたは私に何を求めてるの？」藤堂沢は彼女の意図を察した。彼はライターを投げ捨て、ソファにもたれかかり、黒い瞳で彼女をじっと見つめ、率直に言った。「もし、俺がお前と寝たいと言ったら、どうする？」九条薫の唇が震えた......しばらくして、彼女は静かにドレスのファスナーを下ろした。ロングスカートが滑り落ち、ハイヒールの上に積み重なった......細くて白い脚が現れ、恐怖のあまり震えていた。彼女は書斎で起きたあの夜のことを忘れられなかった。藤堂沢に無理矢理されたあの時のことが忘れられない。あの時、彼はまるで鬼のように豹変し、乱暴に彼女を扱った......彼女は彼の手の中で、まるで雑巾のようだった。彼女は声を詰まらせながら言った。「沢、ただ寝るだけ。コンドームを使って」藤堂沢は手を伸ばし、彼女の細い腰に優しく触れた。彼女はすぐに体を震わせた。彼は顔を上げて彼女を見つめ、嗄れた声で言った。「まだあの夜のことを考えているのか？薫、夫婦間でそういうことをするのは普通のことだ。俺はお前を満足させるためな
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パーティーが終わると、伊藤夫人は九条薫を車で送る手配をした。九条薫が車から降りると、黒いランドローバーが家の前に停まっていて、水谷燕が車に寄りかかってタバコを吸っていた。珍しく葉巻ではなく、普通のタバコだった。九条薫が降りてくるのを見ると、彼は近づいてきて書類を渡した。「お兄さんの裁判、公判期日が2ヶ月延期になりました」九条薫は震える手で書類を受け取った。「どうして？」水谷燕は深くタバコを吸い込んだ。「少し調べてみましたが、詳しいことは教えていただけませんでした。九条さん、藤堂社長にお聞きになった方がいいかもしれません。おそらく、彼の方が情報をお持ちでしょう。」彼は少し間を置いて続けた。「法ではどうにもならないこともあります。それは私にはどうしようもございませんが、藤堂社長でしたら簡単に解決できるでしょう」九条薫は顔を上げた。薄暗い街灯の下、彼女の顔は真っ青だった。水谷燕はそれが残酷なことだと分かっていたが、仕方がなかった。権力は常に少数の者が握っている......B市において、藤堂沢の地位と権力は、まさに彼の思い通りになるものだった。九条薫がプライドを捨てさえすれば、何もかもが解決するのだ！彼はタバコの火を消し、振り返って車に乗り込み、去っていった。九条薫は家に入らなかった。父とおばさんに知られるのが怖かった。彼女は震える手で藤堂沢に電話をかけた......深夜、電話が数回鳴った後、彼は電話に出た。声は穏やかだった。「こんな時間にどうしたんだ？」九条薫はしばらく沈黙した後、やっとのことで口を開いた。「お兄さんの裁判、公判期日が2ヶ月延期になった」藤堂沢は静かに「ああ、聞いた」と答えた。「沢、この件は......」藤堂沢は彼女の言葉を遮り、低く優しい声で言った。「この件について話したいのか？それなら直接会って話そう。家で待っている」そう言うと、彼は電話を切った......九条薫は街灯の下に立ち尽くし、体中が震えていた。コートの襟を立てても、体の芯から冷えていくようだった。彼女は馬鹿ではない。藤堂沢がなぜ自分を邸宅に呼び出したのか分かっていた。男が女に、一体何をするというのだ？......九条薫は深夜、邸宅に着いた。車が停まるとすぐに、使用人が駆け寄ってきて丁重に言った。「奥様、社長が
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九条薫は彼女を見送った。ウェイターが通りかかったので、奥山社長はシャンパンを2杯手に取り、九条薫に1杯渡した。彼は思わず九条薫の美しい姿をじっと見つめていた。九条薫は今夜、黒のドレスを着ていた。黒の薄手のぴったりとしたニットに、腰マークされた足首丈のベルベットのロングスカート、黒髪を後ろでまとめて......東洋的な美しさがあった！奥山社長は思わず言った。「九条さんのように美しく、魅力的な女性に会うのは久しぶりです！」九条薫は微笑んで、「褒めすぎですわ、奥山社長」と返した。奥山社長はB市での事業展開を考えていたが、それはすぐにできることではないため、九条薫にこう提案した。「九条さん、香市でビジネスをしてみませんか？私が資金を提供します」九条薫は少し驚いた。奥山社長がこんなことを聞いてくるとは思ってもみなかった。彼女は少し考えて、微笑んで言った。「私の家族は皆B市にいますので、今のところは難しいです」奥山社長は残念そうに思った。彼は40歳に近く、数年前、奥さんを事故で亡くし、それ以来、一人で娘を育ててきた......再婚を考えたこともないわけではなかったが、良い縁がなかった。今夜、彼は九条薫に一目惚れしたのだ。奥山社長は単刀直入に尋ねた。「失礼ですが、九条さんは結婚されていますか？」九条薫は成熟した女性だった。奥山社長が何度も個人的な質問をするので、彼が自分に気があることは分かっていた。もちろん、奥山社長は魅力的な男性だったが、今はそんなことを考えている場合ではなかった。九条薫はシャンパングラスを握り、しばらく黙った後、言った。「一度結婚したのですが、今はまだ立ち直れていません」奥山社長も頭の回転が速い人だった。彼は断られたことを理解し、残念に思ったが、それでも紳士的な態度を崩さなかった......その時、向こうから声が聞こえてきた。「九条さん！」九条薫がそちらを見ると、3、4メートル先に、道明寺晋が立っていた......彼の凛々しい顔は寂しげで、以前とは少し違って見えた。奥山社長は軽く眉を上げた。「九条さん、元ご主人ですか？」九条薫は慌てて言った。「ただの友達です！」奥山社長はシャンパングラスを軽く上げ、配慮した様子で言った。「では、ご友人とお話しください。また後で」九条薫は頷い
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藤堂沢が到着した時には、すでに夕方6時半だった。老婦人は店の前のベンチに座って、小林颯が買ってきてくれたホットドッグを食べていた。藤堂沢が車から降りてくると、「これ美味しいわ。あなたも店を開きなさい」と言った。藤堂沢は呆れながらも、可笑しかった。彼は車のドアを閉めて、老婦人の隣にしゃがみ込み、優しく諭した。「病院から出てきて、どれだけの人がおばあちゃんを探しているか分かっているのか？それなのに、子供みたいに道端でホットドッグを食べているなんて」彼は老婦人のホットドッグを取り上げた。老婦人は不満そうに、ホットドッグを取り返した。「私は孫嫁に会いに来たのよ！」「......」藤堂沢はしばらく老婦人の様子を見つめた後、立ち上がって九条薫と向き合った。二人はそれほど離れていなかったが、すでに離婚した夫婦であり、どこかぎこちなかった。九条薫は宝石箱を藤堂沢に渡した。「おばあ様が持ってこられたものよ。持ち帰ってください」藤堂沢は受け取らなかった。彼は彼女を深く見つめていた。その中には、九条薫には理解できない何かがあった。しばらくして、彼は嗄れた声で言った。「受け取っておけ。おばあ様からの気持ちだ」九条薫は再び彼に箱を押し付けた。「相応しくないわ」「じゃあ、何が相応しいんだ？」藤堂沢は箱ごと彼女を抱き寄せた。九条薫はほとんど彼の腕の中に抱かれている状態で、全く身動きが取れなかった。彼女は顔を上げて彼の目を見つめた。彼の瞳はさらに深く、声は嗄れていた。「薫、教えてくれ。何が相応しいんだ？」老婦人は見ていられなくなり、ホットドッグを一口食べようとして危うく窒息しそうになった。小林颯の心の中で、まるでドラマみたいと、呟いていた。......ようやく、藤堂老婦人は車に乗り込んだ。車に乗り込むと、彼女は再び藤堂沢に小言を言った。「彼女が好きなら、ちゃんと追いかけなさい！チンピラみたいな真似はやめなさい！薫はそんなの喜ばないわ」藤堂沢は身を乗り出して、老婦人にシートベルトを締めてあげた。彼は優しく言った。「分かってる！今、追いかけているところだ」車が走り去ると、小林颯は九条薫に尋ねた。「彼、あなたのこと口説いてるの？まさか犬の看病に付き合うのも口説き文句ってことないよね？沢って、口説き方を何か勘違いしてんじゃ
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第221話
夜が更けるにつれ、藤堂沢の心はますます重くなっていった............華茂ビルの一等地、入口付近。約60坪の正方形の物件は、間取りも良く、スイーツショップに最適だった。内装工事中で、施工会社はとても有名で、料金が高いことで知られていた。小林颯と九条薫は一緒に物件をチェックしていた。彼女は計算しながら言った。「年間の賃料が4000万円、内装費が1億円。薫、この店の年間売上高はせいぜい4億円でしょう？一体いつになったら元が取れるのよ？」九条薫は壁を軽く撫でながら、静かに言った。「この店は儲けるためのお店じゃないの。ここで評判を作って、フランチャイズ展開を目指すのよ。有名になれば、加盟店はこんなに良い立地じゃなくても、こんなに広いスペースも必要ないから、コストはかなり抑えられるわ！ただ、品質だけは落としてはダメ。これは私たちがしっかり管理しないとね」小林颯は「へえ」と相槌を打った。彼女にとって、これらの商売の話はちんぷんかんぷんだった。二人が話していると、タクシーが店の前に停まり、藤堂老婦人が降りてきた。彼女の手には、大きな紫檀の宝石箱が抱えられていた。老婦人は可愛がっている孫嫁を見て、鼻の奥がつんとした。彼女は心の中で孫を責めた。夫ととして、どういうつもりだ？離婚したのに、十分なお金も渡さずに、彼女を苦労させているなんて、昨日の夜はもっと殴るべきだった。老婦人の姿を見て、九条薫は呆然とした。しばらくして我に返り、藤堂老婦人に駆け寄って支えた。「おばあ様、どうしてここに？」藤堂老婦人は彼女の手を握り、涙を流しながら言った。「私を騙していたのね！沢は全てを話してくれたわ。あなたたちは離婚したんでしょう？彼は一体何をしたっていうの？どうしてこんなことになってしまったの？」九条薫は過去の出来事を思い出したくなかった。彼女は老婦人を送り返そうとしたが。老婦人は首を横に振り、宝石箱を九条薫に押し付け、涙を拭きながら言った。「私も年だから、いつ何時あの世に旅立つかわからない！これはあなたに持っていて欲しい。一つは沢の母親に渡したくないから、もう一つは私からのささやかな気持ちよ」九条薫はそっと箱を開けた。中には、ヒスイのネックレス、ピンクダイヤモンドのフルセット、最高級のルビーのセット......その他
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第220話
藤堂沢は、九条薫の姿が見えなくなるまで、長い時間そこにいた。薄暗い車内、彼はスーツ姿で革張りのシートに深く腰掛け、冷徹で気品のある雰囲気を漂わせていた。運転手も黙っていたが、しばらくして慎重に尋ねた。「社長、ご自宅に戻りますか？」藤堂沢が口を開こうとしたその時、携帯電話が鳴った。母親からだった。藤堂沢は電話に出た。携帯電話を握る長く美しい指が目立つ。しかし、彼の口調はどこか冷淡だった。「何だ？」藤堂邸。藤堂夫人は豪華なガウンを着て、高価な錦織のソファに座っていた。彼女の手には、何枚かの写真が握られていた。それは、藤堂沢と九条薫が車の中で、九条薫が犬を抱いている写真だった。藤堂夫人は息子を問い詰めた。「薫と離婚したのなら、あんなに親しくする必要はないでしょう！世間体が悪いし、藤堂家との縁談を望んでいるお嬢様方にどう思われるの？」藤堂沢は体勢を直し、何も言わなかった。藤堂夫人は彼の態度が軟化したと思い、続けた。「あの子たちの中で、私が一番気に入っているのは瞳よ。家柄も容姿も、薫に劣るところはないわ......沢、何を迷っているの？あなたも分かっているでしょう？藤堂グループには社長夫人が必要なのよ」藤堂沢は冷淡な口調で言った。「興味がない」彼は額を軽く揉み、さらに冷たい声で言った。「俺の私事に干渉しないでくれと言ったはずだ」藤堂夫人は腹を立てた。「私はあなたの母親よ！沢、今あなたが薫にどんなに尽くしたところで、気持ちが離れた女は戻ってこないわ。彼女があなたと復縁するはずがない......」藤堂沢が口を開こうとしたその時、電話の向こうが騒がしくなった。「お祖母様......お祖母様......」「奥様、お祖母様が奥様の電話を聞いて、気を失ってしまいました！早く病院へ！」......深夜、藤堂総合病院の特別病室。藤堂老婦人は意識を取り戻していたが、ずっと口を利こうとせず、食事も摂ろうとしなかった。藤堂夫人は気づいていた。藤堂老婦人は、自分を困らせようとしているのだ！ちょうどいい、藤堂夫人も付き添いなんてしたくない。彼女は立ち上がり、服を整えて藤堂沢に言った。「じゃあ、あなたがおばあ様を見ていてちょうだい！私は明日また来るわ」藤堂沢はベッド脇の1人掛けソファに座っていた。スーツのジャケッ
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第219話
伊藤夫人は40歳を過ぎていたが、依然として魅力的で、その流し目は人を惹きつけた。最近、伊藤社長は愛人ができて、長い間彼女とは親密な関係を持っていなかった。今、彼女の流し目に誘われて、思わず近づいて彼女の腰を抱きしめ、関係を持ちたくなった。伊藤夫人は彼の浮気を思い出し、嫌悪感を覚えた。彼女は彼の手に軽く触れ、怒ったふりをした。「昼間なのに、使用人たちが見ているわ！見られたら恥ずかしいでしょう！それに......今日は生理だから、できないわ」伊藤社長は少しがっかりした様子だった。彼はすぐに「会社に用事がある」と言って出て行ったが、伊藤夫人は彼が愛人のところに行くつもりだと分かっていた............九条薫は小林颯に贈り物を渡した。小林颯はとても感動していた。贈り物よりも、伊藤夫人に認められたことが嬉しかった。彼女は九条薫に、ここ数日、黒崎さんが彼女にしつこく付きまとっていて、危害を加えるようなことはないものの、家の近くまで来て迷惑行為をしていると伝えた。九条薫は考え込んで言った。「しつこい男ね！」小林颯は彼女を見て、指示を待っていた。九条薫は彼女をじっと見つめた後、言った。「いい考えがある。彼を諦めさせるだけでなく、物件も手に入れられる方法よ。あなたにできるかどうか次第ね......」小林颯は彼女の手を握り、「私にできないことはないわ！」と言った。九条薫は小林颯に近づき、小声で言った。「黒崎奥様はやり手の女性実業家で、黒崎さんは恐妻家として有名なの！私たちが......そうすれば、彼はもう二度とあなたに付きまとうことはないし、黒崎奥様はあなたのことを見直すでしょう。今後、誰かがあなたの噂話をしたとしても、彼女があなたを守ってくれるわ」小林颯は話を聞いて感心した。九条薫と比べると、自分は考えが単純すぎると感じた。彼女は九条薫の言葉に従い、黒崎さんを拒否するのをやめた。何度かラインでやり取りした後、黒崎さんは頃合いだと判断し、小林颯をホテルに誘った。小林颯は快諾した。黒崎さんはこれが九条薫の仕掛けた罠だとは知る由もなかった。彼は部屋に入るなり、小林颯のワンピースを脱がせようとした。ボタンが外れないので、無理やり破こうとした......彼はすぐにでも彼女の体に触れたくてたまらなかった。小林
