第2話

「私は吉川家に嫁いだ時、持参金として340万円、6軒の店、そして30点以上の金の髪飾りを持ってきたんです。それ全部、あなたたちが借金返済に使いました」

「私が気に入らないなら、それで結構です。全部返してもらえれば、今すぐ家を出て行きます」

親戚たちは驚いた顔をし、「そんなにたくさん？本当なのか？」と声を上げた。

「どうりであなたたちの家が急に裕福になったわけだ。金持ちの嫁をもらったんだな」

姑の顔は青白くなり、「何の借金だ、持参金だ？そんな話、全くのデタラメだ！君たちは彼女の言葉に騙されるな！」と言った。

私は言い返した。「認めなくてもいいですよ。それなら警察署で話しましょうか」

その言葉に、姑の顔が変わり、「このクズ女、あんたが嫁に来た時点で、君はうちの家の人間だ。だから少しくらいお金を使ったって何が悪いんだ！」と言った。

親戚たちはその言葉にうなずき、「みんな同じ家族なんだから、お金は誰のものかなんて分ける必要ないだろう。そんなにケチケチするなよ」と言った。

その時、手術室の扉が開き、夫がストレッチャーで運び出され、病室に入れられた。

姑はすぐに駆け寄り、「うちの息子はどうなったの？」と叫んだ。

前世の私と同じように、夫は両足を切断され、今や障害者になってしまったのだ。

姑の顔は青白くなり、突然私に襲いかかってきて殴ろうとした。「このクソ女！余計なことをして外に出かけなければ、息子がこんなことになるはずがない！」

「君は厄病神だ、汚い女だ。息子が君と結婚したのは本当に不幸だ！」

そう罵り続けた挙句、姑は気絶したふりをした。

私は病室のベッドに横たわる夫の青白い顔と、気絶したふりをする姑を一瞥し、病院を後にして店へ向かった。

手術代は40万円、入院費は1日数千円もかかる。彼らはまだ私からお金を取ろうとしているが、そんなことは許さない。

店の商売が悪化した時、私は他の仕事を探そうとしたが、夫は私に働きに出るよう命じた。

だから今、私は工場で働いていて、毎月必死に働いて残業し、たったの6万円しか稼げない。そのうち１万円だけを生活費として残し、残りは全て夫に持っていかれていた。

私は契約書を持って店に行き、店員たちが居眠りをしているのを見て、彼らに給料を支払い、全員を解雇した。

その時、姑から電話がかかってきた。彼女は鋭い声で、「このクソ女、どこに行ったんだ？早く帰ってきて入院費を払え！」と叫んだ。

私は冷たく、「お金はない」と言い放った。

姑は電話の向こうで冷笑し、命じるように言った。「お金がないなら、先に君の社長から何か月分か前借りしろ。それで払っておけ」

過去にも同じようなことがあったが、最終的に夫と姑は約束を反故にして、「そんなことは言っていない」と言い張った。

結局、毎月2万円の給料を借金の返済に充てることになり、家に渡すお金は2万円少なくなった。

夫は私に問いただした。「家計に1万円もあれば十分だろう。なんでそんなに多く必要なんだ？」

私は借金のことを持ち出したが、夫は首をかしげて、「そんなことあったか？」と言うばかりだった。

姑は私を笑って、「男と浮気してその男にお金を渡してるんじゃないのか？」と言い放った。

今、彼らはまた私にお金を借りさせようとしているが、私は冷たく笑って電話を切った。

店を整え直し、新しいスタッフを雇い、洋服を売っていた店を夜食の店に変えた。

結婚前、私はミルクティーや朝食、夜食の店を経営していて、どれも大繁盛していた。

だが、結婚して数年の間に、店は次々と売られ、業態が変わり、経営はすっかり悪化していた。

私は何度も夫に提案したが、彼は聞く耳を持たず、挙句の果てには「女が男の仕事に口を出すな！」と怒鳴られた。

それ以来、私は何も言わなくなった。

翌日、夫が私に病院へ来るよう呼び出した。

彼は顔色が悪く、弱々しい表情で私の手を握りしめ、目には愛情がたたえられていた。

「さくら、今うちはお金がなくて、このような事態になってしまったんだ。工場からお金を借りてくれないか？」

姑は冷笑し、「このクソ女、昨日は逃げるようにどこかに消えて、まったく恩知らずだ」と言った。

一体、誰が恩知らずなんだろう？

夫は「母さん、さくらにそんなことを言わないでくれ」と叱った。

姑は冷笑したが、それ以上何も言わなかった。

私は手を引き抜き、彼らをじっと見つめた。

二人は息を合わせているだけだ。

昔、どうして夫が私の味方だなんて思っていたのだろう？

ただの「悪玉」と「善玉」を演じて、二人で私をまるで手玉に取っていたにすぎない。

私は冷たく言った。「工場に聞いたけど、借りられないよ。それに、これまでのお金は全部あなたが持っていたじゃない」

夫は眉をひそめ、「その少しのお金じゃ、家計の足しにもならない」と言った。

彼は忘れているのだろう。私が病気になったとき、治療費の数百円を彼に頼んだことを。

その時、彼はこう言った。「ただの発熱だろ。風邪薬を飲めばいいんだ」

「お金を稼ぐのは大変なんだ。数百円だってお金だぞ！」

仕方なく、私は友人に借りるしかなかった。

今、夫は「工場から借りられないなら、君の両親や友達に借りてこい。私たちが返すから」と命じた。

私は笑ってしまった。もちろん返すだろう、私のお金で。

思い返せば、毎月の私の給料は彼の手に渡った瞬間、彼のものになっていた。

以前、急場しのぎで友人に6万円借りたが、一年経っても返してくれず、聞けば「お金がない」と言われるばかりだった。

その時、友人は家を建てる予定があったが、夫はそれにも無関心で、私にはただ「お金がない」としか言わなかった。

私は仕方なく、アルバイトして、毎日疲れ果ててベッドに倒れ込むようにして眠った。

給料日には夫がまたお金を持って行こうとしたが、私はそのお金は友人に返すためのものだと言った。

夫は「お金が貯まったら返すよ」と言い、私たちは喧嘩して、最終的には、私はまた夫にお金を渡し、彼に嫌味を言われた。

お金が貯まった日、彼は私が以前彼に貸したお金を数え、こう言った。「俺が借りたお金は、誰かに催促される前にちゃんと返すんだよ」

そう言って、お金を私に渡し、「これで返してこい」と命じた。

今、親戚たちは誰もお金を貸さないのに、私にばかり頼ろうとしている。

私は彼をじっと見つめ、冷たく言った。「お金なんてない」

夫は驚いた顔をし、私を責めるような目で見て、「お前、変わったな」

姑は怒り出し、「あなたはお金を借りて来ないなら、うちの息子を死なせるつもりか？」と叫び、病室の前にドスンと座り込んで、「神様よ、こんな嫁を迎えたうちの家はどうしたらいいんだ！」と嘆き始めた。

その声はすぐに看護師たちを引き寄せ、「あら、どうしたんですか？」と尋ねられた。

姑は泣きながら言った。「うちの嫁が治療費を払ってくれないんです！」

看護師たちが一斉に私を見つめたので、私は眉を揉んで、「すみません。私の給料は毎月数千円だけ家計に残して、残りはすべて夫に渡しています。もう本当にお金がないんです」と言った。

それを聞いた姑はまたも口汚く罵った。「あんたの給料なんてクソみたいに役にも立たないだろ。お金がないなら借りてこい、見え透いた芝居をするな！」

私は廊下の親戚たちを見て言った。「それなら、どうして親戚に借りないんですか？」

親戚たちはその言葉に慌てて、「家には十何人も養わなければならない人がいるから、本当にお金を貸す余裕がないんだ」と言い残し、すぐに逃げ去ってしまった。

姑は悔しそうに歯ぎしりし、私を憎々しげに睨みつけ、「このクソ女、あんたは本当にひどい奴だ」と言った。

私は看護師に疲れた笑みを浮かべ、「本当にお金がないので、退院の手続きをお願いします」と頼んだ。

「本当に彼を退院させるの？それは彼を殺すことだよ！」

姑は全身を震わせ、私を殴ろうとしたが、今回は看護師に止められた。

私は目を閉じ、無力感にため息をつきながら言った。「でもお金がないんだから、病院に居座るわけにもいきませんよね？」

しばらくして、姑は息子が追い出されるのを恐れ、急いでお金を払いに行った。

その後、私はもう病院へ行くことはなかったが、夫と姑が撮影機材を買い込んだのを知った。

同時に、夫がTik Tokに動画をアップしているのに気づいた。

今回のタイトルは「障害者の妻への愛」から「障害者の日常」に変わり、撮影される対象も私から夫自身に変わっていた。