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last update 最終更新日: 2025-03-03 19:10:23

 この世界には地下迷宮……通称ダンジョンと呼ばれる、ザ・異世界な場所が存在するらしい。漫画やアニメ、ゲームなんかで見たことがある俺の中のダンジョンを勝手に想像しちゃってるんだけどね。

 小、中、大というふうに、ダンジョンはその規模でカテゴリ分けされているのだとか。さらにその上に、世界には4つの奈落と呼ばれる難攻不落な最難関ダンジョンが存在するらしい。

 小ダンジョンは20階層、中ダンジョンは50階層、大ダンジョンは100階層、奈落は200階層以上であるとされており、出現するモンスターはダンジョンの規模に比例して強くなっていく。

 奈落の最下層には、神獣と呼ばれるモンスターが存在するという言い伝えがあると書いてある。

 火を司るバルログ、地を司るベヒーモス、水を司るリヴァイアサン、風を司るフェンリル、これらはドラゴンすら可愛いと思える圧倒的な力を持つ。

 未だ攻略者が居ないはずなのに、何故分かるのかは疑問だけど。誰がこの情報をもたらしたのか、それすらも書かれていない。

 ダンジョンに出現するモンスターは、地上の同一種類よりも強く、経験値も多くもらえる。行けば必ずモンスターがいるので、ダンジョン内では多くの冒険者が狩りをしている。

 ダンジョンのモンスターは、死亡するとすぐに迷宮に吸収されてしまう為、素材の回収は出来ないが、稀にドロップアイテムを落とす。

 地上のモンスターを討伐し、素材や討伐証明をギルドに収めて報酬を得るか、報酬は減るが経験値を重視し、高額なドロップアイテムを狙うか、冒険者によってスタイルが異なる。

 それを選べるようになるのは上級者になってからではあるが。

 冒険者にはランクが存在し、下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリル、オリハルコン級に別れ、ブロンズの3階級など、それぞれのランクに1~5まで階級がある。

 ブロンズ級は初心者、シルバー級は中級者、ゴールド級から上級者というのが一般的な認識だ。

 ランクによって受託できる依頼の難易度が決まっている。一つ上の階級の依頼まで受けることが出来るが、失敗すると賠償金が発生するし、命の危険性もあるため推奨されていない。

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    「ちょっと早く着いちまったか。ヨール、明日の初心者講習でも予約してきたらどうだ?」 人だかりから逃げるようにラシードさんのパン屋を後にした為、約束よりも早くギルドに到着してしまった。「そうですね、予約してきます」 冒険者達は今頃依頼をこなしているのであろう。 朝の喧騒が嘘のようにギルドは静まり返っていた。「あのー、さきほど冒険者登録をしたヨールです。初心者講座を予約したいのですが、次の開催はいつでしょう?」 朝と同じ受付嬢に声をかけた。「はーい。最短ですと、明日の夕方になりますがどうされます?」 感じのいいお姉さんだ。それに美人ときた。冒険者からの人気も高いんだろうな。 お金もそんなに持っているわけじゃないし、講座を受けるのは早いほどいい。「では明日でお願いします。何か準備するものはありますか?」「そういったことも踏まえての初心者講座ですので、手ぶらで構いませんよ。今くらいの時間には来ておいて下さいね」 俺は、なるほどと横手を打って感心した。 一から教えてくれるなんて、ずいぶんと手厚いんだな。せっかく冒険者になってくれた人が、何も分からず無茶をして死んじゃったら大変だもんね。「さて、ギルド長に会いに行こう」「では、ご案内致しますね」 冒険者の数が少なかったからか、受付嬢がギルド長の部屋まで案内してくれた。 予定よりは早いが、何か動きがあったかもしれない。遅れるよりはいい。「エミル殿、丁度良かった! さあ掛けてくれ」 俺達がソファーに座るとギルド長が話を続ける。「調査が終了したよ。森にオークの集落は無かった。しかし、計13頭のオークが見つかってね、何らかの異変が起きているのは間違い無いと思う。例えば、新しいダンジョンが発現する前触れ……とかね。可能性を挙げだしたらキリがないが、しばらくは森のパトロールが必要となりそうだ。ということで、森にあった5頭分のオークの素材を差し引いて、請求は金貨9枚と大銀貨50枚でどうだろうか」

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     メイド服のウエイトレスさんからテラス席に案内され、焼きたてなのか、いい香りのするパンを興奮気味に頬張る。「んーーー! な、な、何これ! ピーの香ばしさが全然違う、この新作のパン、サックリと焼き上げられたピーの香りが素晴らしいよ! そして中のビーフシチューが凄いんだ、パンと一体となるよう具材の大きさが計算され、ホクホクの野菜とよく煮込まれたお肉がホロホロと溶ろけるように混ざり合う」 あまりの美味しさに、思わず感想が口からこぼれてしまう。 ――ザワザワ そんな俺を見て、通りを歩く人が足を止めている。「そうか! 野菜が煮崩れないようお肉と別で煮たんだ! このお肉もハーブと塩のシーズニングに漬け込んでいたのか? いや、それだけじゃない……すりおろした野菜だ、揉み込んであるんだ! シチューのスパイスと肉の漬けダレが味に深みをだしているぞ!」 しかし、食レポコメンテーターと化した俺の口は、勝手に無数の言葉を紡ぎだす。 完成度の高いパンが舌を楽しませてくれている。黙って食べるなんて無理だよ。 ――ザワザワザワ 大はしゃぎしている俺を珍しく思った、通りを歩く人々が観衆となり、俺たちが座るテラス席の周囲には人集りができ始めていた。「おい、あのパン新作らしいぞ!」「あそこのパン評判いいのよね、私も1つお願いしようかしら」「言われてみたらピーのいい香りがするな!」 普通に食事をしているつもりなのだが、いつの間にか客寄せピエロと化していたらしい。 観衆たちがお客さんとなり、次から次に店の中へと入っていく。「ふぁー、このドライフルーツの凝縮された甘味ったら砂糖のそれとは全く違う! 天日でしっかり干しているんだろうな、水分が飛んで芳醇な香りが脳を刺激するようだよ! ん?これは……、お酒だ! 果物のお酒がパンに練り込んであるんだ、これが一層味を引き立たせているのか! おいおい、待ってくれ、ピーの種類がさっきと違うのか? さっきのパンより甘い香りがするぞ! 硬めのパンを噛めば噛むほど口の中が幸せに包まれてい

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