Chapter: 死にそう「いい膝も頂いたことですし、そろそろいきましょうか! レストラン『サルバトーレ』ってところです。」「へー、あそこは人気でかなり並ぶみたいだよ。それと、堅苦しいから敬語はやめようか」 大通りを通ってレストランに向かうと、すれ違う人の視線がイズハさんに集まっている気がする。俺のファッションに釘付けって可能性も否定できないけどね。「クスクスッ……。なぁにあの格好?」「どうせ売れ残りでも掴まされたんじゃないの? 流石にアレはないっしょ?」 こちらを指差してるカップルは間違いなく俺の悪口を言ってるな。 今日の俺はそんな小さな事気にしないよ……と言いたいが、少しは傷つくんだぞ。 馬鹿みたいな格好をしてるのは自覚しているけど。 さて、ここで問題です。手を繋ぐべきでしょうか、繋がないべきでしょうか。 ……答えは簡単! 手を握ろうとしたら人差し指の骨を折られそうになったので、二度と変な真似をしてはいけません!「なあヨール、お前いくつだ?」「そろそろ17歳かなぁ。イズハさんは……いつから冒険者をやってるの?」 危ない危ない。年齢を聞こうとしたら右の拳を握りしめるのが見えた。年齢と体重を聞いた時、俺は死ぬだろう。「あたしは3年くらい前かな? 兄貴と一緒に始めたんだ。居ただろ、青髪のでかいのが。アレがあたしの兄貴。で、あんたは?」「へぇ、ダズさんと兄妹なんだ! あんまり似てないね。俺は1週間くらい前からかな?」「は? そんなんであの赤髪達とダンジョンに潜ったってこと!?」「いや、パトリックさん達は知り合いなだけで俺はソロだったよ。俺が裸で落とし穴からセーフゾーンに落ちた時は、話を作って庇ってくれたんだ。」「な、なおさらおかしいだろ! あたしより弱いのにどうやって……」「まあまあいいじゃない。ちょうど到着したし、続きは店の中で話そうよ!」 サルバトー
Last Updated: 2025-04-16
Chapter: 俺は空気「そうだ、先にお店を決めないとだ!」(デートマスター黒川ともあろうものが、とんでもないミスを犯すところだったぜ。宿に戻る前にレストラン『サルバトーレ』に寄っていこう) デートではないのだが、勝手に盛り上がってしまっている。 太陽の位置的に10時を過ぎたくらいだろう。少し早足で向かう。こういう時は余裕を持って行動しないといけない。デートマスター黒川は余裕のある男なのだから。 30分もかからずレストランに到着した。既にお店の半分近くの席が埋まっている。早速ウエイトレスさんに声をかける。「すみません、マルコスさんはいらっしゃいますか?」「少々お待ち下さい」 ウエイトレスさんは可愛らしく背中のリボンを揺らしながら、店の奥へと入っていった。 しばらくすると、マルコスさんがにこやかに微笑みながらこちらへやってきた。「これはこれはヨール様。今日はどうされましたかな?」「今日お昼をこちらで頂きたいのですが、席の予約はできますか?」「おや、デートですかな? 他でもないヨール様の為ならお安い御用です」「ま、まあそんなところです。お昼の鐘から30分後くらいに伺いますね。コースメニューがあればそれでお願いします!」「かしこまりました。お待ちしております」 これで食事はばっちりだ。小さくガッツポーズをすると、握りしめた拳の辺りを見てふととんでもないことに気がついた。そう、服装だ。 通りを歩く人々の半数以上は同じように村人の服を着ているが、これから行くのは少し敷居の高いレストランである。 冒険者らしく防具を揃えるか、少し質の良い服を買うかで迷ったが、前回サルバトーレに寄る前に買い物をした古着屋に立ち寄ることにした。「すいませーん、イケイケのオシャンな服を下さーい!」 店に入り、店主に服を見繕ってもらう。だんだん緊張してきているため、語彙力が酷いことになっていた。「はい、社交的な場であればこちら、デートなどであればこちらなどいかがでしょうか」 少しごわついた黄ばみがかった白い
Last Updated: 2025-04-15
Chapter: ゴールド「おーい、ヨールっぴー? 大丈夫かーい?」 肩を叩かれているのに気づき、ゆっくりと目を開ける。少し頭がふらふらするが、なんとか生きているようだ。ベッドに寝かされていたようで、心配そうな顔をしたティーダさんに起こされたようだ。なんとか体を起こす。どうやらギルドの医務室にいるらしい。「大丈夫れふ。」 顔の左に違和感がありうまく喋れない。歯の治療で麻酔を注射されたような感覚だ。「ぶひゃーっはっはっは。ヨールっぴの顔、左側だけパンパンに腫れてるよー! パンパンマンじゃーん!」 顔面を強打され、内出血しているのだろう。両頬を手で押さえると、左側だけかなり熱を持って腫れ上がっていた。「笑わないれくらはいよ! ポーション買ってきまふ!」「ぶははははははははは。ヨールっぴは笑いの天才だねー!」 医務室から出ると、青髪の巨人と銀髪の美女が立っていた。「良かった、気がついたか! まさかここまで突き抜けた変態だとは思わなかったぞ!」「あたしに手を出すようなクソガキなんざほっときゃよかったんだ!」「この度は誠に申し訳ありまへんれした。」 心配そうな様子の青髪と鬼のような銀髪に頭を下げた。「だははははははははは。すごい顔だな!」「ぶふっ。ま、まぁその顔に免じて許してやるか!」 右側までパンパンマンにされなくて良かった。許してもらえたみたいだ。セクハラとか痴漢とかでしょっ引かれてもおかしくなかったからな。「本当にごめんらはい。ポーションを買ってきまふ」「「ぶはははははははははは!」」 腹を抱えて笑う2人を背に冒険者の店へ行き、ポーションを2個購入した。 1つ飲むと、腫れがゆっくり引いていく感じがした。左頬に手を当ててみると、熱をもっている様子もなく、まだ少し腫れている気はするが、大分良くなったみたいだ。 早速ギルドに戻り、銀髪の美女に話しかけた。「今日はご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。わざとじゃないんです」「あぁ、もういいよ。笑わせて
Last Updated: 2025-04-14
Chapter: ありがとう(ここは……、ダンジョンの裏かな?) まだ外は暗い。既に数組が拠点を作り、見張りをたてて馬車を待っているようだ。 収納からバッグを出して服を着替え、その人の群れの中に入り、ゴザを引いて膝を抱えるようにして座り、しばし目を瞑って休息を取ることにした。(ステータス) 黒川 夜 レベル:31 属性:闇 HP:2310 MP:90 攻撃力:980 防御力:905 敏捷性:1200 魔力:1855 スキル ・シャドークロー レベル2 ・ダーク レベル2 ・ナイトメア レベル2 魔法 ・レイヴン レベル1(ナイトメア レベル2:最大で5つの対象を瞬時に移動させる。移動距離は対象から半径10メートル以内かつ影が繋がっていなければならない) 攻撃の動作に入った敵を様子見している敵の背後に移動すれば同士討ちが狙えるし、身代わりの術みたいな使い方もできそうだ。 攻撃を避けられた際に相手を遠くに移せばカウンターも食らいにくくなる。かなり有用なスキルになった。 シャドークローによる近接戦闘、レイブンによる遠距離攻撃、ダークによる状態異常、ナイトメアによる瞬間移動とかなりバランスの良いスキル構成に加え、裸になれば同レベルの冒険者の3倍近いステータスとなる。 ボブゴブリンとの戦いで見せた、逃げながらレイヴンを放ち、その追尾性能によりダメージを与えていく戦法を使うことで、素早さの劣る相手であれば負けることはないかもしれない。 今回のダンジョン踏破でゴールド級への昇格条件は達成した。後は依頼をこなしていけば近いうちに上級冒険者になれるだろう。 あれこれ考えていると、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。「さあ、みんな準備だ! そろそろ馬車が来るぞ!」 冒険者の声で目を覚ます。 外はもうすっかり明るい。 帰る準備をして、他の冒険者の後に続くようにダンジョ
Last Updated: 2025-04-13
Chapter: ナマハゲ「悪い子は居ねがー! 階段はねえがー!」 ナマハゲと化したヨルハゲは、疲れなどどこ吹く風とばかりに両手を広げて疾走し、モンスターを見つけては、「言うこど聞がねゴブリンはいねがー!」 と蹂躙を繰り返した。何故ナマハゲをチョイスしたかは気分である。 そろそろナマハゲごっこが飽きてきた時、16階への階段を見つけた。2時間以上は探しただろう。「そろそろヘトヘトだ。早く休みたいよ」 さすがに疲れの色が見えてきたのか、肩を落として溜息を吐く。トボトボとした様子で階段を降りると、先程までと代わり映えのしない16階の景色が視界に広がる。「お花畑とか山岳地帯とか風景が変わってくれると盛り上がるんだけどねー……。セーフゾーンまであと少し、気合入れていきましょ!」 深夜なので叫び声はあげなかったが、あと少しとばかりに更にスピードを上げ、セーフゾーンの明かりを目指して突き進む。30分ほど経っただろうか、ひときわ明るい光の漏れだす通路が見える。(黒川選手、ゴールです!) 着替える事など頭から抜け落ち、ただただ目的地にたどり着いた嬉しさから、ゴールテープを切るようにバンザイしながらセーフゾーンへと飛び込んだ。「は?」 ゴブリン20体、ゴブリンリーダー10体、ゴブリンアーチャー10体、ゴブリンメイジ10体が突如出現した。そう、モンスターハウスだ。「ゲヒャゲヒャ!」「ギヒィギヒィ!」 ゴブリンたちは醜悪な笑みを浮かべ、罠に獲物が飛び込んできたことを心底喜んでいるようだ。 ステータスを確認すると、MPは500を切っていた。「俺を嵌めたのがそんなに嬉しいか……。 怒ったかんなっ!」 慣れていないため、プリプリと可愛らしく怒ると、まるで鬼でも乗り移ったかのように怒気を発し、弾丸のようにモンスターの集団に突撃した。「オラッ! スカタン! おたんこなす!」 聞き慣れない悪口を吐きながら、質量を持った左右の影の爪が、弧を描く
Last Updated: 2025-04-12
Chapter: 走り回る「宝箱じゃーん!」 また行き止まりに宝箱を発見した。 黒川式罠検知術を発動する。「ちょいっとな」 先程まで自分の頭があった場所目掛けて、左の壁から槍が飛び出してきた。「はいはいお見通しでーす」 運良く罠を回避すると、再度黒川式罠検知術を発動した。 するとまた槍が飛び出した。「なるほどねー、宝箱破れたり!」 体を屈めて宝箱の蓋を開けると、頭上で槍が通過した。 宝箱の中には金属製のダガーが入っていた。「刃も綺麗だし、これは高く売れそうだぞ!」 手を叩いて喜ぶと、さらに迷宮の奥へと進んでいく。 分岐を3箇所ほど経て、14階への階段を発見した。「かなり広いや、13階も2時間はかかっていないだろうけど、90分くらいはかかってそうだなー。そうだ!」(ステータス) 黒川 夜 レベル:27 属性:闇 HP:3660 MP:1820 攻撃力:2620 防御力:3090 敏捷性:3975 魔力:5880 スキル ・シャドークロー レベル2 ・ダーク レベル2 ・ナイトメア レベル1 魔法 ・レイヴン レベル1「魔法が増えてる! どれどれ効果はー?」(レイヴン レベル1:対象1体に漆黒の鳥が襲いかかる)「やっぱり1体かー。多数相手には微妙か? とりあえずいっちょ使ってみますかー!」 通路を進むといましたよ、モルモットの皆さんが。ゴブリン2体にアーチャー1体にメイジ3体か。 まだこちらには気付いていないようだ。(レイヴン) 目の前で闇が凝縮するようにカラスを模した鳥となり、バサッと羽ばたくような音がすると、疾風の如き速さで一直線にゴブリンに飛来し、胸を貫き命を奪うと暗闇に溶け込むように消えた。(つええええ…&hell
Last Updated: 2025-04-11
Chapter: 残虐の王ネフィスアルバ 呆然と立ち尽くす俺達の目の前には、かつて山だった物が散らばっている。 山脈が消え去ったことで隠されていた風景が姿を見せ、平になった大地は岩の欠片で埋め尽くされている。コメ:俺たちは何を見せられたんだ?コメ:あれ、山どこいった?コメ:僕もアルちゃんに粉々にされたい!【2万円】コメ:その気になれば世界滅ぼせるだろwコメ:こんな化け物に挑もうとしてたんか勇者ユートルディスは……。コメ:四天王でこれなら魔王どんだけ強いの?w「ママすごーい! お山が無くなっちゃった!」 ナタリアが手を叩いて喜んでいる。 凄いとかそういう次元の話じゃない気がするんだが。「ナタリアちゃん、パパ、少し下がりましょうかっ。ゴミの望みが叶ったようですので、兵隊の皆さんも離れた方がいいと思いますよっ?」 口角を上げて微笑むアルの表情は、氷のように冷ややかな怒りを含んでいた。 瞳の奥に暗い感情が見える。 背中に熱を感じていた俺の体温が氷点下にまで落ちたような寒気を感じた。 アルが斜面を下り始めたので、俺とナタリアもそれにならう。 アルの迫力に気圧され、兵士達も俺達の後に続く。 ランデルだけが瓦礫の山を見つめていた。「ん?」※ん? 足元が揺れた気がした。 いや、やっぱり地面が震えている。 一歩一歩大地を踏みしめる足が振動を感じ取っている。 気になって立ち止まると、その違和感が音となって現れた。 遥か後方からいくつもの爆発音が聞こえる。 それは、とてつもない速さでこちらに近づいてきているようだ。「にゃんぢゃ……ありぇは……?」※なんだ……アレは……? 振り返ると、爆発音とともに砂煙が立ち昇っていた。 瓦礫が次々と火柱のように舞い上がり、こちらに近づくにつれてだんだん大きく弾けていく。
Last Updated: 2025-04-16
Chapter: 山が消えた「よし、準備が整ったな! それでは、予定通り見張りは待機地点に移動せよ! ワシらもすぐに出るぞ!」 ランデルの指示で馬車と兵士が移動を始めた。 残った五十人程で四天王を探すようだ。 俺が混ざるはずだった部隊が遠ざかっていく。「いや、ちょっちょみゃちぇ! おりぇもちゃいきぎゅみにひゃいりゅ!」※いや、ちょっと待て! 俺も待機組に入る!「王から褒美を貰った時に、ワシとユートルディス殿でネフィスアルバを倒しに行けと命じられておりましたので、てっきり一緒に行くものかと。もう無理ですぞ?」 無理ですぞじゃないんだが。 予定通りって事は、事前に作戦を考えていたんだよね? 何で作戦会議に勇者を誘わないんだろうか。勇太:作戦失敗です。コメ:知ってたwコメ:勇太の作戦が成功するわけない。コメ:様式美で草コメ:ストレスゲージが真っ赤になってるぞ!w「ぎょひゃんはぢょうしゅりゅにょ?」※ご飯はどうするの?「三日前に立ち寄った村で携行食を買ったではありませんか。これ一枚で二日分の食料になりますので、五ヶ月は余裕を持って探索出来ますぞ?」 ランデルが懐から取り出したのは、クレジットカードくらいのビスケットに似た食べ物だった。 これをちびちび食べながら移動を続けるらしい。 兵士が背負っている大きなカバンの中には、この携行食とやらが大量に詰まっている。 水は山中の湧き水から補充する。 地獄のような登山計画に目眩がしてきた。 騎士が俺の剣と盾を持ってきてくれたが、受け取るつもりはない。「ねえ、ダディ……。もしかして、あの山に登るの? せっかく買ってもらった服が汚れちゃいそう。あたし行きたくないなぁ……」 駆け寄ってきたナタリアが今にも泣き出しそうな顔で見上げてくる。 いつも明るく笑顔を絶やさない娘がこんな表情をするのは初めてだ。 生まれたばかりのこの子は、こちらの都合で連れ回され
Last Updated: 2025-04-15
Chapter: オウッティ山脈 ファッションショーから五日が経過した。 ナタリアは少し背が伸びたくらいで、今までのような異常な成長は見られない。 今日のナタリアは白いワンピースを着ている。 兵士に三つ編みのやり方を教わったらしく、色々と工夫を重ねた結果、右耳の上あたりからふんわりと編み始めて横に流したサイドテールになっている。 清楚で上品なお嬢様の出来上がりだ。 アルも先日購入したセクシーニットの組み合わせだ。 ナタリアに三つ編みにされたらしく、ナタリアと逆方向のサイドテールになっている。 アルの膝上に横向きで座っているナタリアと楽しそうに会話しているアルを見ると、歳の離れた姉妹に見える。 歳といえば、二日前にナタリアの成長は普通なのかと聞いてみた。 ランデルは、早すぎると言っていた。 自分がナタリアと同じくらいの時は、友達の誰々とこんな遊びをしただのと昔話を始めた。 あまりにも長かったので口を封じて無理矢理やめさせた。 アルもナタリアと同じだったらしく、生後五日程で今のナタリアくらいまで成長したのだとか。 そこから一か月かけて大人になり、その姿を維持し続けているらしい。 気になったので年齢を聞いてみたのだが、教えてもらえなかった。 俺より年上とだけ知る事が出来た。 ランデルは、「ワシよりは年下ですかな?」と聞いた瞬間に平手打ちされていた。 アルの動きがあまりにも速く、パシィンという乾いた音しか聞こえなかったのだが、ランデルの左頬に真っ赤な紅葉が浮かび上がったので分かったというのが正しい。 日本では女性に聞いてはいけない事ランキング一位の質問なので、ランデルの左顔面が骨折したかのように腫れあがったのも仕方がないのかもしれない。 翌日には元通りのイカつい顔に戻っていたが。 馬車は森を抜けて高原地帯を走っている。 丈の短い雑草に覆われた大地は緩やかに起伏しており、所々に岩が露出している。 路面は段々と荒れてきて、馬車の揺れがお尻の皮膚を削り取ってくる。 尾てい骨と腰が悲鳴を上げ始めた。 そう
Last Updated: 2025-04-14
Chapter: 服選び 後編「パパっ! ちょっと来て下さいっ!」 試着室の方からアルの声がする。 振り向くと、アルがカーテンの隙間から顔を半分だけ覗かせていた。「どうでしょう?」 カーテンが開くと、美しい天女が現れた。 絵画の中から飛び出して来たのだろうか。 胸元までが灰色で、そこから下が黒色の袖がないニットだ。 首元はタートルネックになっており、丸出しの腕が艶かしい。 破壊力抜群な暗色の服がピンク色のウェーブがかった髪を際立たせている。 下はタイトなベージュのパンツで、スラリとした脚線美が強調されている。コメ:勇太さん、これ買いです!【二万円】 コメ:可愛すぎて一瞬気を失ったわw【一万円】 コメ:アルたそ似合いすぎ!【二万円】「きゃいみゃしゅ!」 ※買います! 何を迷う必要があろうか。 こんなもん買いでしかない。「ダディ、どっちがいいかな? 大きくなったら着る服なんだけど……」 天使が二択を迫ってきた。 一つは袖と胸元に白いレースのフリルがついた可愛らしい薄いピンク色のワンピース。 一つは襟の無い赤いシャツと黒いレザーのスカートという大人びたセクシーな組み合わせだ。 成長したナタリアの姿を想像しながら選ばなければならない。 どっちが似合うかと問われた時の回答に正解は無いが、世の男達にとって永遠の課題である。 無難なのは、ナタリアがどっちが好きかを聞いて、俺もそっちが好きと答える安定パターンなのだが。勇太:みんな、力を貸してくれ! コメ:ワンピースは白いの買ったから赤い方かなぁ? コメ:どっちも買うのが男だぞ! コメ:お前ら大丈夫か? 可愛い系とセクシー系のどっちに成長するかの重要な分岐だぞここ。ちなピンク一択! コメ:ギャルゲー脳は帰ってどうぞw コメ:俺もどっちも派。 コメ:俺達の勇太はどこに行っちまったんだ? 脳なしのお前は何も考えずにここまで来たんだろ! 迷う前に買え! 勇太:そうでした……。俺
Last Updated: 2025-04-13
Chapter: 服選び 前編 プァルラグを倒した俺達は、食事休憩をする事になったのだが、ランデルから待ったがかかった。 プァルラグの肉は野生味が強いので、個性を活かすには鍋にするのが一番らしい。 ベースのスープにマロミスという調味料を使うと格別な美味しさになるという。 この近くにはヨランザの街があり、調理役の兵士がプァルラグを解体している間に少人数で買い出しに行くというのがランデルの提案だ。 俺としては、持てるだけの肉塊を街に運んで、店に調理をお願いしたかった。 みんなで街に行けば宿に泊まれるからだ。 しかし、ナタリアに美味しいプァルラグ鍋を食べさせたいと張り切っていたランデルを見たら何も言えなかった。 ランデルと名乗りを上げた騎馬兵五人がヨランザの街に行くことになったが、やりたい事があったので俺、アル、ナタリアも加えてもらった。 御者も合わせた馬車組と騎馬兵の計十人で買い出しに向かう。「拠点の指揮はノイマンに任せる! では出発じゃ!」 馬車が行軍時より少し速い速度で走り始めた。 少し先にある脇道に入って数キロ進めばヨランザの街があるらしい。「ねえ、パパっ? どうして急に街に行きたくなったんですかっ?」「にゃちゃりあにょふきゅをきゃっちぇおきょうちょおみょっちぇにぇ。おりぇやありゅにょびゅんみょひちゅようぢゃりょ?」※ナタリアの服を買おうと思ってね。俺やアルの分も必要だろ? 騎士がナタリアの服を作ってくれているとはいえ、お洒落をしたい年頃の子には物足りなさを感じるだろう。 俺もこの世界に来てからずっと同じ服装だしな。 夜営の時に魔法使いが水魔法と風魔法で洗濯してくれるのだが、毎日同じ服というのは生活のリズム的に精神衛生上良くないと思う。「わあっ、新しい服を買ってくれるの! ダディありがとう!」「パパっ! ありがとうございますっ!」 まるで馬車の中に花が咲いたかのようだ。 可愛い娘と美人な妻の喜ぶ姿がこれほど良いものとは。 嬉しさと誇らしさの中にむず痒い気持ちがある。
Last Updated: 2025-04-12
Chapter: ワーキャス専用スレ その3ワーキャスについて語るスレ【第1812世界】052 名前:異世界好きの名無しさん おい、タイキンがパーティメンバー募集してるぞ!053 名前:異世界好きの名無しさん 見た見た! 三人までらしいけど、選ばれたらタイキンバフで勝ち組確定じゃね?054 名前:異世界好きの名無しさん 四窓推奨みたいになりそうだしな。タイキンの視聴者数分の広告掲載料がそのまま入ってくるんだから、宝くじ当てるみたいなもん。055 名前:異世界好きの名無しさん タイキンさんと一緒に商品紹介してみたい!w056 名前:異世界好きの名無しさん >>055 タイキンキッズさんお疲れっす!057 名前:異世界好きの名無しさん 募集した奴どんくらいおる?058 名前:異世界好きの名無しさん >>057 したで?059 名前:異世界好きの名無しさん >>057 不細工ワイ応募してしまう060 名前:異世界好きの名無しさん タイキンはイケメンやしな。実際そこで人気取ってるのもある。061 名前:異世界好きの名無しさん >>059 他にもチャンスあるって!062 名前:異世界好きの名無しさん >>061 まだ落ちてねーわ!063 名前:異世界好きの名無しさん ワロタwww064 名前:異世界好きの名無しさん でもさ、チームで売ってくんならビジュアル重要じゃね?065 名前:異世界好きの名無しさん それはそうw066 名前:異世界好きの名無しさん >>059 残念だったなw067 名前:異世界好きの名無しさん >>066 いや、だから勝手に落とすなってw068 名前:異世界好きの名無しさ
Last Updated: 2025-04-11