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第98話

「すぐに人を連れて行く」

小室泰は自宅の豪邸で、ゆっくりと電話を切り、手下に伝えた。

「伊吹嵐という奴の情報を調べてくれ」

「若旦那様、伊吹嵐は25歳で、北境で7年間の軍務に就いていました。高校卒業で、現在は利豪商事の営業部でチームリーダーを務めています」

「ただの取るに足らない小物だ」

小室泰は王座に座りながら嗤っている。

「我々古武家族が低姿勢すぎたのだ!もう、我々をなめてかかる者がいるな」

「今夜、我々の武道の達人5人が死んだんだ。それならば、5000の命で償う必要がある」

「あ、若旦那様、母と娘を引き取ったんですが、彼女たち、その伊吹嵐と何か恩怨があるみたいです」とある手下がすぐさま言った。

「彼女たちを呼べ」

数分後、ぼろぼろの服を着た若生玲子と、顔面が青黒く腫れあがった若生花子が、犬の首輪で連れてこられた。

竹辺雄三が殺されてから、陰山翔太も消息が途絶え、若生玲子と若生花子は日々不安に駆られていた。

生き延びるために、小室家に身を寄せるしかなく、若生玲子は美貌を買われてすぐに肉便器となり、人々の玩具となった。

若生花子は苦役に出された。

小室泰は震える二人を見て言った。

「怖がることはない、お前たちが伊吹嵐と恨みがあると聞いたぞ?情報を提供してくれれば、今すぐにお前たちを許すよ」

若生玲子はこれを聞いて、激動しながら相手の足元に這い寄り、

「小室さん、私たちはあの伊吹嵐とは不倶戴天の敵だ。彼のせいで、私たち家族が路頭に迷いませんでした」と言った。

「今すぐにでも彼の家族を皆殺しにしたいです!あ、彼の母親は今、Garden Towerに住んでいます!それに、彼と利豪商事の東田智子は、実は夫婦なんです」

小室泰は相手のあごを持ち上げ、悪戯っぽく笑いながら、

「よし、じゃあ君が先導してくれ。まずはGarden Towerへ、それから東田智子の家へ行く。だが、行く前に何か示すべきじゃないのかな」と言った。

「示すって?」

若生玲子は一瞬困惑して、すぐさま服を脱ぎ捨て、魅惑的な目で小室泰を見た。

「問題ありません。私をお受けになるなんて、私の光栄ですよね」

「ちょっと待って。僕じゃなくて」

小室泰は口を尖らせ、そばにいる大型の黄色い犬を見た。「あいつだ」と言った。

「あ――わ、わかりました」

若生玲子は即座に顔
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