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第101話

この光景を目の当たりにした小室家の武道の達人はみな顔色を失った。

「おじさん」

何人かが老人の傷を調べに走ったが、その人物の身体はすでに二つに分かれていたことを発見した。

「内勁の達人がひとつぱちで殺された」

人々は即座に怒りを爆発させた。

吉田さんは更に驚愕する。

「何て速い手だ、肉眼で捉えられないほど!」

しかし、若生玲子と若生花子は情勢がわからず、伊吹嵐を見つけると仇敵を前にして、怒って言った。

「伊吹嵐、お前は女に頼るばかりだ。

「お金持ちの娘と付き合ったからと言って、安心しているというのか?

「その鈴木美香は今、小室さんに捕らわれていた。彼女を迎えているのは、果てしない屈辱だけだ。

「君はラッキーだよ。相手は古武家族の小室泰だから、それは君の光栄だ」

伊吹嵐はこれを聞いて、顔の青筋が立ち、目は一陣の暴風雪が集まるようだった。

「お前たち、行き過ぎだ」

彼は脚を地べたに打ち付けると、恐ろしいほどの力で飛び上がり、電光石火のように動いた。

十九人の武道の達人の胸を瞬間的に突き破り、血と肉が飛び散った!

若生玲子たちは、小室家の高位にいる武道の達人が伊吹嵐の手によって一方的に虐殺されるのを見て、すぐさま顔面蒼白になった。

「え?どうして可能なの? これは西坂和夫でも敢えて抗わない武道の達人だよ」

「こんなクズに、反撃するチャンスもなく打ちのめされたなんて」

彼女たちは驚き叫んで、くるりと後ろをむいて逃げ出した。

一方、伊吹嵐は彼女に構う暇もなく、すぐに隆明に電話をかけた。

「隆明君、早く調べてくれ、小室泰が鈴木美香をどこに連れて行ったか」

吉田も急いで来て言った。

「伊吹さん、是非ともお嬢様を救ってください!お嬢様はあなたのお母さんを守るために、わざわざ来て小室泰を阻止しようとしたのですから。結果、虎口に入ってしまいました」

普段から鈴木美香が伊吹嵐にこんなに気を使っているのを見て、彼の心は軽蔑だけでなく、少しの嫉妬も感じていた。

しかし、今、伊吹嵐の真の力を知って、鈴木美香の眼は間違っていなかったと確信した。実は彼らの方が釣り合わなかったのだ。

「心配しないで、鈴木さんは普段から私のためにたくさん助けてくれている、彼女が困っているなら、放っておけない」

数分後。

伊吹嵐は隆明からの消息を受け取った。

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