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第3話

康之が私を追い求め続けた代償は、あまりにも大きなものだった。

彼が真実を公表した時、ちょうど林田グループが株式上場の重要な時期だった。

こんなスキャンダルが表沙汰になれば、提携していた株主たちは次々と撤退し、父が思わぬ利益を手にしたのだ。

だが、不幸は重なるもので、会社には内通者が現れ、機密書類が宿敵に売られ、林田グループは一時、破産寸前にまで追い込まれた。

「維、これって俺が目を曇らせていたことへの罰なんだろうか」

康之は見る影もなく痩せてしまい、かつて輝いていたあの瞳も今ではまるで死んだように何の光もなかった。

私は彼の言葉に黙って耳を傾けていた。

「昨日、大株主たちが林田グループの会長の再選を要求して、父は心臓発作で倒れ、母も気絶してまだ目を覚ましていない」

「俺はただ見ていることしかできない。俺って本当に無力だよな......なぜなんだろう、俺が大切に思う人たちは皆、不幸にしかならないんだ」

彼は感情的になり、私の手を握って、何かしらの反応を求めるようにしていた。

私は少し間を置いてから顔を上げ、短く「当然の報いよ」と答えた。

彼は驚いたように私を見つめ、その瞳には涙が滲んでいた。

「そうだよ、俺が君たちを裏切ったんだ。これは俺の報いなんだ......」

それ以来、彼はもう私の前に現れなくなり、医師や看護師の尽力のおかげで、私は少しずつ回復していった。

あの日の午後、昼寝をしていたところに、久々に母が現れた。

最近、家業が順調らしく、母の顔には以前よりも若々しさが戻っていた。

彼女は私の近況を軽く尋ねた後、小さな録音機を手渡してきた。

「維、うちの会社が上場できるかどうか、あなたにかかっているのよ」

康之は学業に興味がなかったが、それでもビジネスの天才だった。

わずか二か月で破産寸前だった林田グループを再建し、A市で最も勢いのある上場企業に育て上げていた。

ちょうど今、うちの会社と林田グループが大きなプロジェクトの入札を競っているところだった。

父は康之の入札価格を知りたがっており、彼が私の看病に来ていたことを利用して、私にそれを探らせようとしていたのだ。

母が去った後、私は窓の外の枯れ木をぼんやりと見つめていた。

ふと、自分がとても疲れていることに気づいた。巨大な利害関係の渦の中で、毎日が駆け引きと策略に満ち、
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