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第435話

記者たちは、このスクープをいち早く報道しようと、次々にニュースを配信した。

もともとこの記者会見自体が大きな注目を集めていたため、そのニュースは瞬く間に各メディアのトップを飾った。

これまで雅彦と月の関係を支持していた人々も、次々と反応し始めた。

「なんてことだ!月がこんな人間だったなんて。あの運命的なラブストーリーは全部嘘だったんだね」

「彼女、悪質すぎるよ。人の功績を奪って、自分のものにしておきながら、口封じまで企てるなんて。恐ろしすぎる」

「こんな人間は、法の裁きを受けるべきだ」

世間の反応が定まった頃、雅彦の低く落ち着いた声が再び響いた。「証拠はすべて揃っています。皆さんの目にも明らかだと思いますが、婚約を解消した後、月の違法行為に関する証拠はすべて法執行機関に提出し、彼女には法の裁きを受けてもらいます。菊池家として、彼女をかばうことは決してありません」

そう言い終えると、雅彦は席を立ち、会場を去ろうとした。

その姿を見て、好奇心を持っていた記者の一人がさらに問いかけた。「雅彦さん、お話から察するに、真の恩人を見つけられたようですが、その方を追いかけるおつもりですか?」

雅彦はその言葉を聞き、一瞬足を止めた。彼の穏やかな瞳に、一抹の無力感が浮かんだ。

桃を再び追いかけるつもりではあったが、果たして彼女は受け入れてくれるだろうか?

「この件については答えません。皆さんには僕のプライベートを探るのはやめるよう強くお勧めします。そうしないと、後悔することになりますよ」

警告を含んだその言葉を残し、雅彦は会場を後にした。

残された記者たちは顔を見合わせ、最終的には雅彦が望んでいた内容だけを報じることで合意した。

会見が終わった後、美穂はその映像を見て、顔を真っ青にしていた。

これまで何年も、月が雅彦の命を救ったことを信じて、彼女を丁寧に育ててきた。雅彦の心を掴めなくても、彼女に深い愛情を注いできたのに、それが全て誤解だったとは。美穂の胸中には、怒りが湧き上がっていた。

月が菊池家を5年もの間、欺き続けていたなんて!

激怒した美穂は、すぐさま病院に向かい、彼女の到着を知った警備員たちは誰も止めることができず、美穂を中に通させた。

月はまだ床に倒れたままで、ドアが開く音を聞くと、すぐに叫んだ。「早く医者を呼んで!」

しかし、美穂が医
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