第309話

　佐和はこの数日間、非常に忙しい日々を過ごしていた。

　今日はようやく、いくつかの難しい患者の手術を終えたところで、ようやく翔吾に連絡を取る余裕ができた。

　桃が離れてから数日しか経っていないが、彼は海外にいて、手の届かないところにいるように感じられ、まるで何年も経ったかのように長く感じていた。

　この数日間、佐和は残業をしてやっと手元の仕事を片付けたが、休もうと思った矢先、小さな顔を曇らせた翔吾が泣きついてきた。

　佐和は驚いて、「どうしたんだ、翔吾くん、何があったの？」と尋ねた。

　翔吾は少し考えた後、事の経緯をすべて佐和に伝えた。

　佐和は、桃がこんな事態にあったことを聞いて、非常に心配になった。

　彼はすぐに翔吾を慰めた。「これは君のせいじゃないよ。恐らく、誰かが故意に世論を操作しているんだ。君は間違ったことはしていないよ。この件については、君のママに軽率な行動を取らないように伝えておいて。僕はすぐに帰国するから」

　翔吾は佐和が帰国するというのを聞いて、すぐに頷いた。「わかった、待ってるね」

　佐和は急いで電話を切り、手術を終えたばかりの疲れも気にせず、すぐに最も早い便を予約して須弥市へ向かった。

　途中、佐和はスマホでウェブページを見ていた。アカウント削除事件が発端となり、この件は世論でますます大きな話題となり、事態はさらに深刻化していた。

　佐和はページを見れば見るほど苛立ちが募り、思わず昔の麗子の手口を思い出した。あの時、彼女のやり方で桃はほとんど精神的に追い詰められ、鬱状態になりかけたのだった。

　その時、彼は二度とこのようなことが起きないよう誓ったが、今また同じ方法を用いる者がいるとは思わなかった。

　佐和はすぐに須弥市にいる友人に電話をかけ、この件を調査してもらうよう依頼した。

　これまでの数年間、佐和は海外にいたが、菊池家の相続を放棄したとはいえ、彼もずいぶんと賢くなり、自分を守るため、そして桃を守るために、彼の優れた医術を武器に信頼できる友人を多く作った。今、その友人たちが彼を助けることができる時が来た。

　今回、彼は必ず噂を打ち破り、桃の安全を守るつもりだ。

　……

　さらに数時間後、桃が依頼した探偵による調査で、噂を広めたのはあるPRメディア会社であることが判明した。

　桃はすぐに弁護士に連絡させ、彼