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第307話

 翔吾は心の中で、大人たちが子供にネット上の汚い言葉を見せたくないのだと理解していた。幼い心が傷つくのを恐れていたのだろう。

 だから、彼はそういったことをこっそりと行い、大人を悲しませないようにしていた。

 ……

 桃は電話の設定を、数人だけが連絡できるモードに変更し、ようやく落ち着いた。

 すぐに雅彦に電話をかけ、翔吾の様子を尋ねた。

 「翔吾はここで元気にしているよ。君はどうだい、桃ちゃん、そちらはうまくいってる?」

 翔吾が影響を受けていないことを知り、桃は少しほっとした。彼女が直面している問題については、雅彦には話さなかった。

 彼は最近とても忙しいので、彼女が問題を抱えていると知れば、助けたいと考えて気が散ってしまうだろう。桃は雅彦にこれ以上負担をかけたくなかった。

 それに、彼女はすでに人に頼んで、弁護士に連絡してもらい、噂を流した張本人を調査してもらうようにしていたので、すぐに結果が出るだろうと考えていた。

 ……

 雅彦は飛行機に乗り、数時間の飛行の後、ついに美穂がいる暁星国に到着した。

 飛行機を降りるとすぐに、美穂は車を運転して彼を待っていた。

 雅彦は彼女の姿を何度も確認し、体に問題がないことを確認してほっとした。「母さん、一体何がそんなに大事な話なんだ?」

 美穂の目は少し暗くなった。「あなたをある場所に連れて行くわ。そこに行けば分かるわよ」

 雅彦は眉を少ししかめたが、それでも車に乗り込んだ。

 美穂は車を運転し、十数分後、彼女はあるプライベートな墓地の前で車を停めて、降りた。

 雅彦もそれに従って降り、周りを観察した。この場所には今まで来たことがなかった。

 美穂は黙って雅彦を案内し、年季の入った墓石の前で立ち止まった。顔には哀しみが漂っていた。「あなたに見せたかったのはこれよ。この中で長い眠りにつく人は菊池伸安、あなたの実の兄よ」

 雅彦は一瞬驚き、美穂を見つめた。彼には兄がいたことなど知らなかった。

 「それはもうずいぶん昔のことよ」美穂は暗い目をしながら、過去に起こったことを語り始めた。

 あの頃、彼女は20歳を少し過ぎたばかりで、大学を卒業したばかりの若い少女だった。事業で成功していた永名に出会い、二人の年の差がかなりあったにもかかわらず、彼女はその男の独特な魅力に惹かれてしまった。

 
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