第5話

もう我慢の限界だった。「頭がおかしいんじゃないの。毎日旦那の話をしているくせに、一度くらい連れてきて見せてよ」

葵子が言い負けてきたところを見て、小林先生が口を挟んだ。「月香さん、無理な要求はやめて。幼稚園としても困るんだよ」

「無理な要求？先生の目は月と地球に一つずつ生えているの？誰が食べ物を散らかしたか見てないの？

今、みんな食べるものもなく、休む場所もないのに、この秋遊は他人のためにサービスするためのものなのかしら？」

私が一言一句返すと、小林先生は数秒沈黙した。

「月香さん、迷惑をかけてはダメよ。凛音ちゃんは体が弱いから、みんなが優しくするのは当然のこと。

あなたが冷たいのはあなたの問題、みんなを巻き込まないで」

これほど白黒を逆にするとは。「冷たいわけないでしょう。先生のオフィスの高級酒やタバコが、あなたの貧しい心を燃やしているんですから」と皮肉った。

彼女は一瞬で青ざめた。「まだ言うの？全部あなたが……」

葵子の目がキラリと光った。「子供のいたずらは仕方ないでしょう。うちの娘は体が弱く、先天性の心臓病もあるんです。皆さんが我慢するのが当然じゃないですか？

子供それぞれ性格が違うし、うちの娘が少し活発なのは仕方ありません。大人がそんなに狭量でどうするの？」

私は冷笑した。「本当に曲がった理屈ね。先天性の心臓病があるのに、毎日肉や魚を食べさせて、トラックのように太らせている。これが娘のためなのかしら？」

葵子は怒りに震え、立ち上がって私の頭を叩いた。「ちょっと食べ物を壊しただけなのに、なぜ私たちを呪うの？悪毒な庶民！」

私は何も言わず、彼女の髪を掴んでパチンパチンと平手打ちをした。

「以前、娘のキッズウォッチを壊したのも、私は面倒なので追及しなかったけど、今度は私の携帯まで壊した。

さらに、みんなの持ち物も壊し、食べ物も失って、みんなが空腹で疲れている。秋遊も台無しだわ。

全部まとめて、絶対に許さないわ！」

周りの保護者たちも賛同した。先生が仲裁しようとしたが、私の鋭い目つきを見て、近づくのをためらった。

「和牛は高いのに、その上、壊れたバッグも60万円よ。旦那さんは大役人でしょう？補償しないなら訴えるわ！」

私は葵子の髪を引き続き掴んで譲らず、彼女も少し慌てた。「手を離しなさい、悪質な庶民！」

彼女は叫んだ。「人を殴