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第7話

「国民の初恋」として支持されてきた和沙、その心は実にこれほどまでに毒々しかったとは。

彼女は私が持っているすべてを嫉妬していた。

母親と一緒に有川を奪い去り、学校でいじめられていたと偽って、私と兄の関係を完全に引き裂いた。

彼女は名声も財産も手にしているというのに、義兄とさえも曖昧な関係を続けようとしてした。

私には彼女のことが永遠に理解できないだろう。

裕也が既婚者だったことと離婚がトレンドに急上昇し、ネット上は騒然となった。

同時に、彼と和沙のスキャンダルが暴かれ、裕也の浮気、和沙が愛人だったこと、さらには正妻を死に追いやったことなど、さまざまな批判がネット上に溢れかえった。

和沙の広報チームは忙しく対策に追われていたが、裕也の方からは何の反応もなかった。

彼はまだ、妻子を失った深い悲しみに浸っていた。

夜の十時、残された二十四時間のリミットまであと一時間を切っていた。

【尾崎裕也の現在の後悔度:85%】

【潮見旭の現在の後悔度:80%】

【潮見有川の現在の後悔度:70%】

私は心の準備をした。いよいよシステムに完全に抹消される時が来たのだ。

もとの世界にいる家族たち、ごめんなさい。

私は本当に無力で、死んでももう皆に会えないんだ。

有川は彼らを別荘に呼び、私の葬儀の準備について話し合っていた。

和沙はソファに不安そうに腰掛け、一分ごとにスマホを確認し、ネットの反応を気にしていた。

黒い噂がいつまでも収まらないなんて……

旭はベランダに寄りかかり、イライラと煙草に火をつけ、頭の中は乱れた考えでいっぱいだった。

昼間のあれはあくまで彼の試みだった。すでに和沙に心臓の適合者も探してあげていたのに……

彼は奈々未の態度が気に入らなかった。なぜ一度も頭を下げてくれなかったのか?

一言「お兄ちゃん」と呼んでくれれば、それだけで彼も心が柔らかくなったのに。

「尾崎はまだ来てないのか?」

有川が時計を見上げた。時計の横には、最愛の妻の白黒写真が飾られていた。

数日後には、娘の写真もその隣に掛けられるだろう。

彼の鼻先が急にツンと痛んだ。

彼は妻にも、娘にも、結局は背を向けてしまったのだ。

彼の妻は、彼が金を目当てにしていたことを知らなかったはずがない。

それでも彼女は、すべての信頼を注いで彼の事業を支え続けてくれた。

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