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第3話

last update Last Updated: 2025-04-03 15:57:57

「ふーん、50点」

「ちょっ、見ないで!」

私は、取られた答案を取り返そうとするが……。

「ああっ」

手を伸ばすと、ひょいと答案用紙を私の手の届かない高いところまで上げられてしまった。

「相楽くん!」

「小嶋がにやけてたから、どれだけ良い点をとったのかと思ったら……ふはっ」

私の答案用紙を見て肩を震わせるのは、陸斗くんの双子の弟である、相楽海斗くん。

高校2年のクラス替えで彼と同じクラスになり、なんと席も私の後ろになった。

それ以来なぜか相楽くんは、私にちょっかいをかけたり、たまに嫌なことをしてくる。

彼に目をつけられるようなことをした覚えは、ないんだけどな。

翌朝。

「よし、きれいに結べた」

昨日、陸斗くんに『髪結んでるところ見てみたい』って言われたから。今日は、いつもよりも頑張って早起きして、髪を後頭部でひとつに結んでみた。

ツインテールやお団子ヘアにしようか迷ったけど、ここは無難にポニーテール。何度か結びなおして、鏡で最終チェック。

ふふ。陸斗くん、この髪型を見たらなんて言ってくれるかな?

「希空ーっ。早く行かないと、遅れちゃうわよ」

「いけない!」

お母さんに声をかけられて洗面所の壁時計を見ると、いつも家を出る時間を少し過ぎていた。

「いってきまーす」

私は、慌てて家を飛び出した。

「ふぅー」

全力で家から駅まで走ったおかげで、ギリギリいつもの電車に間に合った。

そして今、私は学校に到着し下駄箱で上履きに履き替えたところ。

陸斗くん……いるかな?

廊下に出て、コンパクトミラーで髪が整っているか確認していると。

「キャー!陸斗く〜ん」

「相楽くーん」

複数の女の子の、黄色い声が聞こえてきた。そちらに目をやると、廊下で陸斗くんが何人かの女の子に囲まれていた。

いっ、いたーっ!

陸斗くんを目にした途端、ドキドキと胸が高鳴る。

陸斗くん、私に気づいてくれるかな?でも、沢山の女の子に囲まれているから、多分こっちには気づいてくれないよね。

そう思いながら、しばらく陸斗くんを見つめていると。ふとこちらを向いた陸斗くんと、パチッと目が合った。

そして、私のことをじっと見てくる陸斗くん。

きゃーっ。みっ、見られてる!?

私が思わず、陸斗くんから目を逸らしそうになったとき。

「希空ちゃん!」

「え?」

陸斗くんが、私の名前を呼ぶと。

「今日の髪型……すっごく可愛い!」

うそ。陸斗くん、気づいてくれたんだ。まさか、ストレートに褒めてくれるなんて。嬉しすぎるよ。

陸斗くんが『可愛い』って私に言ってくれたとき、周りにいた陸斗くんファンの子たちにきつく睨まれちゃったけど。

今日頑張って早起きして、髪を結んできて良かった。

陸斗くんに髪型を褒めてもらえたから。1限目は苦手な数学だけど、頑張れそうだなあ。

思わず鼻歌を歌いそうになりながら、私が教室の自分の席で1限目の授業の準備をしていると。

んっ!?

いきなり、後ろに引っ張られる感じがした。

「小嶋、またニヤニヤしてる」

「ちょっ……相楽くん、引っ張らないで」

後ろの席の相楽海斗くんが、私のポニーテールの毛先を掴んでいた。

「つーか、今日は髪結んでるんだ?」

「うっ、うん。今日は早起きしたから、その……気分転換に?」

咄嗟に嘘をついてしまったけど。まさか、陸斗くんのために結んだなんて言えない。

「気分転換……ねぇ。本当に?」

ドキッ!

「ほ、本当だよ」

なぜか相楽くんに疑われてしまった私は、内心ヒヤヒヤしながら、くり返し首を縦にふる。

「ふーん」

私に疑いの眼差しを向けつつも、髪の毛を掴んでいた相楽くんの手が、ようやく私から離れた……と思ったら。

今度は、相楽くんがじっと私のことを見てくる。

えっ、なに!?

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