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第98話

由佳はゆっくりと病院を出て、無目的に街を歩いた。

どこに行けばいいのか分からなかった。

今日の天気は晴れているが、彼女は心の底から冷たさを感じていた。

彼女はスマートフォンを取り出し、SNSを開いて別のアカウントで、その日の一部始終を確認し始めた。

コメントがどうなっているかは分かっていたが、それでもクリックして確認した。

一つ一つ下にスクロールして、全ての悪口な言葉を目に焼き付けていった。

さらに、各種ブラウザのニュースサイトや動画サイトのコメント欄も確認し、ついには問題の発端を理解した。

最後に、議論中のCPスレッドを最初から最後まで見返した。

山口清次の不倫ニュースが出た後、CPスレッドはかなり沈黙していたが、それでも一部の人は主張を続けていた。

彼女も認めざるを得なかった。

動画や画像、絵画の中で、山口清次と加波歩美は完璧なカップルであり、まさに天作の組み合わせだった。

一人の豪華な家柄の公子と、美しい女優がまるで生まれつきのカップルのように見えた。

二人の物語には由佳の存在はなく、彼女は余計な役割で、天のいたずらで本来いるべきでない場所に現れたに過ぎなかった。

由佳は目を閉じ、他のアカウントで編集して、「由佳は第三者ではない。加波歩美こそが第三者だ」と投稿した。

投稿してから数秒のうちに、そのツイートは彼女のホームページから消えてしまった。由佳は確認した。

これが山口清次による加波歩美への保護であり、加波歩美に不利な噂が流れるのを絶対に許さないということだろう。

由佳は唇を引きつらせ、再度編集して「由佳は第三者だ」と投稿した。

このツイートは成功に投稿された。

由佳はホームページを行き来して、このツイートが確かに投稿されたことを確認し、消えていないことを確かめた。

さらには、このツイートを見た人が「言っている通りだ、愛人は死ぬべきだ。由佳が子供を持てないよう呪ってやる」とコメントして、いいねを押してくれた。

由佳は息を止めて、スマートフォンを閉じた。

そのとき、突然一群人に取り囲まれた。由佳は困惑しながら顔を上げ、足を止めた。

その中には男性も女性もいて、いかにもパパラッチらしい格好で、マイクを由佳の顔の前に突きつけ、カメラで彼女を乱撮していた。「由佳さん、山口清次と加波歩美は今カップル関係にありますよね?」

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