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第449話

同窓会がなければ、その曖昧な経験は心の奥深くに永遠に埋もれていたかもしれない。

由佳はその時、高村がなぜネットでイケメンの写真を集めたり、男のウェイターと一緒に飲んだり歌ったりするのが好きなのか、しかし恋愛には一切関わらない理由がわかった。

心の奥深くで晴人を忘れられなかったのか、あるいは心が傷つきすぎて、もう愛を信じられなくなったのかもしれない。

「私は当初、彼に留まってほしくて無理をしたけど、彼は結局去ってしまった。一度去ったら七年も戻らなかったのに、今さら何をしに来るの?」高村は嗚咽しながら言った。

その泣き声は由佳の心を痛めた。

こんなに高村が困っていた姿を見たことがなかった。

七年前、ちょうど高村が大学に入った頃だった。

「由佳、私が彼をどれだけ愛していたかわからないでしょう。両親は私を海外留学させたがっていたけど、彼を思って説得して残ったの。でも、彼は突然去ると言って、全く余地を残さなかった。

今さら帰国できるのに、わざわざ私の前に現れるなんて」

高村はその後も何かぼやいていたが、声は次第に小さくなり、由佳にははっきり聞こえなかった。

徐々に、彼女は後部座席で眠りに落ち、頬には乾いた涙跡が残り、口をつぶやいていた。

実家に着くと、由佳はそっと降りて沙織を迎えた。

彼女は先に沙織に言った。「高村は車で寝ているから、今夜は君が助手席に座って、車内では大声を出さないでね」

沙織は素直に頷いた。

車はマンションの駐車場に進み、地下に停まった。

由佳は高村を起こした。「高村、起きて、家に着いたよ!家でまた寝て」

二度呼んでようやく高村は片目を開け、あくびをして涙がこぼれた。

彼女は目を細めて窓の外を見て、眠そうに言った。「家に着いたの?」

「うん、上がってからまた寝よう」

「そう」

高村はゆっくりと車から降りた。

エレベーターに入ると、高村は壁に寄りかかり、目を閉じた。

本当に眠そうだった。

エレベーターが「ピン」と鳴り止まった。

高村が目を開けると、由佳の心配そうな視線が目に入った。

「どうして私をずっと見ているの?」と不思議そうに尋ねた。

「君が考えすぎるかもしれないから」

高村は驚いた表情を浮かべた。「考えすぎる?彩花と晴人の二人が私を考えさせると思っているの?」

さっき誰が車の中で泣いていたのかは誰
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