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第108話

彼女の視力はほぼ回復しており、入院の必要はなくなった。

翌朝、由佳は朝食後に退院手続きを済ませ、その後、運転手を呼んで自分の荷物を家に持ち帰らせた。

そして、病室に行っておじいさんを見舞った。

病室は静かだった。

おじいさんはベッドに座っており、おばあさんはソファに座って、二人は互いに顔を背けており、お互いを見ることはなかった。

由佳が入ると、雰囲気が妙に気まずいことに気づいた。「おじいさん、おばあさん、」由佳は二人の間を見渡しながら、「朝ごはんはもう食べましたか?」

「食べた」

「食べた」

二人は口を揃えて答えた。

「それで、どうしたんですか?喧嘩でもしたんですか?」

「喧嘩じゃないわ。おじいさんが一方的にここで機嫌を悪くしているの」おばあさんはおじいさんに目を向けた。

由佳はおじいさんを見て、「おじいさん、どうしておばあさんを怒らせたんですか?」

「私は彼女を怒らせてなんかいないよ……」おじいさんは小声で呟き、心苦しそうな表情を浮かべた。

「それで、どういうことですか?」

おばあさんは冷笑しながら、「由佳ちゃん、彼の体調はまだ良くないのに、家に帰りたいって言って、わざと私を怒らせようとしているのよ」

おじいさんは無力感を漂わせながら、「病院にいるって言っても、食べて飲んだりするだけで、家に帰ったほうがいい」とぼやいた。

おじいさんは入院を嫌っていて、数日前からその話をしていた。

由佳は説得しようとした。「おじいさん、体調が完全に回復していないのだから、もう少し病院にいるほうがいいですよ」

「自分の体調は自分が一番よくわかっている。もう良くなったから、病院にいる理由はないよ」

「おじいさんが決めることじゃない、医者に聞かないとダメです」

「聞く必要はない、自分でわかっている」おじいさんは胸を叩いて言った。

「おじいさん……」

「何を言っている?」

山口清次がスーツを着て外から入ってきた。手には整った紙袋を提げていた。

「どうして会社に行かないの?」おじいさんは眉をひそめながら彼を見た。

「まずはおじいさんを見に来た。後で会社に行くつもりだよ」

そう言って、山口清次は前に進み、紙袋をテーブルの上に置いた。そして由佳を一瞥して、「朝ごはんを食べていないかもしれないと思って、朝食を持ってきたんだ」と言った。

二人がソ
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