第7話

謙治郎との離婚手続きは異常にスムーズだったけど、財産分割の時に彼は奇妙な要求を出してきた。

彼は私と単独で会いたいと言った。

その不動産は元々両親が私に持たせてくれた持参金だから、何が何でも取り戻すつもりだった。

敬太は私のために憤って、「なんでこんな畜生がいるんだ——」

私は頭を振った。「大丈夫、会いたいって言うなら会ってやるわよ。もしかしたら、これが最後の面会かもね」

私は意味深に口角を上げた。

謙治郎は初めてのデートのカフェで会うことにした。後ろにはギフトボックスを持って。

彼は以前よりずっと痩せて見えた。かなり疲れてて、不安そうに手を合わせていた。「穂波、すごく会いたかった」

深い口調で、まるで愛し合っているカップルのようだ。

私はコーヒーを一口飲んで、「でも、私は全然会いたくなかったわ」と返した。

カップが激しくぶつかり合う音がして、謙治郎は涙を浮かべた。「穂波、一体どうすれば許してもらえる？

家も車も、何でもあげるから、お願いだ、俺を拒否しないでくれ！」

彼の目は真剣で優しくて、もし三年前の私なら、彼の言葉に感動して涙を流してたかもしれない。

でも今の私は、もうあの幼い女の子じゃない。

私は空いた右手の小指を撫でる。あの事故のせいで、残ったのは二本だけだった。

私は手を上げて、冷笑した。「お前と仲直りして、その後、私の他の二本の指も切り落とすつもり？」

謙治郎は私を見上げて、怯えた様子で涙を流した。「そんなことしない。もう二度とそうしない。俺が間違ってた、穂波、本当に間違ってた……」

彼は声を詰まらせて、以前のことを悔いているみたいだったけど、私は許せなかった。

私は淡々と立ち上がった。「もしあんたがこれだけを言いに来たなら、申し訳ないけど、付き合ってる暇はないわ」

彼の指は真っ白になり、手の甲に青筋が浮き出て、最後の賭けで箱を開けた。「穂波、見て、彼女の指も切り落とした——」

私は謙治郎がこんなに狂っているとは思わなかった。「あんた、正気？！」

「俺を許してくれないか？」謙治郎は狂ったように懇願し、目は赤くなっていた。「頼む、一目見てくれ。本当にお前を愛してる……」

私は吐き気を堪えて、彼に抱きつこうとする手を止めて、目の前で110番に電話をかけた。

警察に逮捕される前、彼は泣きながら叫んだ。「穂波、俺はお