第6話

私は冷笑して言った。「優菜があんたの娘じゃないなら、あの橘雪乃が産んだ子は本当にあんたの息子だっていうの？」

「お前みたいな安っぽい女が雪乃の名前を口にするな！教えてやるよ。湊は俺の本当の息子だ。お前と離婚したら、俺たちはすぐに結婚するんだ！」

「そう。おめでとう」と私は皮肉を込めて微笑んで言った。

その日のうちに、俊也は私と優菜の荷物を早く片付けろと急かしてきた。雪乃とその息子に場所を空けるつもりらしい。

私は黙って、俊也と一緒に元の家に荷物を取りに戻った。どうせ、この家が手に入ったとしても、もうここに住むつもりはなかったからだ。

ところが、家のドアを開けると、リビングには誰もいない。そして奥の義父母の寝室から、妙な声が聞こえてきた。

「湊の移植の話が流れちゃったじゃない。どうにかしてよ......」

「今は我慢してろ。しばらくすればまたやり直せるんだから。俺がついてるんだから心配するな、湊は俺の息子だしな......」

女がまた甘えたように笑ったあと、さらに言葉にできない声が続いた......。

俊也はそれを聞いて顔中に青筋を立て、寝室のドアを勢いよく蹴破った。

部屋の中には、全裸で抱き合っている義父と雪乃の姿があった。

私たちが入ってきたことに気づくと、二人は驚いて慌てて布を手に取り、体を隠そうとした。

「お、お前たち、どうしてこんな時に戻ってきたんだ？」義父は平静を装いながら尋ねた。

俊也はそんな言葉を聞き流し、怒りに燃えた目で義父に近づくと、いきなり彼の頭に拳を振り下ろした。

雪乃は顔を引きつらせ、慌てて間に入って止めようとした。「俊也、正気なの？彼はあなたのお父さんよ......！」

俊也は彼女を一蹴し、平手打ちを食らわせて地面に突き飛ばした。

「お前、父親だって分かってんのかよ！」

義父は無理に威厳を保とうとしながら、怒鳴り返した。「この反抗期め......！父親に手を上げるなんて許さんぞ！」

義父はそう言って俊也を叩き返そうと身構えたが、若くて怒り狂った俊也は暴れる牛のように手加減しなかった。

義父が抵抗すればするほど、俊也はさらに激しく殴りつけ、とうとう義父が泣き叫びながら助けを乞うまでになった。

その時、俊也の母、つまり姑も外から戻ってきて、夫が息子に殴られている場面を目にし、慌てて止めに入ろうとした。