共有

第5話

私は急いで娘を抱きしめ、優しくなだめた。「優菜、怖くないよ。お母さんがいるから......」

家族のことは無視して、娘を抱いて寝室に戻り、休ませることにした。

その間、家族の誰一人として、優菜の様子を気にかけて訪ねてくる者はいなかった。

しばらくすると、外から楽しげな笑い声が聞こえてきた。どうやら彼らは食事を始めたようだが、私たちを呼びに来る人間は誰もいない。耳に入ってきたのは、姑の声だった。

「ほら、湊、これはおばあちゃんがあんたのために特別に作ったロブスターだよ、たくさんお食べ。こっちのビーフシチューも湊の大好物だって、お母さんから聞いたんだよ」

「ママ、私も......食べたい」優菜も外から漂ってくる料理の香りに気づき、小さな声でつぶやいた。

私は娘の少し熱のある額をそっと撫でながら、胸の奥から怒りがふつふつと湧き上がってくるのを感じた。

「優菜、待っててね。お母さんが今、食べ物を持ってくるから!」

そう言うと、私はそのままダイニングに向かい、テーブルに並べられたロブスターとビーフシチューを手に取り、寝室に向かって歩き出した。

その後、キッチンでお粥を一杯すくい、さらにテーブルにあった野菜の盛り合わせも持ってきて、娘の前にそっと並べ、微笑んだ。

「さあ、優菜、たくさん食べな」

そして私は、文句を言おうとしていた家族に向き直り、低い声で冷ややかに告げた。

「今日は誰一人、優菜を驚かせるようなことを言うんじゃないよ。もしも一言でも騒ぎ立てるようなら、病院で優菜に何をしようとしたか、すべてぶちまけてやる!ご近所のみんなに見せてやるからね、あんたたちがどんな人間かを!」

普段、私は家では穏やかな話し方しかしてこなかった。だからこそ、こんな風に言い放つ私を見たのは、彼らにとって初めてのことだった。

全員が一瞬で黙り込み、言葉を失って私を見つめている。

姑はしばらくしてようやく状況を理解したらしく、ため息まじりに小声で言った。

「......食べるなら食べればいいさ。せめて少しは残してくれよ......」

優菜は喜んで食べながら、嬉しそうに料理を褒めてくれた。

「ママ、このご飯すっごくおいしいね!これっておばあちゃんが私のために作ってくれたの?」

娘の無邪気な笑顔を見て、私はこみ上げてくる涙をこらえ、笑顔で答えた。

「そうよ。おばあ
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status