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娘を救うため、裏切り家族に復讐を誓う元妻のリスタート
娘を救うため、裏切り家族に復讐を誓う元妻のリスタート
Author: 北ノ風ナキ

第1話

今、耳元では義母のうるさい小言が永遠ループ中。

「まったく、子どもが病気でも放ったらかしで、晩ご飯すら作らない気?あんた、うちの家族を何だと思ってるの?」

その声に我に返って、私は慌てて義母の鏡子に確認する。

「ねえ、朝に俊也が優菜を病院に連れて行ったけど、まだ帰ってきてないの?」

すると鏡子はますますヒートアップして、私を指差しながら怒鳴りつけた。

「帰ってきてないならどうだっての!うちの息子があんたのガキの面倒見に行ってんのに、あんたは家でのほほんとして文句ばっかり!」

その言葉を聞いた瞬間、私は家を飛び出そうとした。だって、前世ではたった一日で、優菜の臓器が俊也の愛人の子に移植されちゃったんだから!今なら、今ならまだ間に合うかもしれない!

だけど、私がドアに手をかけたところで鏡子がさっと立ちふさがり、腕をがっしり掴んでくる。

「どこ行く気だ?料理も作らないでさ!」

「急ぎの用があるから、夕飯はいらないから!」

そう言って無理やり振りほどこうとしたのに、鏡子は腕をグイッと引っ張って放してくれない。

「甘えた女だねえ!今日は絶対どこにも行かせないから、とっとと夕飯作りな!」

そう言い放って私を中に押し込むと、内側からカチャッと鍵をかけ、鍵を握りしめたまま寝室へと引っ込んでしまった。

この家のドアは、一度鍵をかけられると内側からは開けられない。で、その唯一の鍵を持っているのは鏡子だけ。焦りと悔しさで、私の目から涙がボロボロとこぼれてきた。

「お願いだから、今だけドア開けて!本当に大事な用なの!」

寝室のドアをバンバン叩いて懇願すると、鏡子がニヤニヤしながら出てきて、鍵を手でくるくる回しながら言ってきた。

「ふふ、どうしたの?あんたにも頼ることがあるんだ?」

「お願い、鍵を貸して!なんでもするから!」

鏡子はちらっと私を見たあと、わざとらしくつぶやくように言ってきた。

「別にいいのよ?ただね......来月、友だちと旅行に行く予定があってね。みんな豪華な金ピカつけてくるのに、私だけ何もないっていうのもねぇ......」

私は、鏡子が言い終わるのも待たずに話を遮った。

「......お義母さん、私の持ってるアクセサリーが欲しいんでしょ?今すぐ持ってきます!」

このアクセサリーは、私が結婚する時に両親が持たせてくれた結婚祝いのものだ。デザインも品質も一級品だし、何といっても丸々二キロもある重厚な金の装飾品だ。

鏡子は私が嫁いできたその日から、この金の首飾りを見てはよだれを垂らす勢いで欲しがっていた。これまでも、あれこれと嫌味を言っては、うちの実家に文句つけてまで何度も欲しいアピールをしてきたけど、私は決して渡さなかった。

だけど、今回は何も言わずに、このセットを鏡子に渡した。

鏡子はその金のセットを見て、目を輝かせながら、さっそくそれを手に取った。

その隙に、私はすかさず鏡子から鍵を奪い取って玄関を飛び出し、病院へと急いだ。

病院に着くと、廊下の端で立っている夫・俊也の姿が見えた。

「俊也!ちょっと止まりなさい!」私はそう叫びながら俊也に向かって駆け寄った。

私が息を切らしながら走ってくるのを見て、俊也は一瞬ぎょっとしたが、すぐにうんざりしたような顔で私を睨みつけた。

「そんなに急いで何だよ?死に急いでんのか?お前は家で待ってろって言ったろ。親父の腕を信用できないのかよ?」

そう、義父はこの小児病院の副院長で、腕は確かにいい。

だけど、腕が良かろうと人間性が腐ってちゃ意味がない。

私は俊也とケンカしてる暇もなく、すぐに彼の腕をつかんで叫んだ。

「優菜は?優菜は今どこにいるの?早く会わせて!」

俊也はめんどくさそうに私の手を振り払うと、言い放った。

「お前、ここで何ヒステリー起こしてんだ?優菜には俺と親父がついてるんだ。お前なんか、口出しするんじゃねぇよ。さっさと帰れ!」

「いやよ!優菜に会わせてもらえないなら、絶対にここを動かない!」

そう言って必死に俊也の腕を掴むと、彼は「邪魔なんだよ!」と怒鳴って、思いきり私を蹴り飛ばしてきた。

「うちの家のことに、いちいち首突っ込んでくんな!」

その時、義父がオフィスから出てきて、床に倒れ込んだ私を見ると眉をひそめ、俊也に向かって言った。

「なんで、こんな女をここに来させたんだ?」

痛みをこらえながら私は立ち上がり、義父に向かって叫んだ。

「お義父さん!優菜は今どこですか!優菜に会わせてくれないなら、警察に通報します!」

すると義父は、めんどくさそうに私を一瞥して言い放った。

「お前、何を騒いでるんだ?いいか、はっきり言ってやるが、優菜はもう心筋炎で助からなかったんだよ。すでに息を引き取った」

「今は、彼女の臓器を提供する手続きを進めてるところだ......」

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