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第 0783 話

作者: 水原信
海咲は沈黙していた。彼女もまた考え込んでいたのだ。

北部のイ族はファラオの部下に焼き討ちされ、村全体が壊滅してしまった。しかし、この地のイ族はファラオから支援を受けているという。この極端なまでの差に、海咲は直感的に何か裏があると感じていた。

彼女は少年に一瞥を送り、少年も無言でその後をついていく。

海咲は庭の中央に歩み寄り、薬草を仕分けしていた老婦人と小さな少女のそばに立った。地面に広がる薬草は、彼女にとって見慣れないものだったが、その根が非常に長いのが印象的だった。

「これ、どうすればいいの?」

海咲の言葉を、少年が即座に翻訳する。

老婦人はその声に気付き、自然と顔を上げて海咲と少年を見た。
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