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第 0432 話

二人は互いに譲らず、一触即発の空気に誰も口を挟むことができなかった。

州平の目は血走り、冷徹そのもので、海咲に対する怒りで感情が高ぶり、理性を失っていた。

だが、彼のその言葉に、海咲は妙に冷静になっていた。

両手を強く握りしめ、胸の奥に苦味が広がっていくのを感じた。

離婚は望んでいた結果のはずだったが、こんな形で終わるとは思わず、彼女の心にはわずかな喪失感が残った。

州平がここまで怒りを露わにするとは予想していなかったからだろう。

おそらく、今日は色々と立て込んでいたせいで、まだ気持ちが整理しきれず、感情が不安定で、二人の間の衝突を受け止めきれなかったのだろう。

州平が自分をじっと見つめ、最後
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