第 0341 話

彼女は一瞬、反応ができなかった。

そんなはずがない。

「数万か」お金を受け取った男はまだ欲をかいていて、簡単には諦めない様子だ。「あの女は数万以上の価値があるはずだろ」

海咲は冷静に言った。「これが今私たちが持っている現金の全てです。もっと欲しいなら持っていません。彼女を放しなさい。そうでないと、自分たちに面倒が降りかかることになりますよ」

「脅してるのか？」男たちは笑いながら言った。「俺たちが脅しにビビるとでも思ってるのか？お前らみたいな女、売っても数万以上にはなるだろ」

「こんなはした金で済ませようってのか？最低でも五百万は必要だな」

海咲は冷静に返した。「五百万？誰がそんな大金を持ち歩い