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第58話

望月グループは常に高い専門性を誇っており、望月景真は実力に関して心配する必要がなかったので、頷いて「もちろん、実力で決めるべきです」と言った。

相川副社長は自分の社長が了承したのを見て、すぐに話を続けた。

「藤原社長、望月グループが藤原グループのプロジェクトを一時停止したのは、私の部下が独断でやったことです。どうかご容赦ください。すでに罰しておきました」

商談の場での形式的な言葉を、藤原優子はそのまま信じるわけではなかったが、そこで望月グループの顔を潰すこともせず、相川副社長の言葉に合わせて、「そういうことなら、私たちもこれを機に和解して、今後は協力し、互いに助け合ってウィンウィンを目指しましょう」と微笑んで言った。

そして、酒杯を持ち上げ、望月景真と相川副社長に敬意を表し、酒を飲み干した後、「それでは今日はこの辺で解散しましょう。競売会でお会いしましょう」とにっこり笑った。

藤原優子がこうして会食を終わらせたのは、霜村冷司がすでに苛立っていたためだった。

望月グループと霜村グループは国内では同等の実力を持っていたが、アジア市場では霜村グループがトップ企業だった。

そのため、望月グループの人々も藤原優子の突然の解散宣言に対して特に異議はなく、むしろ霜村冷司に目を向けた。

冷たく無表情な彼が動かない限り、彼らも先に席を立つことはできなかった。

霜村冷司は「解散しろ」と淡々と言い放ち、すぐに藤原優子の手を取り、外へと向かった。

噂では女性に全く興味がないとされていた霜村冷司が、自ら藤原優子の手を握る姿を目にし、周囲は一瞬驚いた。

どうやら、二人の関係は想像以上に親密なようだ。

このことで、城西エリアの開発権が藤原グループに渡るのではないか、と望月グループは心配していた。

これこそが、以前から望月グループが藤原グループに対して手を打っていた理由だった。

部屋のドアが開く音を聞いて、和泉夕子は慌てて立ち上がった。

霜村冷司は藤原優子の手を握りながら、部屋から出てきた。

二人の指がしっかりと絡み合っている姿を見た瞬間、和泉夕子のまつげが微かに震えた。

彼女は何事もなかったかのように視線をそらそうとしたが、垂れ下がった目は勝手に霜村冷司が藤原優子の手を握っているところを見つめてしまった。

彼は強く握っており、その腕には血管が浮き出ていた。彼に
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