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第115話

和泉夕子は自分自身を嘲笑し、視線を戻して主座席に座った望月景真を見つめた。

「祝賀パーティーはどこで行われるのですか?」

「海天ホテルです」

そこはA市で最も豪華なホテルだった。

望月グループが祝賀パーティーを開催する目的は、城西エリアの契約を手に入れたことを祝うためだった。

たかが一つの区画だが、望月グループにとってA市での発展の基礎を築くものであり、当然祝うに値するものだった。

夕子は望月景真が自分を直接ホテルに連れて行くのだと思っていたが、彼は車を運転してブルーバイモールに向かった。

またしても同じ高級ドレス店に来たが、今回彼は専属のドレスを十着も彼女のために購入し、バッグやアクセサリーも揃えた。

夕子は高級感あふれる紙袋が次々とスタッフによってトランクに積み込まれるのを見て、頭痛を覚えた。

「望月社長、これでは送料が高くつきますよ」

望月景真は車のドアに寄りかかり、彼女に微笑んだ。

「今回は返さないでください。さもないと、あなたにずっと僕の相手をしてもらいますよ」

拒否を許さない口調に、夕子は一瞬呆然とした。

以前、桐生志越も同じように彼女に物を買い与え、それを受け取らないことも返品することも許さなかった。

彼は穏やかで優しい外見をしているが、実際には非常に執着が強く、偏執的な性格だった。

夕子は彼が本当に自分をずっと相手させるかもしれないことを恐れて、何も言わなかった。

これらの品々については、自分が死んだ後に沙耶香に返してもらうようにすればいいと思った。

望月景真は車を運転して彼女をホテルに連れて行った。

宴会場に入る前に、彼は彼女に自分の腕を組むように頼んだ。

夕子は彼を一瞥し、渋々ながらも腕を組んだ。

望月景真は彼女の腕が自分の腕に絡まったのを見て、思わず口元に微笑みを浮かべた。

二人は腕を組んで会場に入っていき、宴会場の人々は社長が女伴を連れて来たことに気づき、すぐに立ち上がった。

多くの人々からの祝福の雰囲気に包まれて、望月景真の口元の笑みはますます深まり、その表情には温かみが溢れていた。

宴会場は広く、豪華に装飾され、暖かい黄色のライトが灯り、穏やかな西洋音楽が流れ、高級感が漂っていた。

宴会に参加している男女は高級な礼服を身にまとい、ワイングラスを手に低い声で話し合っていた。

望月グループの上
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