共有

第126話

ドアを開けた瞬間、松本里美は山田麻衣の手を握りながら笑顔で言った。「お母さん、私たちはなんと言っても家族だから、優子がこれからもうちに来てもいいよ」

「里美ちゃん、そう思ってくれて本当に安心したわ。姉妹の関係が悪くなら心配してたの」

山田麻衣は彼女の真意を全く知らず、里美と高橋優子が仲直りする夢を見ていた。

誰も松本里美がどれだけ興奮していたかを知らない。来る途中、彼女は高橋優子がどれほど惨めな姿を想像していた。

ドアがゆっくりと開かれ、中の光景を見た瞬間、全員が固まった。

松本里美の笑顔も凍りついた。

ソファーの上には二人の人間が絡み合っていた。

佐藤峻介は上着を脱ぎ、白いシャツだけを着ていた。シャツのボタンは数個外れ、大きな肌が露出していた。

普段の几帳面で上品な姿とは全く異なり、このようなだらしない姿は非常に珍しかった。

彼の腕の中には一人の女性が抱かれていて、ドアが開く瞬間に彼はその女性の顔を胸に押し付けた。

皆が見えたのは、女性の細い腰と雪のように白い腕だけだった。

彼が前妻との情を断ち切れなかっただけだと誰も知らず、皆は佐藤さんが浮気をしていたと思った。

豪門ではよくあることで、多くの男性は表向きでは紳士でも、裏では一人一人が醜悪で卑劣なことをしている。

しかし、彼は佐藤峻介だった!

これまで多くの女性が彼にアプローチしてきたが、その結果は捨てられるだけだった。

彼は唯一公表した婚約者のが松本里美であり、登場するたびに愛妻家のイメージを築いていた。

だからこそ、世間の良い男が息子の誕生日パーティーで他の女性と浮気しているなんて……

菅野真菜はすぐに彼の腕の中の女性が高橋優子だと気づき、顔色が非常に悪くなった。

松本里美も佐藤峻介という有力な男性に頼っていて、自分が直接彼のことに関わることは大きな問題だった。

株をもらうどころか、菅野家自体が終わるかもしれない!

最も哀れなのは松本里美だった。彼女は小さなネットアイドルたちにライブ配信を頼んでいたが、ライブ視聴者は数千人程度だった。

しかし今、その配信は大爆発した。

「わあ!海鮮ディナーを見せてくれるって言ってたのに、これは何のシーン?でも好き!」

「これって佐藤さんじゃない?世間では禁欲系の高嶺の花って呼ばれてるけど、欲望が強すぎるでしょ!」

「でも、佐藤さ
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status