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第399話 何をしに来たのですか

紀美子はまた彼女の男性を奪うつもりかしら?!

彼女の知らない間に次郎と会っているなんて!

彼女は先ほどはっきりと見た!次郎が紀美子の腕を掴むなんて!

二人はいつそんなに親しくなったの?!

最低な女!晋太郎に近づいていたのに、また次郎ともかかわり始めたの?

紀美子はそんな卑しい行為が天罰を免れると思っているのかしら?!

ダメよ!彼女に次郎を取られるわけにはいかない!

私は何か方法を見つけて、次郎の心を自分だけに向かせる必要がある!

そう考えていると、静恵は次郎の車いすが彼女の方向に向かって来るのを見ていた。

彼女は慌てて嫉妬を隠し、無理やりに作った微笑を浮かべ、柱の後ろから出てきた。

「森川さん!」静恵は次郎に優しく呼びかけた。

次郎は声の方を向いて見た。

静恵を見たその時、彼の顔には少しも驚きの色がなかった。それどころか、目元にほんのりと皮肉が見えた。

実は、彼が紀美子の腕を掴んだ時、すでに静恵が現れたのを見ていたのだ。

わざとだったのだ。

静恵のような自己中な女は、あの風景を見て動じずにはいられないはずだ。

次郎は静恵に優しく頷き、「静恵、どうしてここにいるんだ?」

静恵は歯を食いしばる。

もし彼女がここにいなければ、先ほどの光景を見ることなんてなかったわ!

静恵は手に持った果物かごと腕の中で抱いた花を掲げ、「昨夜、あなたが休むと思って、だから今日来たの」

そう言って、彼女は次郎の前に行き、「森川さん、早く回復してください」

次郎は微笑を浮かべて頷き、そばのボディガードに目を向けた。彼に荷物を受け取ってもらうために合図した。

ボディガードが近づいて、プレゼントを受け取った。「坊ちゃん、病室に戻りますか?」

「戻ろう」次郎は言って、静恵を向いて、「静恵、一緒に上がらないか?」

静恵は「いいわ」と答えた。

病室に入ると、静恵は次郎をソファーに座らせた。

ボディガードは静恵と次郎に水を差し出し、その後病室を出てドアを閉めた。

次郎は声を柔らかくした。「静恵、これからは森川さんなんて呼ばなくていい」

静恵は一瞬呆然とした。「森川さん、どういう意味ですか?」

「名前で呼んでくれればいい」次郎は笑みを浮かべて言った。

静恵は少し恥ずかしそうに答えた。「ええ……えっと、じゃあ次郎、一つ質問してもいい?」

次郎は静恵に
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