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第69話

「君が納得するなら、それもいいけど、俺は兵役に10年も従事して、かなりの貯金があるから」

「男性のお金を使う習慣はないわ」

「そうか」

江本辰也は黙ってしまった。

唐沢桜子が働きに行きたいなら、それを止めるつもりはない。

彼もまだ準備中で、いつ実現できるかは未定だった。

「まず顔を洗ってきて。私は着替えるわ」

「うん」

江本辰也は頷き、外に出て行った。

リビングには誰もおらず、みんな出かけているようだ。

江本辰也は目覚めたばかりで、ぼんやりと洗面所に行き、適当に顔を洗った後、リビングで待っていた。

すぐに、唐沢桜子が着替えて出てきた。

彼女の姿を見て、江本辰也は目を見張った。

唐沢桜子は上が白いシャツ、下がタイトスカートで、ハイヒールを履き、成功したビジネスウーマンのような雰囲気を醸し出していた。

しかも、彼女のスタイルは非常に良く、黒い髪が背中に流れ、成熟した印象を与えていた。

「本当に美しい」

江本辰也は唐沢桜子を見ながら、まるで完璧な芸術作品を鑑賞するかのように感嘆した。

唐沢桜子はその場で一回転し、口元に軽く笑みを浮かべて「どう?」と聞いた。

江本辰也は親指を立てて「素晴らしい。前世で良いことをしたから、こんなに美しい妻を見つけられたんだと思うよ。」と褒めた。

唐沢桜子は口を尖らせ、「自分のことを美化しすぎよ。もし治療してもらってなかったら、あなたと結婚するなんてあり得ないわ。母さんが言ってた通りよ、もしあなたが美容院を開いたら、絶対に大成功するわ。そうすれば、私も働かずに安心して裕福な奥さんになれるのに」

江本辰也は顎を撫でながら考えた。

裕福な奥さん?

彼は以前、自分の資産を計算したことがなかったが、昨日計算してみると、なんと4兆円以上あった。この資産は、星野市のいちばんの金持ちに匹敵する。

しかし、黒介に南荒原でお金を稼いでもらうつもりで、新しく建設された商業センターを買う予定だ。

「心配しないで、必ず君を裕福な奥さんにするから」

「そんなに言い訳ばかりしないで。自分の力をわきまえてるかしら。さあ、もう3時近いわ。遅れるとグループの求人に間に合わなくなるわよ」

「うん」

江本辰也はようやく立ち
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