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第250話

神原清は呆然とした。「家、家業を継ぐためですって?」

南雲グループはもうないのでは?

今の会社は、資産とは呼べないだろう。

南雲華恋は頷いた。「そうです」

「でも、南雲部長、どうか衝動的にならないでください。千早のやり方は私も好きではないが、他人のせいで自分のキャリアを放棄しないでください」

「確かに一部の理由は立川千早のせいですが、その部分はとても小さくて、ほとんど無視できるほどです。本当に私が辞職を決めた理由は、来月南雲グループが新しい社長を選ぶからで、私は南雲グループを生き返らせたいのです」

必ずしも祖父の時代の輝きには達しないかもしれないが、せめて今の南雲グループをちゃんと企業として働けることができれば、彼女は満足だ。

神原清は驚いた。「しかし、私の聞いたところによれば、南雲グループはここ数年ずっと赤字状態ですと。あなたは本当に大丈夫なんですか?」

「私は決心しています」南雲華恋は辞表を神原清の前に差し出した。「神原社長、承認していただけることを願っています」

神原清は目の前の封筒を見つめ、受け取るべきか、受け取らざるべきか迷った。

しばらくしてから、「こうしましょう。この辞表は私が一旦預かります。あなたが南雲グループの新社長になりましたら、私が承認しますが、どうでしょうか?」

「神原社長と私の考えは一致しています。今すぐ辞めるつもりはありません。新しいデザイン部の部長を見つけるには時間が必要ですから、新しい部長が就任するまで、私は引き続き働きます」

神原清は言った。「南雲部長の口ぶりからすると、次の南雲グループの社長は確実ですね?」

南雲華恋は微笑んだ。

「それなら、先にお祝いを言いましょうか」

「ありがとうございます」

神原清は南雲華恋と少し話した後、自分のオフィスに戻った。そしてオフィスに戻るや否や、神原清は小早川に電話をかけた。「小早川さん、良くないことが起きました。南雲部長が辞職するそうです......」

南雲華恋は裏のボスの嫁だ。

こんな大事なこと、神原清は無視できない。

小早川はこのニュースを聞いて、少し驚いた。冷たい顔で財務部長の報告を聞いている賀茂時也を見た。

明らかに財務部長は財務報告書で賀茂時也を満足させていなかった。

財務部長もそれに気づき、口が乾きつつも壇上で話し続け、視線を小早川に向けて助
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