第150話

時也の父親は聞き終わり、やはり賞賛の表情を浮かべた。

竹田雪子はその様子を見て、太ももを強くつかみ、南雲華恋の度量のある表情を引き裂きたい気持ちになった。

この件は一段落した。

監視映像は再生され、すぐに南雲華恋と竹田雪子がすれ違う瞬間に達した。

小早川は映像をスローモーションにし、場にいる全員が息を呑んだ。

画面には、南雲華恋が竹田雪子のバッグに手を伸ばすシーンは現れなかった。

雪子の母親は呆然として言った、「一体どういうことなの？監視映像に手を加えたのでは？」

南雲華恋は微笑みながら言った、「おばさん、本当に私を高く見すぎです。この映像は当日の夜に手に入れたもので、何も手を加えていません。信じないなら調べてもいいです」

賀茂時也は怠惰に南雲華恋の背を撫でながら、少し楽しげに言った、「もう十分に明らかだろう、華恋がやったことではない」

竹田雪子は崩れそうになった。

彼女の計画では、監視映像を出せば、南雲華恋に泥棒や悪毒な嫉妬女などのレッテルを貼れるはずだった。賀茂時也が南雲華恋を許せても、時也の父親はこの結婚を絶対に認めなかった。

しかし彼女は全く予想していなかった、南雲華恋が監視映像を持っているとは。

彼女は深呼吸し、すぐに冷静になった、「そうですね、どうやらこの件は本当に華恋がやったことではないようです。おそらく伯父さんが言ったように、誰かが故意に問題を起こし、私たちの関係を壊そうとしているのかもしれません」

そう言って、彼女は南雲華恋を見て、心から言った、「華恋、ごめんなさい」

南雲華恋は微笑み、一瞬たりとも竹田雪子から目を離さなかった。

竹田雪子はその視線に背筋が寒くなった。

事は180度変わり、雪子の母親は不意を突かれ、小声で言った、「お前ではないなら、一体誰が？」

「母さん、」竹田雪子は急いで母親をつかみ、「この件はここで終わりにしよう、私たち帰ろう」

「ダメ！」雪子の母親は賀茂時也の前に進み出て言った、「時也、必ず徹底的に調査をしなければならない」

竹田雪子は声のトーンまで変わり、焦って母親を引っ張った、「母さん、もう時也を困らせないで、帰ろう！」

「待って！」南雲華恋が突然口を開いた。

引っ張り合っていた二人は動きを止め、南雲華恋を見た。

「竹田さんはそんなに去りたかったのですか？」

竹田雪子は拳を握り