Share

◇結婚願望はない 90

Author: 設樂理沙
last update Last Updated: 2025-04-23 11:56:54

90

「それで?」

と相馬さんに続きを促しながら頭の片隅で相馬さんが醸し出す

不思議な雰囲気の理由が分かり私は少し興奮してしまった。

『結婚するつもりがない』という、これだったのかー、と。

 謎が解けたスッキリ感。

 続きはどうなったのか、野次馬根性が顔を出す。

          ◇ ◇ ◇ ◇

「『私たちのことですけど……』

『……?』

『お付き合いして正確にはまだ1年じゃあないですけど、毎日

職場で会ってるしどうですか?

 そろそろ婚約とか、結婚に向けて話を進めてもいいと思うんですけど』

って言われて僕は腰が抜けるほど吃驚してね。

 付き合ってることになっているなんて、どこをどう考えれば僕たちが

付き合ってるーっ? てね」

「わぉ~、それは大変なことになったんですね」

「店の中で泣いたり怒ったり、彼女の独壇場だった。

 とにかくこれ以上何か言われても僕は結婚は無理なのではっきり言った。

『魚谷さんの中でどうして僕たちが付き合ってるっていうことに

なってるのか分からないけど最初宣言していた通り僕は誰とも結婚

しないから、その提案は無理です』

『相馬さんがそんな不誠実な人だったなんて、最低~』

 そう言い残して彼女店から出て行って、翌々日人事から彼女が

辞めることを聞いたんだよね。

 なんかね、今考えても狐につままれたような気分なんだよね」

「彼女に対して思わせ振りな態度、全くなかったのでしょうか」

「ないよ、信じて掛居さん。

 そうそう今言っとく。

……ということで僕には結婚願望は微塵もないのでフレンドリーになれれば

それはそれでうれしいけれど、それ以上でもそれ以下でも気持ちはないとい

うか、上手くいえないけど今度こそ長くパートナーとして一緒に仕事を続け

ていってもらいたいので話しとく」

「分かりました。

 金輪際、掛居花はどんなことがあっても相馬綺世さんに結婚を迫ったり

しないことをここに誓います。

ご安心めされよ」

「良かったよぉ~、掛居さん」

 そういうふうに泣くほど喜ばれた私の心中はちょい微妙な風が

吹いたのだが、今までの相馬さんが遭遇した不可抗力な恋愛系事件簿のこと

を思うと仕方ないなぁ~と思った。

「今度一緒に働けるのが掛居さんでほんと良かったわ」

「相馬さん、私に惚れられたりしたらどうし
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Related chapters

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦    ◇魚谷理生の野望と誤算 91

    91    新卒で入行した銀行を恋愛のいざこざで辞め、次に就職した派遣先の大手ハウスメーカーにも迷惑を掛けた形(社員との自分有責での婚約破棄)で受付嬢を辞職していた魚谷が、たった3ヶ月で槇原に辞められて落ち込んでいた相馬と、三居建設(株)で同じ部署で働けるようになるなんて、当初の魚谷には考えられない僥倖だった。……というのも、流石に派遣先の社員を裏切ってからの婚約破棄という事情での辞職は4年余り真面目に勤めていたとはいえ、派遣先と派遣元からの態度には冷たいものがあった。 派遣会社から登録を抹消されることはなかったが、前職のような条件の良い大手の企業への紹介はないだろうと魚谷は覚悟を決めていた。 雨宮や柳井との一件でかなり落ち込んでしまい、働きに出る気力というモノが沸かなかったことと、案の定派遣先からの仕事の紹介もなかったことから家事手伝いの態で家に閉じこもるような生活を続けていた。 そんな生活を1年ほど続けていた時に、もう仕事の斡旋などしてくれることはないだろうと思っていた派遣会社から『中途半端な時期になるが即日にでも』とそこそこ大手の建設会社への仕事依頼が入ったのだった。 おそらく急なことで他に行ける人員がなく、自分にこの良い話が回ってきたのだろうと魚谷は考えた。 決め手は、仕事の内容だった。 内容といっても実質の仕事内容のほうではなく、部署的なものといったほうがいいのか。 男性社員の補佐をする仕事と聞いたからだ。

    Last Updated : 2025-04-23
  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇自惚れ過ぎた痛い女 92

    92      この時魚谷はちゃっかりと派遣会社の担当者にその男性社員の プロフィールみたいなものを聞き出していた。  聞けたのは氏名と正社員ということ、そして独身だということくらい だったのだが。  知りたいことのふたつが入っていたのでその場で 『行きます、お受けします』 と答えたという経緯があった。  そう、当時結婚を焦っていた魚谷は相馬付きになった当初から 彼をターゲットに絞っていたのだ。 過去の不運のこともあり、余裕のない魚谷は相馬の 『自分にはトラウマがあって一生誰とも結婚しない生き方に決めている』 と言う言葉も馬耳東風、異性の気持ちを虜にするのは今まで簡単なこと だった魚谷にしてみれば、自分のほうから積極的にいけば、そんな普通では 信じられないような考えを変えることなど、いとも簡単なことだと 気にも留めていなかった。  思った通り、自分がデートに誘えば相手にしてくれた。 好きだとは一度も言われていなかったが、当初あんなふうな言葉を 語った手前、そうそう自分に好きだなんて言えるわけもないだろうと、 そんなふうに自分勝手な解釈でいた。そのため、結婚の話も少しの勇気を 出すだけで話題に持ち出せた。  それなのに彼は 『魚谷さんの中でどうして僕たちが付き合ってるっていうことになってる のか分からないけど最初宣言していた通り僕は誰とも結婚しないから、その 提案は無理です』 とはっきりと自分に告げたのだ。  一瞬何を相馬が言っているのか分からなかった。 過去の男たちは皆、私の気を引くために必死だったのよ。 ふたりの男性《ひと》たちから切望されたことも1度だけじゃないのよ。 そんな私が結婚を考えてあげるって言ってるのに何、それ。 信じられない。 私は気がつくと彼を詰り倒し店を出ていた。 家に帰り冷静になると、自分のしてきたことが如何に恥ずかしいこと だったのかということに思い至り、病欠で一週間休み続け、そのまま病気を 理由に辞職した。

    Last Updated : 2025-04-24
  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇企業内保育所 93

    93 花が新しく入社した三居建設(株)には、日中、未就学の子供の預け先がなくて困る社員たちのための企業内保育所というものがある。            **** 入社して少し落ち着いた頃、上司の指示で派遣社員の遠野さんに案内されることになった。 彼女の説明によると12名の乳幼児が預けられていて保育士が2名、補助のパートが1名……併せて3名で保育しているという。 私たちが部屋を覗いた時、1才~4才児がそれぞれ思い思いに遊んでいるところだった。 遠野さんから説明を受けていると私たちに気付いた40代とおぼしき保育士の芦田佳菜《あしだかな》女子ともう少し年下に見える綾川結衣《あやかわゆい》さんとが、私たちの方へと挨拶にきてくれた。 2人ともざっくばらんで話しやすく初対面だというのにぜんぜん気を張らなくて済み、私は自分のその時思ったことを構えることなく口にした。「時々、子供たちに会いにきてもいいでしょうか?」 今まで身近に小さな子はいなかったし、匠吾との結婚を考えていた頃も子供のことなんて何にも考えたことなどなかったというのに。ただ身近で小さな子たちを見ていて、心が癒されそんな気になったのだと思う。「ふふっ、掛居さんも、なんなら遠野さんも遊びにきてね。 子供たちも喜ぶと思うわ」 そう芦田さんから声が掛かると、側にいた綾川さんもそれから少し離れたところから私たちの会話に入ってきたパートの松下サクラさんも「いつでもきてくださいね」と言ってくれた。 自分たちのフロアーへの戻り道、遠野さんがこそっと教えてくれた。「えっと、松下さんは既婚者で正社員のおふたりは独身なのよ」「独身でも、ずっと可愛い子たちといられるなんて素敵なお仕事よね~」「あらっあらっ、もしかして掛居さん、保育所に異動したかったりして……」「うん、次の異動先の候補に入れるわ」「掛居さん、その頃私がまだ独身で、無名の小説家で時間に余裕があればご一緒させてください」「いいわよぉー。 遠野さんと一緒かぁ~、何だか楽しそう。ふふっ」

    Last Updated : 2025-04-24
  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇宣戦布告 1

    1「牧野さん、私、向阪 匠吾《こうさかしょうご》さん狙っていきまぁ~す」  一緒に社食に向かうこの春準社員で入社して来た島本玲子 が 開けっ広げに私に宣言してきた。 『いや、ちょっとそれは…まずいかも。しかし最近入ってきた人には 分かンないよね~』と心の声。 「水を差すようだけど向阪くんに彼女いる可能性は考えないの?」「彼、独身ですよね?」「ええ、まあ、独身だと思うわ」「じゃあ、もし彼女がいても無問題ですよ。 結婚がゴールだとしたらそこに辿り着くまではマラソンみたいなものだから    一番にゴールした者の勝利ってことで。 私の前に1人2人走ってたって平気ですよ。  ゴールのラインはまだ誰も踏んでませんからね」 「島本さんって積極的なのね~」 「私もう29才、いわゆる崖っぷちっていうやつなので、 大人しくしていたら永遠に独身まっしぐらですもん」『島本さん綺麗だから今までチャンスは幾らもあったと思うんだけど、 高望みし過ぎたとか?  20代で綺麗で積極性があって、なのにどうして今だに独身なのかしら、 と訊いてみたいところだけど、きっとここは踏み込んではいけないところよね』              向阪くんが掛居 花 《かけいはな》ちゃんと仲いいことは周知の事実に なっている。 中には知らない者もいるだろうけれど、ほとんどの者が知っている。 ほぼほぼ公認の仲っていうヤツよ。  29才独身はやはりパートナー狙いで入社してきたようだ。            ◇ ◇ ◇ ◇              実は彼女の採用時の最終面接にはうちの課の仕事の補佐をお願いするものだから課長、係長そして私と3人が人事課以外からも面接の場に立ち会っていた。  今回の応募者は20代前半の人が大半で20代後半は島本さんひとりだった。  経理経験者は彼女ともうひとり40代既婚の人がひとりだけ。 課長と係長は仕事ができることと見た目で、島本さん即決だった。 私は正直40代の女性とどちらにするか迷った。 結局私も島本さん推しということで彼女に決まったわけだけど、 私ひとりがあの時40代の女性を

    Last Updated : 2025-03-06
  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇ターゲットにはお相手がいた 2

    2 いや、ターゲットを狙うのはいいのよ、問題なくそのお相手が シングルならばね。  いくら結婚してないからって恋人がいるのが分かっていて 略奪みたいな真似はねぇ~、普通しないものでしょ。   前々から忙しい業種ではあるんだけれど、近年忙しいため募集をかけて 折角採用したのだから、揉めて辞めてくれるなよ~頼むよ~だ。  今我が社は近年の台風や豪雨そしてあちこちで頻発する地震と自然災害の 乱発がすごくて皆、青息吐息で社員は誰も彼も猫の手を借りたいほど 忙しいのだ。 そんな我が社は旧財閥系列の会社で社名もふたつの財閥の名称から取り 『三居掛友海上火災保険株式会社』と称する。  島本さんが狙ってる向阪くんは彼女より2才も年下で現在の仕事は 『損害サポート業務部の火災損害サポート部』社員として活躍している。 自動車損害サポート部も兼任しており将来を有望視されている若手社員だ。 花ちゃんは向阪くんと同年に同期入社し、総務部でテキパキ頑張ってる。  聞いたところによると向阪くんと花ちゃんは入社前から面識があったみたいだ。 交際がいつ始まったかは知らないけれど入社してすぐに付き合っていることは公認みたいな形になってる。  だからといって、別に社内でイチャイチャすることはないのよね、 今のところ。  ランチも一緒に摂ってるところなんて私は見たことないし。 不思議っちゃあ不思議よね。 そんなふたりが公認の仲?  今まで何も不思議にも思っていなかったのに島本さんの向阪くん狙いの 話から彼と花ちゃんのことを考えていたら辿り着いてしまったって感じよね。  あれだね、きっと向阪くんが花ちゃんに悪い虫が付かないよう、 自分から周りにじわりと小出しにして認識させていったのかも。           ◇ ◇ ◇ ◇  準社員として配属された島本玲子の上司で正社員の牧野千鶴38才既婚、 大学を卒業してから早16年勤務……は、知らなかった。 従業員はパートまで含めると約3万人近くになる規模の会社で 取締役会長に始まり同じような執行役員という名の付く役員が 4、50人もいる中、そのような重役から下の役職へとふたりのことは 伝達されていたのである。  伝播された設定はこうだ。  向阪

    Last Updated : 2025-03-06
  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇バーベキュー3

    3 10年前学生だった頃、姉の恋人を寝取ったのを皮切りに、人のモノ、 即《すなわ》ち彼女持ちの男を射止めるのが癖になってしまった島本玲子は 元々がそのような拗れたところからの恋愛を繰り返してきたため、 最後はいつも破局してしまいこの年になっても未だ独身だった。  言い寄られて彼女のいないれっきとした独身男性との交際も 時にはあったが飽き症の上にすぐ人のモノが欲しくなる性格も相まって なかなか結婚まで辿りつかない。  向阪に関していえば社内のカフェテリアで何度か見かけたのが切っ掛けだ。 背が高く容姿がずば抜けて整っている。 男性にしてはゴツゴツしてなくて、顔の肌が女子顔負けにきれいで さらには鼻梁の線も美しく、くっきりとした二重瞼と併せて彼の顔を きりりとした表情に作り上げている。  実は彼の顔をなるべくはっきり見たくて自然を装って 彼が座っていた近くを何度か行ったり来たりした。  島本玲子が入社した会社では、バーベキュー施設は地域問わず多く存在し、物品や材料が備えられているケースも多いため実施ハードルは低めで、屋外で自然と触れ合いながら飲食をすれば、非日常感溢れる環境だからこその仲が深まりやすい点もあり職場内よりも開放的な気持ちでコミュニケーションが取れるメリットがある。 そのため、BBQは毎年恒例の行事となっている。 玲子が入社して3ヶ月目に突入した頃のこと。  3日後の日曜日に社内の親睦を兼ねたバーベキューが催されることに なり、玲子は絶対この日に向阪のメルアドをGetしようと決めていた。          ◇ ◇ ◇ ◇             私は慎重に向阪 匠吾の様子を窺った。  周りに人はいても、実際彼に話し掛けている者がいない隙ができたのを 見計らい私は近づいて行った。

    Last Updated : 2025-03-06
  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇メルアドGet 4

    4 「こんにちは。  私バーベキューは今回が初めてで何をしたらいいのか要領が分からなくて……」 「あぁ、最近入られたのですか?」「はい、準社員でこの春から」 「うちは何年か勤めれば採用テストがあって正社員登用の道があるし、 皆親切な人が多くて働きやすい職場ですよ」 「そうなんです、正社員になれる道があると聞いてこちらの会社に 入社することに決めました」「早く正社員になれるといいですね」 「ありがとうございます。  まだまだ知らないことだらけで、経理部の人たちしか知らないですし、 何か困ったことがあればお聞きしてもいいでしょうか?」 「あぁ、もちろんいいですよ」 「じゃあ、もうしわけありませんがメルアド赤外線通信で 送っていただいても構いません? 私、赤外線の送信のしかたが今ひとつ分からなくて……」 「いいですよ……」 「ありがとうございます。うれしいです」  彼の側に知り合いが集ってきたところで、私は早々に引き上げた。  連絡がとれるようになったのだから、もう何も焦る必要なし……と 言いたいところだけど今回は今までとは違うからね~、ちょっと焦るわぁ~。  先日私が牧野さんに話していたように崖っぷちはほんとだから。 向阪くんは旦那さん狙いだもん。  絶対落とさなきゃ。          ◇ ◇ ◇ ◇  島本にロックオンされているとも知らず、一方その頃向阪は 呑気なものだった。 「向阪 、さっきの美女誰よ」「えっと、誰だっけ? 忘れた。  さっき初めて会った、はじめましてさんだよ」 「なにぃ~、そんなわけあるかよ」「いや、まじそうなんだって」 「それではじめましてさんと何してたんだ?」 「いやぁ、何も。最近入社してきたって言ってたわ。  分からないことがあったらまた教えてくださいって言われただけ」「へぇ~、お前狙われてるんじゃねぇ」 「それはないだろ。俺には……」 「掛居 さんがいるもんな。気をつけろよ」「考え過ぎだって」  彼女はあんなこと言ってたけど、おいおい社内外のことをいろいろ 知っていくうちに俺と花のことも誰かから耳打ちされるだろうし、 そしたらメールなんてのも来ないだろう。  しかし、男なら誰でもグラっと

    Last Updated : 2025-03-06
  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇かわいい嫉妬 5

    5    ◇かわいい嫉妬  向阪は気付いていなかったが島本とのアドレス交換しているところを 少し離れた場所から見ていた人物がいた。  それは向阪 の恋人で10代の頃から付き合っている掛居花だった。   帰りは花と足のない同僚ふたりを乗せそれぞれを最寄駅まで送り届けたあと、匠吾と花は北区のビバリーヒルズと呼ばれる高級住宅街に建ち並ぶそれぞれの豪邸近くへと帰って来た。  彼らは匠吾の父親が兄で花の母親が妹という兄妹の娘、息子、即ち従兄妹同士だった。  祖父の豪邸を真ん中に挟み匠吾と花は左右に住まっている。 今回は匠吾の車でBBQに出掛けていた。 その匠吾の車は近所にある公園の駐車場に止められた。 会社イベントは楽しかったけれどふたりでゆっくり話す時間もなかったため、少し話をしてから帰ろうということになったからだ。イベントの残りの缶コーヒーを飲みながら花は訊いた。 「今日島本さんと何話してたの?  匠吾、鼻の下がビロ~ンって伸びてたけど」 「ビロ~ンってオマエなぁ~、なぁ~に言っちゃってんの。  入社仕立てなんで分からないことがあったら教えてくださいって お願いされてたんだってぇ」 「へぇ~、接点のない他部署の匠吾に教えを乞うなんて不自然だよね」 「そうか?」「そうよ、おかしいよ。メルアド交換したでしょ」 「あっ、あぁそうだったっけ……」「ふ~ん、心配だな」 「大丈夫だって、わたしを信じなさいっ」「信じていいの? ほんとに?」 「大丈夫、ンとに心配性だなぁ~花は。  花が思うほど俺ってモテないから」 「もし、彼女から相談があるから会って話を聞いてほしいって言われたら どうするの?」 「電話で聞くようにする」「外では会わない?」 「会わない……」「よかった。それ聞いて安心した」「俺も良かったぁ」「何が?」 「ちゃんと花が俺に焼きもち焼いてくれることが分かったから」  俺がそういうと怒るかなって思ったけど花の反応はそうじゃなかった。 『じゃあ、約束ね』といって小指を出してきた。  そのしぐさが可愛いなって思った。  車の中じゃなかったら盛大にハグしたのに、残念。         

    Last Updated : 2025-03-06

Latest chapter

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇企業内保育所 93

    93 花が新しく入社した三居建設(株)には、日中、未就学の子供の預け先がなくて困る社員たちのための企業内保育所というものがある。            **** 入社して少し落ち着いた頃、上司の指示で派遣社員の遠野さんに案内されることになった。 彼女の説明によると12名の乳幼児が預けられていて保育士が2名、補助のパートが1名……併せて3名で保育しているという。 私たちが部屋を覗いた時、1才~4才児がそれぞれ思い思いに遊んでいるところだった。 遠野さんから説明を受けていると私たちに気付いた40代とおぼしき保育士の芦田佳菜《あしだかな》女子ともう少し年下に見える綾川結衣《あやかわゆい》さんとが、私たちの方へと挨拶にきてくれた。 2人ともざっくばらんで話しやすく初対面だというのにぜんぜん気を張らなくて済み、私は自分のその時思ったことを構えることなく口にした。「時々、子供たちに会いにきてもいいでしょうか?」 今まで身近に小さな子はいなかったし、匠吾との結婚を考えていた頃も子供のことなんて何にも考えたことなどなかったというのに。ただ身近で小さな子たちを見ていて、心が癒されそんな気になったのだと思う。「ふふっ、掛居さんも、なんなら遠野さんも遊びにきてね。 子供たちも喜ぶと思うわ」 そう芦田さんから声が掛かると、側にいた綾川さんもそれから少し離れたところから私たちの会話に入ってきたパートの松下サクラさんも「いつでもきてくださいね」と言ってくれた。 自分たちのフロアーへの戻り道、遠野さんがこそっと教えてくれた。「えっと、松下さんは既婚者で正社員のおふたりは独身なのよ」「独身でも、ずっと可愛い子たちといられるなんて素敵なお仕事よね~」「あらっあらっ、もしかして掛居さん、保育所に異動したかったりして……」「うん、次の異動先の候補に入れるわ」「掛居さん、その頃私がまだ独身で、無名の小説家で時間に余裕があればご一緒させてください」「いいわよぉー。 遠野さんと一緒かぁ~、何だか楽しそう。ふふっ」

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇自惚れ過ぎた痛い女 92

    92      この時魚谷はちゃっかりと派遣会社の担当者にその男性社員の プロフィールみたいなものを聞き出していた。  聞けたのは氏名と正社員ということ、そして独身だということくらい だったのだが。  知りたいことのふたつが入っていたのでその場で 『行きます、お受けします』 と答えたという経緯があった。  そう、当時結婚を焦っていた魚谷は相馬付きになった当初から 彼をターゲットに絞っていたのだ。 過去の不運のこともあり、余裕のない魚谷は相馬の 『自分にはトラウマがあって一生誰とも結婚しない生き方に決めている』 と言う言葉も馬耳東風、異性の気持ちを虜にするのは今まで簡単なこと だった魚谷にしてみれば、自分のほうから積極的にいけば、そんな普通では 信じられないような考えを変えることなど、いとも簡単なことだと 気にも留めていなかった。  思った通り、自分がデートに誘えば相手にしてくれた。 好きだとは一度も言われていなかったが、当初あんなふうな言葉を 語った手前、そうそう自分に好きだなんて言えるわけもないだろうと、 そんなふうに自分勝手な解釈でいた。そのため、結婚の話も少しの勇気を 出すだけで話題に持ち出せた。  それなのに彼は 『魚谷さんの中でどうして僕たちが付き合ってるっていうことになってる のか分からないけど最初宣言していた通り僕は誰とも結婚しないから、その 提案は無理です』 とはっきりと自分に告げたのだ。  一瞬何を相馬が言っているのか分からなかった。 過去の男たちは皆、私の気を引くために必死だったのよ。 ふたりの男性《ひと》たちから切望されたことも1度だけじゃないのよ。 そんな私が結婚を考えてあげるって言ってるのに何、それ。 信じられない。 私は気がつくと彼を詰り倒し店を出ていた。 家に帰り冷静になると、自分のしてきたことが如何に恥ずかしいこと だったのかということに思い至り、病欠で一週間休み続け、そのまま病気を 理由に辞職した。

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦    ◇魚谷理生の野望と誤算 91

    91    新卒で入行した銀行を恋愛のいざこざで辞め、次に就職した派遣先の大手ハウスメーカーにも迷惑を掛けた形(社員との自分有責での婚約破棄)で受付嬢を辞職していた魚谷が、たった3ヶ月で槇原に辞められて落ち込んでいた相馬と、三居建設(株)で同じ部署で働けるようになるなんて、当初の魚谷には考えられない僥倖だった。……というのも、流石に派遣先の社員を裏切ってからの婚約破棄という事情での辞職は4年余り真面目に勤めていたとはいえ、派遣先と派遣元からの態度には冷たいものがあった。 派遣会社から登録を抹消されることはなかったが、前職のような条件の良い大手の企業への紹介はないだろうと魚谷は覚悟を決めていた。 雨宮や柳井との一件でかなり落ち込んでしまい、働きに出る気力というモノが沸かなかったことと、案の定派遣先からの仕事の紹介もなかったことから家事手伝いの態で家に閉じこもるような生活を続けていた。 そんな生活を1年ほど続けていた時に、もう仕事の斡旋などしてくれることはないだろうと思っていた派遣会社から『中途半端な時期になるが即日にでも』とそこそこ大手の建設会社への仕事依頼が入ったのだった。 おそらく急なことで他に行ける人員がなく、自分にこの良い話が回ってきたのだろうと魚谷は考えた。 決め手は、仕事の内容だった。 内容といっても実質の仕事内容のほうではなく、部署的なものといったほうがいいのか。 男性社員の補佐をする仕事と聞いたからだ。

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇結婚願望はない 90

    90     「それで?」 と相馬さんに続きを促しながら頭の片隅で相馬さんが醸し出す 不思議な雰囲気の理由が分かり私は少し興奮してしまった。 『結婚するつもりがない』という、これだったのかー、と。  謎が解けたスッキリ感。  続きはどうなったのか、野次馬根性が顔を出す。           ◇ ◇ ◇ ◇ 「『私たちのことですけど……』『……?』『お付き合いして正確にはまだ1年じゃあないですけど、毎日 職場で会ってるしどうですか?  そろそろ婚約とか、結婚に向けて話を進めてもいいと思うんですけど』 って言われて僕は腰が抜けるほど吃驚してね。 付き合ってることになっているなんて、どこをどう考えれば僕たちが 付き合ってるーっ? てね」 「わぉ~、それは大変なことになったんですね」「店の中で泣いたり怒ったり、彼女の独壇場だった。 とにかくこれ以上何か言われても僕は結婚は無理なのではっきり言った。『魚谷さんの中でどうして僕たちが付き合ってるっていうことに なってるのか分からないけど最初宣言していた通り僕は誰とも結婚 しないから、その提案は無理です』 『相馬さんがそんな不誠実な人だったなんて、最低~』 そう言い残して彼女店から出て行って、翌々日人事から彼女が 辞めることを聞いたんだよね。 なんかね、今考えても狐につままれたような気分なんだよね」 「彼女に対して思わせ振りな態度、全くなかったのでしょうか」「ないよ、信じて掛居さん。 そうそう今言っとく。……ということで僕には結婚願望は微塵もないのでフレンドリーになれれば それはそれでうれしいけれど、それ以上でもそれ以下でも気持ちはないとい うか、上手くいえないけど今度こそ長くパートナーとして一緒に仕事を続け ていってもらいたいので話しとく」 「分かりました。 金輪際、掛居花はどんなことがあっても相馬綺世さんに結婚を迫ったり しないことをここに誓います。ご安心めされよ」「良かったよぉ~、掛居さん」 そういうふうに泣くほど喜ばれた私の心中はちょい微妙な風が 吹いたのだが、今までの相馬さんが遭遇した不可抗力な恋愛系事件簿のこと を思うと仕方ないなぁ~と思った。 「今度一緒に働けるのが掛居さんでほんと良かったわ」「相馬さん、私に惚れられたりしたらどうし

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇どうしようもなかった 89

    89「次に派遣されて来た|女性《ひと》は、|魚谷理生《うおたにりお》さんっていう人で約1年続いたけど、何て言えばいいのか……。 仕帰りにたまにお茶して帰るくらい打ち解けてきて、仕事もお願いすれば説明しなくてもあらかたスムースに作成してもらえるくらいになって上手くいってると思ってたんだけど、残念なことになってしまってね。 彼女が辞めてから何度も自分の中で何がいけなかったのだろうかと自問自答したけども『どうしようもなかった』としか……ね、思えなくて」「相馬さん、それって具体的には言いにくいことなんですか?」「これから一緒に働くことになった掛居さんにはちょっとね」「意味深に聞こえましたが……」「魚谷さんに、恋愛感情を持たれていたみたいなんだ。 最初に気付いた時に『自分にはトラウマがあって一生誰とも結婚しない生き方に決めている』って彼女にカミングアウトしてたんだけどねー。『結婚を押し付けたりしないのでたまにはデートしましょ』と言われ、まぁそれでうまく仕事が回っていくならいいかなと思い、たまに……と言っても魚谷さんが辞めるまでに3度出掛けたくらいかな。 あとはこうやってブースで息抜きに雑談したり彼女の相談に乗ったり、仕事帰りにお茶して帰ったり。 とにかく彼女が気持ちよく仕事ができればと付き合ったんだけど……」「上手くいってたのに、最後上手くいかなかったのはどんな理由だったのでしょうか」「あれは、仕事が落ち着いてきて定時上がりになった日のことだった。 帰りにお茶でもと誘われてカフェに入った時のこと。『私こちらに入社して1年経ちました』と彼女から言われ『ああ、もうそんなになるんだね。これからもよろしくお願いします』と返したんだ」

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇相馬さんは素敵な男性 88

    88「サイン?  う~ンっとっと、そう言えば朝から熱でもあるのか顔を赤くしてた日が   あった、かな。 ちょっとその日は変で僕とあまり視線を合わせてくれなくて。 それで僕の方もなんとなく槇原さんに声をかけづらくなってしまって、 そういうのもいけなかったかもしれないなぁ。 まぁ辞めたくらいだから、僕との仕事は息が詰まってしんどかったのかも しれないね」 「彼女、ちゃんと辞める理由があったみたいなので相馬さんとの仕事が 嫌だったわけではないんじゃないかと」 「そうだよね、変に勘ぐってもどちらにとってもよくないと思うから そういうことで、とは思うけどもね」 私は槇原さんがどういう女性《ひと》か知らないから断定はできない けれど、もしかしたら相馬さんと毎日近い距離での仕事だったから しんどくなったのかも、と思わなくもなかった。 片思いってしんどいものだから。  私も匠吾と両思いになって付き合うようになるまでは、ドキドキしたり 心配だったりでずっと不安だったもの。  相馬さんみたいな素敵な男性《ひと》からアプローチがあれば 私も彼におちるかもね、なぁ~んて。 だけど相馬さんからはまず異性に対する溢れだす特別な感情?  みたいなものがぜんぜん出てない。  だから私もぜんぜんっ意識しないで仕事だけに集中できるんだけどね。 周囲の噂だけを鵜呑みにする限り、相馬さんが次々に派遣の女性と 何かあって彼女たちが辞めたのでは?  みたいにとられている節があるけれども普段の仕事振りと今話してる 彼の様子から、そういうのじゃないっていうか、相馬さんは誰彼なしに 女性に手を出す人じゃないっていうことが分かる。

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇疑心暗鬼 87

    87「……といいますと」「……といいますとですね、私の前にいた2人の派遣社員の人たちはどちらも短期で辞めてしまったと聞いています。 相馬さんは私のこともいつ辞めるか分からないって思ってません?」「実は、疑心暗鬼……少し思ってた、思ってる?」「簡単に言いますと『頑張りまぁ~す』ということを言いたかったのです。 それでその疑心暗鬼になっている理由を知りたいということです。 よければどうして派遣の人たちが続けて短期間で辞めることになったのか。理由が分かれば、私はそうならないように気をつければいいと思いますし」「じゃあ、僕の分かりにくいかもしれない話を聞いて何か気付いたこととかあったら意見ください」「OKです」 これまであったことを話しますと言った相馬さんは顎を少し上げ、窓の外、視線を虚空《こくう》に向け口をへの字にして思案しはじめた。 彼の視線が私のほうへと戻り私の視線と絡まった時、被りを振り「思い当たることがないんだよねー」と言った。「入社した時の様子はどんなでしたか? その時からあわなさそうな雰囲気ありました? あわないっていうか馴染めないっていうか」「最初の印象はすごく良かったんだ。 頑張りますっていう勢いみたいなものを感じたね」「へぇ~、じゃあ仕事を任せていてずっとスムーズでしたか? それとも何か……」「掛居さんに訊かれて思い出したけど、そう言えばミスが続いたことがあったね」「相馬さん、相馬さんに限って叱責なんてされてませんよね~?」「気にしないようにって。 次から気をつけるようにとフォローしたけど、まぁ僕のフォローの仕方がまずかったのかもしれないなー。 真面目な人だからものすごく謝罪されて困ったよ」「その辺りから何かしら彼女がサイン出してなかったでしょうか?」

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇ お仕事頑張りますっ 86

    86◇花と相馬コンビ 花が相馬の仕事を補佐するという業務に付いてから3週間が経とうとしていた。                           当面の仕事として書類整理、電話対応、PCでのデータ入力、資料作成など少しずつ係わらせてもらっている。 相馬さんの指導は丁寧で性格のやさしい人らしく説明はいつも穏やかで感じの良いもの言いだ。 今取り掛かっている仕事が一息付いたのか、珍しくすぐ側にあるブースへ誘われた。「掛居さん、ちょっといいかな、ブースまで」 指でブースを指す相馬さんから声を掛けられた。「はい、大丈夫です」「掛居さん、どうですか僕との仕事、やっていけそうですか? 何か改善してほしい点とかあったら忌憚なく言ってほしいんだけど」「相馬さん、お気遣いありがとうございます。 今のところ大丈夫です。 相馬さんのご指導が丁寧なので助かっております」「ほんとに? 本心?」「相馬さん、これまでいろいろご苦労があったみたいですがそれで私にもものすごく気を遣われてるのでしょうか?  こんなこと、まだ知り合って間もない私が言うのもおこがましいのですが」「ええー、掛居さん、何言おうとしてんのかなぁ。怖いんだけど」「ふふっ、前振りの仕方がよくなかったでしょうか?」「いやまぁ、それで言いたいことは何かな? 聞くけど」「折角ブースでお話できる機会に恵まれましたので雑談などをと思いまして。駄目?」 すごいなぁ~掛居さんは。 チャーミングに雑談を誘うなんて、いけない女性《ひと》だよ、まったく。「こっ怖いんだけどぉ~」「少しだけ、お願いします。 いろいろと派遣の人たちから聞いていて、噂だけじゃあ何が真実か分からなくて、相馬さんの口から分かることだけでも聞けたら今後の私の仕事の仕方なども方向性が見えるかなと思うので。 何故こんな野次馬とも取れることを聞こうって思ったかというとですね、私は相馬さんの仕事を実力をつけてもっともっとフォローしたいと考えてるからなんです。 私も人の子、明日何があるかなんて分からないので100%の確約はできませんが正社員でもありますし、できれば腰掛的にではなく長期に亘りこちらの仕事を続けられればと思ってます」

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇慰謝料 85

    85 そして迎えた週末、指定されたホテルへと向かった。 私たちが案内されたのはミーティングルームだった。 6人でということだったがあちらは4人だった。 話は婚約中にも係わらず、私が別の男性と交際していることが分かったので婚約破棄するという内容だった。 両親にも何も話してなかったため、母親は泣いて怒り、父親からは勘当すると言われた。 知らない顔の男性は弁護士で私は慰謝料を支払うことになると告げられた。 ほとんど雨宮さんもご両親も私に顔を合わせてはくれなかった。 謝罪する両親の横で私も一緒に謝罪するしか術がなく居たたまれなかった。 あちらの家族が退出したあと、母が私に訊いてきた。「それで柳井って人とはこのまま付き合うの?」 私は頭《かぶり》を振り答えた。「振られた。彼、雨宮さんの親友だったの」「悪いことはできないものね。世間は狭いってことね。 だけど心変わりしたのならお付き合いする前に雨宮さんに断りを入れて謝罪すればよかったものを、こういうことはいつかバレるものでしょ? 今更だけど、いつまでも隠しておけるものでもないんだから。 理生、あなたは私と違って器量よしで今まで男に不自由したことがないかもしれないけど、こういうことって先の縁談に不利になるのよ。 慰謝料払ったっていう前例を作るわけだし」「お母さん、お父さん、迷惑かけてごめんなさい」          ◇ ◇ ◇ ◇ 社内公認で付き合っていた雨宮と魚谷たちがよそよそしくなると、どうしても誰かから理由を聞かれるのは止められず、雨宮が進んで言い触らしたとかではなかったが魚谷の仕出かしたことは社内で知れるところとなり、数年勤めた会社を逃げるようにして魚谷は辞めたのだった。

Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status