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文月 澪
文月 澪
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Novel-novel oleh 文月 澪

推し似の陽キャ王子は腹黒でした

推し似の陽キャ王子は腹黒でした

私はオタク陰キャのカースト底辺女子。 ある日、同人誌即売会で思わぬ人物に遭遇! その人はクラスの人気者、陽キャ王子の岬君だった。 陽キャ王子の裏の顔は溺愛オタク!?
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Chapter: 逃がさない
 彼女を初めて知ったのは、小学校6年の夏。俺はこの頃から既にオタクの仲間入りをしている。今まではただ観ていたアニメや漫画に、それ以上の魅力を感じるようになっていたんだ。 そのきっかけは日曜朝の特撮番組。戦隊モノのメンバー2人の距離が、妙にバグっている事に気付いた。コートを手渡すレッド、それをなんの疑問もなく受け取るピンク。そして他のメンバーも何も言わない。(あれ? これって、付き合ってんじゃないの……?) 小6といえば、思春期真っ只中。そういう事に興味を持ち始めるけど、自分自身ではピンとこない。クラスメイトの女子も、好意の対象にはならなかった。きっと、このカップルで疑似恋愛をしていたんだと思う。 それからは、あらゆるアニメや漫画でカップルを探すようになった。原作順守、公式以外のカップルは論外だ。ぼかされているキャラならまだしも、はっきりとカップルとして描かれているキャラを、別のキャラとくっつける意味が分からない。 この頃はまだ二次創作の作法もよく分かっていなかったから、無茶をやったりもした。アニメの切り抜きをSNSのアイコンにして怒られたり、過激な書き込みをしたり。それを指摘してくれる人がいたのは、幸いだったと思う。もしいなければ、俺はキモオタになっていただろう。 そんな中、イラスト投稿サイトで推しカプを漁っていた時に、たまたまオススメに上がってきたそれは、解釈ドンピシャ、絵柄も好みでファンになるのに時間はかからなかった。それが彼女だ。その頃はフォロワーも少なくて、ちょっとした優越感に浸っていたのを覚えている。 同人誌のカップルというのは、あまり男子が寄り付かないジャンルだ。そこはオタクが気持ち悪がられる所以とも言える。世に二次創作が出始めた頃は、キモオタが集まるエロい同人誌が幅を利かせていた。そして代名詞とも言える婦女子の台頭。 俗にNLと呼ばれる男女のカップルもTL勢が増え、少女漫画のコミック売り場は無法地帯となっている。TLとはティーンズラブの略。でもその中身は……。 この辺りは結構議論されているらしい。BLやTLは、最早エロ本といっても過言ではないのに、小学生でも買えてしまう。否定派ではないけど、疑問は残るかな。 それはともかく、中2の秋に地元の同人誌即売会で彼女が出品する事を知った俺は、飛び上がる程に喜んだ。まさか同郷だとは思っていな
Terakhir Diperbarui: 2025-04-14
Chapter: 逃げられない
 今日も憂鬱な一日が終わった。 外はまだ残暑が厳しく、眩しい太陽が目に痛い。  それでも秋の気配は感じられる。 カーテンを揺らす風は、少しの冷気を含んでいた。 ――明日は晴れるかしら。 帰りのホームルームで先生の連絡事項をぼんやりと聞きながら、私の思考は既にここには無かった。 私は自他ともに認める、クラスカースト最底辺の陰キャだ。制服はデフォルトのまま、長い髪を三つ編みにして、分厚い眼鏡をかけた姿は芋臭い。 友人達も似たりよったりだ。このクラスはありがたい事に、陽キャによるイジメが無い。ギャーギャーと煩いDQNとは違う、本物の陽キャ達だからだ。 その中心人物に、そっと視線を向ける。 そこには、あくびを噛み殺している黒髪の少年がいた。 岬 涼。 陽キャのわりに髪を染めたりしていない。制服もきちんと着ているし、ピアスなんかも見当たらなかった。 それも偏見かと、ひとつ溜息を吐く。 岬君は身長も高く、スポーツ万能、成績も良い。根っからのカースト上位男子。私とは真逆もいい所だ。 別に好きだとか、そういう訳じゃない。 ただ、推しに似ているのだ。 私は陰キャの例に漏れず、オタク趣味をたしなんでいる。昨今、アニメや漫画は日本の文化とも言われるようになってきた。それでも、オタクには中々に厳しい世の中だ。 既に飽和状態にあると言ってもいい、数あるアニメの中のひとつに、私は沼っていた。 小説を原作とするそのアニメはゲームにもなり、今話題の人気作だ。勿論小説もチェック済み。コミカライズもされ、一気に人気は広がった。 作風としてはありがちな無双モノ。  私も最初は忌避していた。こういった作品は得てして男子向けで、ハーレムやラッキースケベが多い。 しかし、たまたま観た物語をまとめた動画で出会ったのだ。黒髪を靡かせ、颯爽と現れる、そのキャラクターに。 彼の名はヒュディ・ミューゼ。  物語のラスボスだった。 かませ犬的な存在で、何度も負けては逃げ帰る。その度に主人公は嫁が増えていく謎仕様。 それでも好きになったのは、キャラクターデザインの良さと、その声。 おそらく、アニメにならなかったら沼らなかっただろう。 艶やかな黒髪に、鋭い瞳、皮肉を込めて笑う口元。そして、低く響くテノール。 アニメになった事で、その全てが活きた。制作会社も大当た
Terakhir Diperbarui: 2025-04-11
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