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173号機
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見習い魔女竜胆白緑は四十六歳

見習い魔女竜胆白緑は四十六歳

十歳の誕生日、うっかり真の魔女になりたいと口にして、異世界から日本へ飛ばされ早うん十年。優しい魔女とその夫に拾われて何不自由なく育った見習い魔女(男)は、なんと見習いのまま四十六歳に!! 異世界人だからか、性格が悪いのか、はたまた教育の賜物か、とにかく偽りだらけの見習い魔女(男)。果たして彼は真の魔女になれるのか……
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Chapter: 第27話 見習い魔女と魔女の取引き
 くっ、凄まじい魅了魔法。魅了耐性の高い私をくらくらさせるなんて、さすが乱子。でも大丈夫。こうやって自分の顔を殴れば――ほら、なんてことない。「わ、私に魅了なんて効かないわ……」「んもうっ、野蛮なんだからぁ。鼻血出てるわよぉ」 乱子が呆れた様子でハンカチを差し出してくる。やたらと良い香りで誤魔化してるけど、微かにラミアンベラドンナの香りが……息を止めて拭う振りをしておこう。 ていうかよく考えたら危険だったかもしれない。シラーもベリーもいないんだった。魔力の尽きかけた生身の私だけで、どれだけ乱子とやりあえるかは未知数だもの。「じ、実物は実家にあるの。でも事情があって今帰れないから――」「やだぁ、もしかして今さら一人立ちの修行してるのぉ?」 ぐっ、すっごい馬鹿にされてる。そりゃあ私だってこの歳でと思うけど、仕方ないじゃない。「聞いて乱子。私、訳あってこの学校を救わなくちゃいけないの。でも校長が邪魔で……討伐を手伝ってくれたら燐粉をあげるわ」「ちょっと待ってぇ。私の目的を話せばいいんじゃなかったかしらぁ? 急に条件をすり替えられたからびっくりしちゃったじゃなぁい」 チッ、引っ掛からなかったか。 にしても全然攻撃の手を緩めないわねこの女。今の胸の揺らし方は間違いなく誘惑魔法。乱子の胸なんか一ミリも興味ないけど、頬の痛みが引いていたら飛び付いていたかもしれない。やはりハンカチは使わなくて正解だった。 う~む、こうまでして私を駒にしたがる理由……この学校には財宝でも隠されてるのかしら。それならそれで一枚噛みたいけど、先ずは私のミスをどうにかせねば。 乱子が来るなんて予想もしてなかったから、SNSでありもしない”校長の悪事”を拡散してしまった。あの拡散スピードでは、もはや無かったことにするのは不可能。大炎上と損害賠償請求待ったなしだ。 阿叢は社会のお勉強代として払えばいいけど、私の場合、肩代わりする良司さんが可哀想だ。何としても校長を破滅、それか阿叢を単独犯に仕立て上げなくてはならない。「ヤタガラスアゲハの妖精よ? ちょっとお手伝いするくらいバチは当たらないでしょ」「そうだけどぉ……」「このチャンスを逃したら次はいつ入手できるかしらね?」 全然知らないものだし、それという確証もないけど今を乗り切れればいい。実家に帰れさえすれば母の素材庫から代
Terakhir Diperbarui: 2025-04-10
Chapter: 第26話 見習い魔女のご近所トラブル
 いや、待て、落ち着け俺。 まずチンコロは違う。別に俺と阿叢で悪巧みしてたわけじゃないんだから正しくは通報……それにしたって俺を放置してそんなことするか普通。 あ、サイレンが止まった。  速すぎる。阿叢が電話を切ってからまだ一分も経ってないのに。「安心しろ。この国一番の正義の味方を呼んだから何の問題もない」 爽やかな笑みを向けてくる阿叢に目眩がした。馬鹿じゃないのか。問題だらけだろ。そもそも俺が助けてくれと言ったか? いいや、言ってない。 しかもかなりデリケートな告白だったはずだ。それを本人の了承もなしに秒で騒ぎにするとは何事か。  まあ全部嘘だからいいものの、もし本当だったら俺のメンタルはめためたになって二度と元に戻ることはなかったかもしれない。 良いことをしている。可哀想な人を助けている。そんな気持ちが透けて見える阿叢の顔。これっぽっちも悪気はないのだろうが、それこそなおタチが悪い。 ご飯をくれるからっていい人だと思った俺が馬鹿だった。こいつはエゴの塊だ。 あああ警察だなんて急展開すぎる。  こうなったからには嘘を真にする他ない。悪いが校長には社会的に死んでもらおう。そうだ、いっそのこと毒薬ばらまき事件も校長の犯行にしてしまえ。 お、そう考えれば結果オーライかもしれないな。不思議と怒りが感謝へ変わっていく。 そうと決まればパンツの下にいくつかキスマークでも浮かび上がらせておこう。乳首にもピアスホールを開けて、如何わしいタトゥーをもう一つ腰に浮かべる。 校長の趣味は知らないが、社会的に抹殺するならこれくらい……いや、もう少し攻めるか?  あそこを変型させるように変身して、器具の部分だけ色を変えたら、あっという間に貞操帯の出来上がり。 それから俺のスマホ――はベリーが持って行ったから、阿叢に証拠だと写真を撮らせてSNSにアップさせる。おお、みるみる拡散されていくじゃないか。 怖いなぁSNSって笑 よし、これで準備万端だ。  さあ来い警察、俺の演技力で見事校長に濡れ衣を着せてやろうじゃないか。と意気込んだのはいいものの――「ここです! 竜胆さん!」 ――ん? 聞き間違いか? 今、阿叢が竜胆さんて言わなかったか? ここ我らが日本、日の元の国に竜胆姓は一血族のみ。何故なら母の紫が父の勝三と結婚し、竜胆を名乗ることとなったときに、
Terakhir Diperbarui: 2025-04-09
Chapter: 第25話 見習い魔女と優しい上級生
 てっきり学食へ行くのかと思ったら、阿叢はてんで別の方向へ進んで行く。「え? あの先輩、学食はこっちじゃないですよ」 「黙ってついて来い!」 「は、はぁ……」 どうしたんだろう。まさかその歳で、学校でウンコしてたのがばれて恥ずかしい、とかじゃないよな。『違うよ、さっき白緑がえへへなんて言ったからだよ。すっごく気持ち悪かったからねあれ。オッサンが使っていい言葉じゃないんだから。いい加減年相応になろうよ』 うるさいな。見た目が若いんだから年相応だろうが。それに吸血樹鬼の四十六歳なんて人間で換算すればまだまだ幼児だ。ばぶばぶ言ったって何の違和感もない。『あ、そう。じゃあオムツになってあげようか?』 続けて精神は人間と同じ早さで成長するくせに、とぼやかれた。 何て言い返そうか考えていたら阿叢が止まりこっちを向いた。ここは……北校舎裏のギロチン置場か。「お前、上反りフランクだなんてどういうつもりだ? 脅してるのか?」 ……はて? 俺がおねだりしたのはイベリスフランクであってそんなヤル気満々な雰囲気のフランクじゃないんだけど。 困惑していると阿叢の睨みが一層鋭くなった。その殺意バシバシさは、さすが滅殺と名の付く学科に在籍しているだけある。「上反り? いや、俺が食べたいのはイベリスフランクなんですけど」 「だからそれは上反りフランクじゃないか!」 まるで意味がわからない。そもそも上反りフランクをおねだりしたからってなんで脅しになるのか。「お前も校長みたいに俺を脅して無理矢理――」 ええっ!?  ま、まさかそういう……だから上反りとかフランクに敏感なのか? 嘘だろ。こんな聖人を育成しますみたいな学校の、それこそ聖人のような校長が生徒に……はっ!?「ちょ、まっ、先輩! なんで手に霊力集めてるんですか!?」 信じられない量の霊力が圧縮されていてバチバチ、バリバリ嫌な音が鳴っている。『え、なんで? 白緑なにしたの?』 『何もしてない。こいつが勝手に勘違いして勝手にキレてんだよ!』 あああああ、これはあれだ。ヤられてるのがばれたから殺りにきている。きっと槍を作ろうとしてるんだ。阿叢は槍投げの選手だからな。去年インターハイで優勝したとも言ってた。「優しくしてやったのに最低だなお前」 ほら見ろ。殺意たっぷりの霊槍を作りやがった。しかも切っ先を
Terakhir Diperbarui: 2025-04-07
Chapter: 第24話 見習い魔女と聖職者の庭
 目指すはご近所さんの学校。その名も日本退魔師大学附属聖ロキロキロ学園。 伴奏はすべてマイナーメジャーセブンスコードの高速連打という個性的な校歌をもつ、小中高一貫の聖職者育成学校である。校訓は悪魔討つべし魔女殺すべし。     その過激な校訓とは裏腹に、何故か俺にはまったく気付かない。教師含め未熟者ばかりで逆に心配になるくらいだ。 実は俺、校庭の樹木や学食目的で何度もここに忍び込んでいる。ベリーの言ってた気になる食堂ってのがここの学食で、三十円のぎりぎり定食という色んな意味でぎりぎりの定食がコスパ最高なんだ。 これを買うと生徒の皆がおかずを分けてくれるし、同い年かちょっと歳下の学食のおばちゃんもサービスしてくれる。さすが心優しき聖職者の卵たちとその関係者。 でもまあその度に「貧乏な新入生可哀想」みたいな目をされるが俺はまったく気にならないし、嘘も言ってないから心も痛まない。俺自身が貧乏なのは事実だし、ちゃんと”侵”入生ですって自己紹介したからな。意味を勘違いしたのは奴らの方だ。 そんなわけで先ずは忍び込み慣れてる高等部からにしよう。「ベリーはいつもみたく制服になってくれ。シラーは財布だ」 『オッケー』 「かまいませんが、中身が空というのはリアリティに欠けますし財布のプライドが許しません。一万円……いえ、三千円でいいので入れといてください」 は? 猫ばば確定なのにそんな大金入れるわけないっての。そもそも財布のプライドってなんだ。じゃあいつも五百円しか入ってない俺の財布はどうなる。「三百円だ」 「やれやれ、ケチ臭いですね」 ケチなもんか。それだけあれば 一ヶ月は満腹を維持できる。あっちの世界と違ってこっちは砂糖がすこぶる安い。三百円もあれば砂糖水という素晴らしいご馳走を毎日楽しめてお釣りまでくるじゃないか。『今さらだけど、いい歳のおじさんが高校生の振りってどうなの? 図々しくない?』 「図々しくない。俺は老けない体質だから実質高校生だ。それに木を隠すなら森の中、だろ?」 「せめて稼ぎだけは歳を重ねて欲しいものですね。なんですか三百円って。嘆かわしい」 うるさい――っと、今はそんなことどうでもいい。とにかく毒薬を探さねば。 ほぼ無い魔力を使い魔法を発動、くるくる蓑虫を召喚する。この虫はあらかじめ伝えておいた探し物に近付くと、手元に引き
Terakhir Diperbarui: 2025-04-06
Chapter: 第23話 見習い魔女と反抗的な使い魔
 ジャックが大きな溜め息をついた。「白緑よ、我としてはずっと側にいられて嬉しいのだが、その……」 「なんだ?」 思えばジャックと幽霊たちに身の回りの世話をしてもらうのもすっかり慣れてしまった。上げ膳据え膳生活の快適さよ。 それによく考えればジャックは元々ゴキブリじゃないんだし、直接触られるわけでもない。もういいだろうと思えてきた。「我に身を委ねておるし、毎日下着姿で眼福ではある。外出も夜中に樹液を吸いに行くだけであるし、我はこの上なく幸せだ。だがな、そろそろまともな生活をだな……」 なんだよ。やる気が無いときはこうするのが一番なんだ。薬局のバイトは良司さんに引き継いだし、見習いの仕事も声がかからないんだから、まともじゃない生活だろうが別に問題ないだろ。仕方ないことなんだ。「ジャック、あなたは白緑にすべてを捧げる契約をしたのです。何も言わずただ白緑に従っていればいいんですよ。ああ、ワショク、次は辛口の日本酒。つまみはエイヒレで」『そだよぉ。一日中ネトフーリで動画見ながらおやつを食べることが今のぼくらの仕事なんだもん。あ、チューカくん、ごま団子おかわり。それからフレンチちゃんはチョコの盛合せ追加ね。イタリアンは三段ケーキお願い。生クリームたっぷりだよ』 ペンギンの可愛らしさを捨て去った酒臭いシラーと最近テカリを帯びてきたベリーが俺の代わりに返事をする。 二人はふわふわ浮かんでいる。それは醜く肥大化し過ぎたせいでことあるごとに何かにぶつかるため、ついに生活圏を空中に移したからだ。もちろん浮力はジャックの力。浮かび上がっているのに堕落という、表現の難しい光景。 ああはなりたくないものだ。  かくいう俺もダラけてはいるものの、最低限の自己管理はできている。「だが、さすがにこの状態は良くない。不潔かつ不健康、なにより迷惑だ」 ネクロマンサーでゴキブリの肉体をもつヤツが何を言ってるんだろう。お前はそういう環境を好む種族じゃないか。それに存在するだけで世界中に迷惑をかけているのはそっちだ。 だいたい俺は不潔でも不健康でもない。シラーと違って毎日風呂に入ってるし、ベリーも洗濯してもらっている……まあ、ぬるぬるするからあまり着る気にならないんだけど。「良司のこともだ。最近ますます反抗的になっているではないか」 それはそうだが、良司さんの感じから察するに
Terakhir Diperbarui: 2025-04-05
Chapter: 第22話 見習い魔女とネクロマンサーの吊り橋
 ジャックの放つ光は近付くにつれて強烈になっていく。 こ、これ、ひ弱な人間なら灰になってるところだぞ。ジャックのやつめ、愛しいとかほざいておきながら殺しにかかってるじゃないか。だからネクロマンサーは信用ならないんだ。「く、くそう……」 はっきり言ってどうしていいか分からない。ベリーを頼ろうにも、さっきの言動のせいかジャックに力を貸してやがる。俺の魔力を奪いジャックへ流し込む非道さ。最低なやつだ。 シラーはシラーで苦しそうにしながらもニタニタと俺を見てくる。同じく魔力を……まったくなんて薄情なんだ。俺の使い魔のくせに信じられない。性根が腐りきってる。「イトシイ、ミドリ……」 とかなんとか考えているうちにジャックの手が顔の前まで迫っていた。 ああ、もう駄目だ。真なる魔女になって親父に褒めてもらいたかっただけなのに、異世界に飛ばされて使い魔に裏切られたあげくネクロマンサーに殺されるなんて。 眩しさと諦めで目を閉じれば、思い出が走馬灯のように駆け抜けていき、最後にヘラヘラ笑って俺を抱き締めようとする親父と不満そうな緑色のちんちくりんの姿が浮かんだ。 短い人生だったな……「ふはっ。目を開けろ白緑」 死を覚悟して来世はどんな種族がいいかと考えていたらジャックが吹き出した。まともな声に戻っている。 恐る恐るだが言われたとおり目を開けると、ジャックはしてやったりといった顔をしていた。「え? は?」「どうだ白緑? 恋に落ちたのではないか?」 はあ? 「ドキドキしたであろう? その胸の高鳴りは我に恋しているからなのだぞ」 どういう思考回路してんだコイツ。今の状況でどうやったら恋に落ちるってんだ。なんだ? ゴキブリの求愛はこうだってのか?「これはかの有名な――」 この時代、誰でも知っているであろう吊り橋効果のことを大発見のように説明していくジャック。さっき紹介された料理人の幽霊たちが感銘を受けたよう表情でジャックを持ち上げている。 わざとらしいことこの上ない。ていうかそんな説明したら吊り橋効果は無意味なのでは……。「え、なになに? もう終わりなの? なんだつまんないなぁ」 良司さんが心底つまらなそうな顔で部屋を出ていった。 うむ、あの態度はなんなんだろうか。実は良司さんて性格に難ありなのかもしれない。内緒話もすぐバラすし。「四十歳越えの未
Terakhir Diperbarui: 2025-04-04
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