その年の寒い冬を覚えている
再び目を覚ました時、俺は決心した。高原玲美を自由にしてやろうと。
彼女が吉田和輝親子を家に呼んで面倒を見るつもりなら、俺は邪魔せずに身を引く。
前世では、彼ら親子のために玲美と何度も口論を繰り返した。
本来なら老後の生活費や治療費として取っておくべき金まで、和輝の息子の結婚費用に使われてしまった。
そして、あの厳しい冬、俺は寒さで命を落とした。
玲美はその知らせを聞いても、悲しみの表情を一つも見せず、むしろ俺が彼女の大切な名付け子の結婚式の日に亡くなったことを責めた。
だが、今世の俺にはもう未練などない。
彼女は彼女の道を行き、俺は俺の橋を渡るだけだ。
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