บททั้งหมดของ 初雪の日にあう君: บทที่ 11 - บทที่ 20

修の記憶の中で、十二月の最後の4日間は、非常にゆっくり過ぎたようでもあり、あっという間でもあった。彼はひとりで、思いつく限りの場所をくまなく回った。ただ瑠奈の足取りを探すために。病院にも行った。医師の話では、瑠奈が最後にひとりで診察に来たのは、ちょうど一ヶ月ほど前のことだったという。彼女は自分に回復の望みがないことを知ってからは、二度と病院には現れなかった。彼はふたりでよく訪れていた路地裏にも行った。顔なじみの店主によれば、彼女が最後に来たときもやはりひとりだったという。「旦那さんは一緒じゃないの？」と訊かれた彼女は、微笑んでこう言ったそうだ。「もうすぐ離婚するの」彼は大学にも立ち寄った。門番によると、少し前に足を怪我した女生徒がひとりで車椅子を押しながら校内を見て回っていたという。あのヒトツバタゴの木に刻まれていた、若き日に交わした告白の言葉は、なぜか跡形もなく消えていて、癒えかけたかさぶたのような痕が残っていた。彼は彼女が親しくしていた数人の友人にも会った。そこから知ったのは、彼女が姿を消す前に一度だけ、皆と食事をしたという事実だった。その食事の場で、彼女は酔っ払い、意味不明な話をたくさんしながら笑っていたそうだ。「みんなは幸せでいて。私のことなんて、もう忘れていいよ」、と。修の知っている瑠奈に関する場所には、彼女の痕跡が確かにあった。そして、彼女を見た人たちの証言は驚くほど一致していた。彼女は必ずひとりだった。長い間ぼんやりと佇んで、何か訳のわからないことを口にしていた。まるで壮大な別れの儀式でも行っているかのように。それが、修にとって最も理解できないことだった。もし彼女が彼の浮ついた心に気づき、離れようとしたのなら、離婚を申し出るだけで済んだのに。どうして不自由な身体であちこちを巡ってまで、別れを告げた？彼女が憎んで、別れを告げたい相手は、本当に彼ひとりだけだったのか？窓の外では、大雪が止む気配もなく降り続いていた。その光景に、修の心の中もまるで雪に覆われたかのように、真っ白になっていた。彼はスマホを取り出し、雪景色を写真に撮って瑠奈に送った。「瑠奈、ここ数日ずっと雪が降ってる。君は見てるか？」「まだ俺のこと怒ってる？謝るから、帰ってきてくれないか？」修は何か

後始末？何の後始末？重度のうつ病？半年前、医者が診断書を出してくれたはずだ。彼女のうつ病はすでに回復したって。修の頭の中では、一連の理解不能な言葉が繰り返し再生されていた。その意味をようやく掴もうとしていた矢先、職員は彼に考える隙を与えず、次々と話を続けた。「昨日、私たちはスイスのディグニタス機関から送られてきた死亡証明書類を受け取りました。それから大使館に確認を取りましたが、書類の内容は事実でした。堀尾さんは江崎さんの唯一の親族ですので、どうか協力してください」「死亡証明」という四文字が耳に入った瞬間、修の頭の中で何かが爆発したような衝撃が走った。「し、死亡？」職員は彼の動揺した声に気づき、顔を上げて驚いたように彼を見た。「そうです。江崎さんは半月前にうちで戸籍抹消の申請をしました。そして昨日、安楽死を受けて亡くなったことが正式に確認されました。だからこそ、今日堀尾さんに来てもらったんです。知らなかったんですか？」一語一句、修には理解できた。だが、言葉が繋がった瞬間、その意味はどうしても理解できなかった。瑠奈が、死んだ？彼女は怒って家を出ただけで、ただ消えただけじゃなかったのか？どうして死ぬなんてことに？この馬鹿げた知らせをどうしても受け入れられず、彼は必死に首を振って否定した。「そんなはずない……彼女、この前24歳の誕生日を祝ったばかりなんだ……まだたくさんの願いごとを書いてたのに、どうして死ぬなんてことが……？」「両親と約束したんだ……ちゃんと生きていくって……彼女がその約束を破るはずがない……」「初雪を見に行くんだって……スイスはまだ雪が降ってなかったのに……彼女がそんな状態で、どうして自分から……」彼は髪を掴み、痛みに顔を引きつらせながら、ありとあらゆる証拠を引きずり出そうとした。下した「死亡」という判定を否定するために、だが、話せば話すほど、彼の声はかすれ、低くなり、最後には哀しげな余韻だけが残った。ついには、修は一言も発することができなくなった。彼自身も気づいたのだ。自分が並べ立てた言葉のすべてが、瑠奈が生きている証拠にはならなかったことを。むしろ、それは彼の心に残る最後の希望の灯を、自ら吹き消してしまったようなものだった。彼は思い出した。あの二十項

スイスの最初の雪は、一月初旬にようやく降り始めた。修は空港を出て、地面いっぱいに広がる純白の雪をしばらく見つめていた。ここに来るのは三度目だ。そして、最後の一度でもある。瑠奈の遺灰を受け取ったら、彼はすぐにここを離れるつもりだった。二度と、この地を踏むことはない。冷たい風の中に長く佇んでから、修はようやく足を踏み出し、雪の中へと歩いていった。タクシーを止め、住所を伝える。運転席の外国人ドライバーは朴訥とした雰囲気の人物だったが、「ディグニタス機関へ行く」と聞くと、その目に一瞬驚きが走った。「そこは…安楽死の施設だよ。本当に？君はまだ若いのに、なぜ命を終わらせるようなことを考えるんだい？」修の喉が数回上下したが、何も答えなかった。ドライバーの善意はわかっていた。けれど、それに応える気力すら、彼にはもうなかった。ただ黙ってうつむき、言葉が通じないふりをした。ドライバーはもう一度彼を振り返ってから、ため息をつき、車を発進させた。ナビの画面で、目的地までの距離が徐々に縮まっていく。それにつれて、修の胸の奥はどんどん締めつけられていった。まるでスポンジのように、誰かの手によってぎゅうぎゅうと絞られ、最後には粉々に砕けて、地面に散ってしまいそうだった。彼の心にも雪が降っているようだった。陰鬱で冷たく、骨の髄まで凍らせるような寒さだった。車が止まり、修は紙幣の束を差し出し、お釣りを拒んで手を振った。そしてドアを開けて、車から降りた。施設の受付スタッフが近づいてきて、何の予約かを尋ねてきた。明るいロビーと周囲に配置された広告パネル。それらを見た瞬間、修の頭は激しい眩暈に襲われた。倒れそうになる彼を、素早くスタッフが支える。「大丈夫ですか？」彼は身体を折り曲げ、荒い息を吐きながら、震える手でポケットからキャンディを取り出し、口の中に放り込んだ。それは空港で倒れた際、乗務員がポケットに入れてくれたものだった。「必ず何か食べてください」と言い添えて。けれど彼は何も食べられなかった。口に食べ物を入れても、ただ腐った味しかしない。この飴でさえ、甘さの代わりに苦味しか感じられなかった。長く時間が経ち、ようやく視界の暗闇が少しずつ晴れていくと、かすれた声で口を開いた。「人を探してます。俺の

瑠奈の葬儀に参列した人は多くなかった。皆、重苦しい面持ちだった。彼女が、こんなにも静かに命を絶ってしまうなんて、誰一人として予想していなかった。ついこの前まで、大半の人たちは彼女と顔を合わせ、食事を共にし、談笑していた。そのときの彼女はごく普通に見え、自死を考えていたとはまったく思えなかった。棺の中は空っぽで、遺体もなければ、遺灰すらない。形見となるような衣類の一つもなく、ただ黄白の菊が山のように積まれているだけだった。霊前に置かれた遺影だけが、この葬儀の主が誰であったかを示していた。この寂しさと虚無に満ちた光景に、参列者たちはみな驚き、次々と尋ねてきた。「瑠奈に別れを言いに来たんだけど、遺体は火葬されたの？遺灰は？」「彼女が生前使っていた服や持ち物、何か一つでも持ってこれなかったの？」皆の問いかけに、修は血の気の引いた顔で、何も答えることができなかった。長年連れ添ってきたのに、彼は彼女にまつわる何一つ、手元に残していなかった。この遺影ですら、彼がディグニタス機関から受け取った、たった一つの遺品だった。写真に写る穏やかで冷静な顔を見つめながら、彼はこの写真が撮られた日のことを思い出さずにはいられなかった。もしあの日、ほんの少しでも彼女を気にかけていたら、彼女が口座を解約しに行ったことにも気づけただろうか。白黒の遺影を撮ったことにも気づけただろうか。取り返しのつかないところまで来て、ようやく修は、自分が何をしてきたのかを思い知った。自分の抱えていた後ろめたい感情は、完璧に隠していたつもりだった。瑠奈には気づかれないと思っていた。だが、長年の付き合いの中で、お互い目の動き一つで思考を読み取れるほどに、彼らは通じ合っていた。彼は常に彼女を後回しにし、何度も置き去りにした。彼女の目の前で、他の女性と楽しげに会話することすらあった。彼女がそれを感じ取れないはずがなかった。彼女は全てを知っていた。そして、彼が正直になるのをずっと待っていた。なのに彼は、自らの幻想に酔いしれ、彼女のあからさまな冷淡や失望すら見過ごした。皆が瑠奈の死の理由を彼に問いただす中、彼だけが知っていた。彼女を死に向かわせたのは、自分だったということを。彼は彼女から未来を奪い、変わってしまった心で、二人の過去を

修は、陽菜がここまで取り乱し、傷つけるような言葉を吐く姿を、初めて見た。彼の記憶の中では、初めて出会った時から彼女は常に明るく、礼儀正しく、卒業したての学生だけが持つエネルギーを全身にまとっていた。彼女の身振り手振り、語りかける口調、そして見つめてくるあの澄んだ目の奥に、彼はいつもかつての輝きを垣間見ていた。誰もが瑠奈の無惨に壊された将来を惜しんでいた。そしてその矛先は皆、修に向けられた。彼に全ての責任を負わせようとする非難が、道徳という名の鎖となって重くのしかかっていた。彼が背負っていたのは、自分と瑠奈の未来だけではなかった。世間の非難、そして己に対する嫌悪と後悔、それらすべてだった。あの事故の後、彼は一度も安眠を得たことがない。果てしない悪夢に苦しめられるか、もしくは朝まで眠れぬまま天井を見つめていた。瑠奈と離れるつもりはなかったし、自分の責任からも逃げるつもりはなかった。事故の前も、事故の後も、その気持ちは変わらない。けれど、人生は残酷だ。瑠奈は次々と襲い来る不幸に心を折られ、修もまた、変わり果てた現実の中で崩れていった。ただただ、沈むしかなかった。死んだような結婚生活の中、繰り返される無意味な日々の中で、彼は輝いていた日々を、18歳以前の瑠奈を、そしてもう戻らない過去を恋しく思っていた。彼が惹かれていたのは、陽菜という「人間」ではなく、彼女がもたらした、この腐りきった日常とはまったく異なる、生きた「空気」だった。彼女と一緒に過ごすその一瞬一瞬が、修にとって唯一の逃げ場だった。問題が発覚した時、どれほどの波紋を呼ぶかも、瑠奈がどう思うかも、彼は想像できていた。それでも、恐れや罪悪感に苛まれながら、ほんのひとときの安らぎを、つい求めてしまった。毎回「これが最後」と自分に言い聞かせながら、何度も通い詰めるうちに、感覚は鈍くなり、もはや依存するようになっていた。そして、すべてが取り返しのつかない段階になって、ようやく目が覚めた。過去に浸る修のまわりには、空気すらも止まったかのような沈黙が満ちていた。そんな彼の、魂の抜けたような姿、何も語らぬ冷たい態度を目の当たりにして、陽菜の怒りは頂点に達した。「死んだ人のために、このまま堕落続ける......」言い終える前に、ずっと黙っていた修が突然顔を上