それからの一ヶ月の間、康穂はずっと遥と一緒に花屋の件に夢中になっていた。店の場所を大通りの前にして、若い世代を引き込むために、店のテーマ設計、インテリア、そして経営方針には大量な調査を行っていた。オープンした時、他とは違う経営方式によって大量な客を引き寄せることに成功した。7、8名のプロ研修を受けた店員は顧客の服装やニーズに合わせて、彼らのためだけにデザインされた花束や装飾を用意するのだった。ロリータ風の服を着ていた客にはその服装と同じ色に合わせた花輪をもらい、恋愛映画を見に行く若い男には映画に因んだ花束がもらえて、十歳ぐらいの女の子はカゴいっぱいの花を持ってステップしながら店から出ていった。オープン初日店の全員は夜の10時まで働きっぱなしだった、仕入れした花も全てが売り切った。収入を見た康穂と遥は嬉しさのあまりお互いを抱き合った。そして、二人は残業してくれた店員達の給料を上げることを決めた。花屋の全員が一緒に夜食して、深夜になるまで話し合った後ようやく解散した。居酒屋から出てきた時、康穂はチラッと街角に立っていた司が見えた。遥は彼女の腕を小さく突いて、意味深な目つきを彼女に向けた。「どういうこと?あのイケメンちょくちょく現れてはあんたのことを見つめているけど、それでも知らないと白を切る気なの?」康穂は軽くため息をついて彼女を引っ張って車に乗り込んだ。「知らない、彼を放っておきましょう、もう疲れて死にそうだから家まで送ってよ」帰る道中遥はずっと康穂から司のことを聞き出そうとしていたが、康穂が話すことはなかった。車が止まった後もそそくさと団地に向かっていた。しかしマンションの前で待ち構えている司とばったりと会った。康穂が左に避けようとしたら司がそれを塞ぎ、右に避けようとしたら、同じく塞がれていた。何度か繰り返したのち、康穂は我慢できずに眉をひそめた。「どいてください」司の瞳に悲しみが過ぎったが、それでも一歩も動くことはなかった。「話し合ってくれないか、康穂」康穂は彼と話し合うつもりはなかった。だが少しでも早く家に帰って休むために、彼女は彼にチャンスを与えることにした。「5分だけです。それが終わったら帰ってください」時計はどこにもいないが司はまるで時計のカチカチ音が聞こえる気がし
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