司が振り返ると、そこには正門前で手を振っている環奈がいた。彼は急いで環奈を中へと迎え入れた後、彼女を家まで送ると申し出たが、彼女は色んな理由をつけて話を長引かせた。そして深夜になったら、環奈は家に残りたい司に言い、司はあれこれと理由をつけて全部断ろうとした。司の断ろうとしている顔を見て、環奈の顔が一気に暗くなり、悲しそうに話した。「私があの時海外に行ったことをまだ怒ってるの?司私は本当にあんたを愛していたんだが、それと同じ様にデザイナーという仕事を愛していたんだから、仕方がなく離れることを選んだのよ。あんたは私を待ってくれると信じてたの、だから私は頑張ったのよ、出来るだけ早くあんたと再開するために5年もある研修内容を3年まで縮めたの」彼女の真っ赤に腫れている瞳を見て、司の心も揺れだした。「分かっている、あんたのことを怒ったことは一度もない、あんたが戻ってくることも分かっていたんだ」彼が自分を大事そうに抱き抱える姿を見て、環奈は追い打ちをかけようとこの話題を続けた。「じゃあ今日は私を泊まらせてよ、会うのが3年ぶりなのよ、言いたいことはたくさんあるの。それに、あの時私達は結婚寸前まで行った関係よ、母さんだってこの件を分かってるの、私がここに泊まらせても恥ずかしいことはないでしょう?」その言葉を聞き、司はこれ以上断ると彼女は必ず怒るだと分かっていて、頷くことしかできなかった。真夜中、環奈は何度も司にキスを求めてきたが、彼は色んな方法でそれを躱した。しかし環奈が怒ることを恐れた彼は急いで話題を作った、たとえば彼女がヨーロッパにいた頃の生活とかだった。その件を聞かれて環奈は一気に元気になって、約2時間を語ったのにまだまだ止まる気配はなく、逆に彼のこの3年間を生活をずっと聞いてきた。暫くの間、司は沈黙した。彼にはどう話せばいいか分からなかった。過去三年を振り返れば、彼女が去った後の三ヶ月間、自分が堕落していた時期を除けば、残りの時間はすべて康穂と共に過ごしていた。しかし彼は環奈に彼女が海外に行った後、自分が別の女を替え玉として傍に置いたことを知らせる訳にもいかなかった。色々と考えた末に、彼は怪しまれないような事を選び環奈に教えた。「特に何かしたわけでもないさ、仕事以外は偶に休みの時山に登ったり、機嫌が良いと
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