「悠人さん、ジェルイヴ見ました?」 未だに抵抗のある略語で菜々美〈ななみ〉が聞く。 初めて悠人〈ゆうと〉に教えてもらったアニメ、ジェルイヴも今は2期に入っている。「すごかったですよね、急展開で。イヴが堕天使のプリンセスだったなんて」 ん? デジャヴ? 昨日小鳥〈ことり〉と話した時のことを思い出し、悠人が苦笑した。 いつの間にか菜々美、弥生〈やよい〉、そして小鳥。三人と同じアニメの話で盛り上がるようになっている。 しばらくイヴについて話しているうちに、他の作業員たちも出勤してきた。「菜々美ちゃん、今日も朝から頑張っとるなぁ」 冷やかす作業員たち。最初の頃は顔を赤くして照れていた菜々美だったが、馴れとは不思議なもので、いつの間にか、「毎日頑張ってるのに本当、悠人さん冷たいんですよ。なんとか言ってくださいよ細田さん」 そう笑いながら切り返すようになっていた。 * * * 作業時間が近付き、悠人が今日の予定に目を通していると、菜々美が聞いてきた。「あの、それで……悠人さん、今日のお昼どうされますか? 私今日、少し多めに作ってきたんです。よかったら一緒に食べてもらいたいんですけど」「ごめん、昼はちょっと出かけるんだ。20分ぐらいで戻ってくると思うけど」「何かあるんですか?」「実は週末から家に居候が住みだしてね。そいつが今日からコンビニでバイトをしてるから、ちょっと様子を見に行こうと思ってるんだ」「居候って、お友達ですか?」「友達って言えば、そうなるのかな。まぁ簡単に言えば、幼馴染の娘だよ」「幼馴染の娘さん……って、バイトしてるってことは子供じゃないですよね!」「うん、18歳」「えええっ!」 * * * 昼休み。 気が動転している菜々美に後で説明すると言い残して、悠人が自転車でコンビニに向かった。 こんな風に、他人を気
Terakhir Diperbarui : 2025-04-09 Baca selengkapnya