Semua Bab 幼馴染の贈り物: Bab 11 - Bab 20

29 Bab

第4章 後輩・菜々美 2/3

 「悠人さん、ジェルイヴ見ました?」 未だに抵抗のある略語で菜々美〈ななみ〉が聞く。  初めて悠人〈ゆうと〉に教えてもらったアニメ、ジェルイヴも今は2期に入っている。「すごかったですよね、急展開で。イヴが堕天使のプリンセスだったなんて」 ん? デジャヴ?  昨日小鳥〈ことり〉と話した時のことを思い出し、悠人が苦笑した。  いつの間にか菜々美、弥生〈やよい〉、そして小鳥。三人と同じアニメの話で盛り上がるようになっている。 しばらくイヴについて話しているうちに、他の作業員たちも出勤してきた。「菜々美ちゃん、今日も朝から頑張っとるなぁ」 冷やかす作業員たち。最初の頃は顔を赤くして照れていた菜々美だったが、馴れとは不思議なもので、いつの間にか、「毎日頑張ってるのに本当、悠人さん冷たいんですよ。なんとか言ってくださいよ細田さん」 そう笑いながら切り返すようになっていた。  * * * 作業時間が近付き、悠人が今日の予定に目を通していると、菜々美が聞いてきた。「あの、それで……悠人さん、今日のお昼どうされますか? 私今日、少し多めに作ってきたんです。よかったら一緒に食べてもらいたいんですけど」「ごめん、昼はちょっと出かけるんだ。20分ぐらいで戻ってくると思うけど」「何かあるんですか?」「実は週末から家に居候が住みだしてね。そいつが今日からコンビニでバイトをしてるから、ちょっと様子を見に行こうと思ってるんだ」「居候って、お友達ですか?」「友達って言えば、そうなるのかな。まぁ簡単に言えば、幼馴染の娘だよ」「幼馴染の娘さん……って、バイトしてるってことは子供じゃないですよね!」「うん、18歳」「えええっ!」  * * * 昼休み。  気が動転している菜々美に後で説明すると言い残して、悠人が自転車でコンビニに向かった。  こんな風に、他人を気
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-09
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第4章 後輩・菜々美 3/3

  帰宅すると、小鳥〈ことり〉が夕食の準備を終えて待っていた。「おかえりなさーい」 それは一人暮らしを続けてきた悠人〈ゆうと〉にとって、少し照れくさく感じる言葉だった。  電気のついた家に戻るのも、そしてドアを開けた時に鼻をついた味噌汁の匂いも、全てが新鮮で心温まるものだった。「ただいま。小鳥も今日はお疲れだったな」 手を洗いながら悠人が話しかける。そして台所に入ると、テーブルに並んだ夕飯と、エプロン姿の小鳥が目に入った。 (小百合〈さゆり〉……)  小鳥と小百合の姿が重なって見えた。その瞬間、小鳥が抱きついてきた。「おかえりなさい、悠兄〈ゆうにい〉ちゃん!」 その時そこに、もう一人の声が響いた。「いきなりなんと、うらやまけしからんことを!」 その声に振り返ると、そこには同じくエプロンをした弥生〈やよい〉が立っていた。「……私めもっ!」 そう言うと、弥生も悠人に抱きついてきた。二人分の重みに、悠人がその場に崩れる。「どわっ!」「おかえりなさいませ、悠人さん」 赤面しながら、そう言って弥生が悠人にしがみつく。「今日も一日お疲れ様でした。それで……どうなさいます? 弥生にします? 弥生にします? それとも……や・よ・い?」  * * * 三人がテーブルを囲む。  ニコニコしている小鳥とは対照的に、弥生は顔を真っ赤にしていた。悠人も弥生に抱きつかれ、気が動転していた。「いっただっきまーす」 その場の空気そっちのけで、小鳥が夕飯を食べだした。「労働の後のご飯はおいしいね、悠兄ちゃん」「あ、ああ……」 動揺を隠しながら、悠人も食事を始める。小鳥はバイトの話を嬉しそうに話してくる。「それで、なんだけど」 食事も終わり、お茶を入れたところで小鳥が言った。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-10
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第5章 家出少女・沙耶 1/5

  ある水曜の夜。  この日は弥生〈やよい〉から、サークルの打ち上げで帰ってこないと小鳥〈ことり〉にメールがきていた。「でも小鳥さん、抜け駆けは許しませぬぞ……」 小鳥も今日は、遅番で22時までの勤務だった。悠人〈ゆうと〉は久しぶりに、家で一人の時間を過ごしていた。 小鳥の用意していたカレーを食べ、入浴を済ませジャージ姿になった悠人は、居間でコーラを飲みながらアニメを見ていた。 まだ小鳥が来てから一週間にもならないのに、部屋がやけに広く感じる。  仕事の後、一人でこうしてアニメを見る生活を続けていたのに、今はそのことに違和感すら感じられた。それが不思議だった。 小さくあくびをして煙草に火をつけた時、メールの着信音がなった。「我、到着せしめたり カーネル」「カーネル……来たか……」 そうつぶやき、悠人が白い息を吐いた。  * * * ネットで知り合った友人、カーネル。 出会いはゲームのレビューだった。  ある恋愛シミュレーションゲームのレビューを読んでいる時に、過激な発言をしている男がいた。それがカーネルだった。  その切り口や毒舌に興味を持った悠人は「カーネル」を検索、彼のブログにたどりついた。  ブログ名は「カーネルの囁き」。  トップページが戦争映画「地獄の黙示録」仕様になっていた。 そこには自称19歳、カーネルと名乗る男が、あらゆるアニメやゲームに関するレビューを書き連ねていた。その内容は過激なものだったが、悠人は不思議と好感を持ち、そこの読者になっていった。そして時に、カーネルにコメントするようになった。 悠人のハンドルネームは「遊兎〈ゆうと〉」。  互いにやりとりをする内に気が合い、個人的に連絡を取り合う仲になっていった。そして最近になって、直接会ってみようといった話が出ていたのだった。  ブログの自己紹介欄によると、カーネルは関東在住のようだった。 煙草を消し、紅茶の用意を始める。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-11
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第5章 家出少女・沙耶 2/5

  沙耶〈さや〉は上機嫌だった。 沙耶は悠人〈ゆうと〉を兄のように想い、慕ってきた。 そして実際に会い、話していくうちに。思い描いていた通りだった悠人に喜びをかみしめていた。 何より悠人は自分を認めてくれる。ネットでもそうだった。意見が違い激論を交わすこともあったが、最終的にはそれがまた新たな信頼を生む結果になっていった。 今もまた、悠人は北條沙耶を認めてくれた。受け入れてくれた。それが何より嬉しかった。  * * * 沙耶の生まれた北條家は、旧華族の流れを引く名家だった。外務次官の父と、父が大使時代に出会ったイギリス人女性を母に持つ。 子供の頃から優秀で、中学卒業と同時に特例で大学に通うことになった。頭脳明晰な上に美貌の持ち主である一人娘に、両親は期待した。沙耶自身、自分が頑張ることで両親が喜ぶ、そのことが嬉しかった。 しかし交友関係はよくなかった。 子供の頃からずば抜けて頭のよかった彼女を、同世代の子供たちは畏敬の念で見ていた。女子からは嫉妬の対象として、男子からは近寄りがたい存在として見られてきた。大学に入り、自分のこれまでを振り返った時、同世代の友人が一人もいなかったことに気付いた。 それはいつしか、勉学だけに勤しんできた彼女にとって、最大の弱点となった。コミュニケーション能力の欠如だった。 言いたいことを素直に伝えることも出来ず、周囲の視線を恐れる余り、自分をいくつもの仮面で覆い隠していくようになっていった。 他人の自分を見る目に対する恐怖。もし自分が優秀でなかったら、もし自分が北條の人間でなかったら。自分には何が残るのだろうか。 彼女のストレスは歳を重ねるにつれ大きくなっていき、16歳になる頃には外出も出来なくなっていた。 一人部屋の中に閉じこもるようになった彼女にとって、ネットだけが唯一の、世界との接点になっていった。 初めは見るだけだった。書き込むことなど出来なかった。情報の海を漂っていく中、彼女は生まれて初めて、自分から学んでいきたいと思えるものに出会った。 それが「
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-12
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第5章 家出少女・沙耶 3/5

 「で」 沙耶〈さや〉が口を開いた。「メールにも書いた通り、しばらくここで世話になる。問題ないな」「そのことなんだが……沙耶、実は話しておかないといけないことがあるんだ」「なんだ、問題があるのか」「まず俺は、お前が男だから泊めると言ったんだ。だけど会ってみれば女で、しかもその……幼女ではないが、その……」 沙耶が顔を真っ赤にし、両手で胸を隠した。「き、貴様今、胸を、胸を見たな! 胸で幼女という単語を連想したな! な、なんと無礼な」「いやすまん、幼女の例えは忘れてくれ」「かあああっ!」 蹴りが悠人〈ゆうと〉の脇腹に入る。「ったく……どいつもこいつも、女の価値を乳で判断しおって……私の乳はまだ発育途上なのだ。見てるがいい、いずれ目をみはるほどの重量感で悩殺してやろうぞ。あっはっはっはっ」 沙耶が残念無念な胸を突き出し、声高らかに笑う。「それでな、沙耶」「なんだ。乳以外で問題があるのか」「いやそうじゃなくて……おまえな、年頃の女子がこんなおっさんの家に泊まり込んで、その……危機感とかないのか?」「危機感とはなんだ」「いやだから。俺も一応男なんだが」「お前は私に何かするつもりなのか?」「そんなことはないが」「なら問題なかろう。まぁ無理もない、39歳魔法使いの家に、いきなりこんな女神が降臨したのだ。私の魅力の虜になったか」「いやいやいやいや」「そこは否定ではなく肯定だ、遊兎」「肯定して欲しいのかよ、ってどうでもいいわ! それで沙耶、泊まるにしてもいつまでなんだ」「そうだな。少なくとも、家が見つかるまでの間は世話になるぞ」「家ってどういうことだ」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-13
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第5章 家出少女・沙耶 4/5

 「ただいまー!」「お、おかえり小鳥〈ことり〉」 遅かったか……悠人〈ゆうと〉が額に指を当てた。「なんだ? 遊兎〈ゆうと〉、女の声がしたが」 小鳥は洗面台で手洗いをしている。「だな。説明しようと思ってたが帰ってきたみたいだ。しょうがない、直接説明するよ」「悠兄〈ゆうにい〉ちゃん、誰か来てるの?」 ――小鳥と沙耶〈さや〉。 視線が合った瞬間動きを止め、互いを凝視しあう。 小鳥の瞳は好奇心そのものだったが、沙耶の視線には明らかに敵意が込められていた。「悠兄ちゃん、この人は?」「遊兎、この女は何者だ」 二人の質問に悠人が困惑する。「まぁあれだ……とにかく小鳥、座ってくれ。説明するよ」「うん!」 悠人は立ち上がり、小鳥と沙耶にミルクティーを作った。  * * *「ネットで知り合った友達がいるって話、したよな」「カーネルさんだよね。もうすぐここに来るって。あ、カーネルさんのお知り合い?」「こいつがカーネルなんだ」「え?」「いや、だからな、俺もさっき知ったばかりなんだが……実はカーネルは女で、今目の前にいるこの子、北條沙耶〈ほうじょう・さや〉さんがカーネルだったんだ」「カーネルさんが……女の子……」「そうなんだ。それとな、実は沙耶、遊びにじゃなくて、ここで住む為に来たらしいんだ。それでな、家が決まるまでの間、しばらくここで世話することになって……」 小鳥は呆気にとられた表情をしていた。 悠人は変な汗をかいていた。何で俺がこんなにパニくってるんだ? そう思いながら。「そうなんだ」 その声に悠人が見ると、小鳥はいつもの表情に戻っていた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-14
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第5章 家出少女・沙耶 5/5

  氷をくるんだタオルを用意し、二人に渡す。二人とも、初めにくらったビンタで頬が腫れていた。「ったく……可愛い顔を腫らしてどうする」 そう言いながら、二人の体を確認する。小鳥〈ことり〉は親指を立て、「私は大丈夫。ダメージはほっぺだけだから」 そう言った。 沙耶〈さや〉の膝が少し擦り剥けていたので、そこに消毒液をつける。「痛っ……」 消毒液に、沙耶がか細い声をあげる。「当たり前だバカ。いい歳して取っ組み合いの喧嘩なんかしやがって。しかも男の目の前で……ほらっ」 絆創膏を貼り終え、絞ったタオルで沙耶の顔を拭いた。「涙でぐしゃぐしゃじゃないか、お前の顔」「ふにゅう……」 沙耶が罰悪そうにうつむく。 悠人〈ゆうと〉は再び紅茶をいれ、二人に手渡した。「とにかく飲め。飲んだら落ち着くから」「ありがと、悠兄〈ゆうにい〉ちゃん」 小鳥も椅子に座って紅茶を飲む。沙耶もしばらくうつむいていたが、悠人の手が再び頭に乗ると、小さくうなずき口をつけた。「甘い……だが美味い……」「アドレナリンが出まくっただろうからな。砂糖増量だ」「この甘み、絶妙だね悠兄ちゃん」「まあな。どうだ沙耶、少しは落ち着いたか」「……」 カップを置いた沙耶が、小さくうなずく。「……大丈夫だ、問題ない」「それならよかった。それでどうだ? 拳で何か生まれたのか?」「う、うむ……」 沙耶が照れくさそうに微笑んだ。「……気にいったぞ、水瀬小鳥〈みなせ・ことり〉。拳で語ろうと言ってくれたこと、全力で相手
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-15
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第6章 悠人争奪戦 1/6

  学生時代から、悠人〈ゆうと〉は団体行動が嫌いだった。 特に数日間「旅行」という名目で他人と行動することは、これ以上にない苦痛だった。  * * * 高校2年の冬。修学旅行当日。 彼は布団にもぐったまま、出ようとしなかった。「悪魔さえ来なければ、行かずに済むのだが……」 だが、その願いは無残に打ち砕かれた。 部屋の扉が勢いよく開かれ、悪魔はやってきた。「悠人、おっはよー!」 早朝5時半にも関わらず元気全開の声。小百合〈さゆり〉だった。 声と同時に悠人の布団がはがされる。「ぬおっ!」「遅刻遅刻! 悠人、修学旅行遅刻しちゃうよ!」「ああ遅刻だな。だから俺のことは放っておいて、お前だけでも行ってくれ。青春の1ページを無駄にするんじゃないぞ」「訳の分からんことを言ってる場合じゃない!」 そう言って小百合が、悠人が離さずくるまっている毛布を引き剥がそうとする。「ええい、放っておいてくれと言ってるだろうが! 俺は400℃の熱で動けんのだ!」「なら雪で冷やさないとねー」「くっ……」 この頃の悠人は小百合が苦手だった。 自分のことを、ある意味両親よりよく知っている存在。誰よりも一番共に過ごした他人。それは彼にとって、弱点を全て知られているということでもあった。 そのことに嫌な感情を持っていた訳ではないが、こういう時は別だった。今日起こしにきたのも、悠人がさぼるのを見越しての行動だった。「はいはい、悠人が行きたくないのは分かってます。でもね、はいそうですかと保護者が言う訳ないでしょ。高校最後の一大イベントなんだから、早く起きて用意しないと」「だーかーらー」 悠人が無駄な抵抗を続ける。「期間限定、場所限定のスポーツなんぞに俺は興味がない」「いいじゃないスキー。こんなことでもなかったら
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-16
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第6章 悠人争奪戦 2/6

  夜。 皆が寝静まった頃、悠人〈ゆうと〉は旅館からの脱出を試みた。教師の警護も思ったほど厳重ではなく、難なく出ることができた。 一人雪の夜道を歩く。その時背後から、何者かが悠人の肩を叩いた。「ひっ……」 振り返ると、ダウンジャケットを着込んだ小百合〈さゆり〉が立っていた。「悠人、何してるの」 小声で話す小百合。一番見つかってはならないやつに見つかってしまった……そう思い、悠人が天を仰いだ。「ねぇ悠人、どこに行くの?」 しかし悠人の絶望とは裏腹に、小百合の目には興味と期待が映し出されていた。「ねえねえ悠人、何か面白いことでもあるの?」「いや、その……特に面白いことじゃない。あれだよ」 そう言って悠人が空を指差した。「え?」 小百合が空を見上げる。 「あ……」  そこには満天の星空が広がっていた。「せっかくこんな雪山まで来たんだ。これぐらいの贅沢、あってもいいだろ」「いいかも!」「え?」「懐かしいな。なんか昔、悠人とプラネタリウムに行ったのを思い出したよ。 でも4日もここにいるけど、全然気付かなかったよ」「ま、晴れたのは今日が初めてだしな。しかし以外だな。いいのか? クラス委員が規則破って」 悠人が意地悪そうに笑う。「これくらいいいの。だってこの4日間、ほとんど悠人と話せなかったし。それに役員やら何やらで結構働いたし、ご褒美があってもいいでしょ?」 小百合がにっこりと笑った。  * * * 途中で買った缶コーヒーを手に、二人は旅館から少し離れた場所に腰掛けた。「ほんと、きれいだね」「静寂と、星空に吸い込まれそうな感覚&
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-17
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第6章 悠人争奪戦 3/6

 「……なんか最近、小百合〈さゆり〉の夢をよく見るな……」 目覚めた悠人〈ゆうと〉がそうつぶやく。 そして起き上がろうとして、腕にまだ小百合の感触が残っているのに気付いた。 何やらいい匂いもする。「なんだ……俺、まだ寝ぼけてるのか……」 視線を腕に移す。 そこには腕にしがみついている、ネグリジェ姿の沙耶〈さや〉の姿があった。「え……」「ん……むにむに……」「……うぎゃああああああああっ!」 悠人の絶叫に、小鳥〈ことり〉が飛び込んできた。「どうしたの悠兄〈ゆうにい〉ちゃん!」「こ、これ……」「あーっ!」「ん……もう朝……か……遊兎〈ゆうと〉、小鳥……おはようございます」「おはようじゃない。お前、なんでここで寝てるんだ」「何を言う。お前は私の下僕なのだ、夜伽〈よとぎ〉は当然だろう」「な、な、何が夜伽〈よとぎ〉だお前!」「朝から大声を上げるでない。全く……これだから庶民は困る。もっとこう、優雅に朝を迎えようとは思わないのか」「平穏な目覚めを破壊したのはお前だ」「まあ聞け。私は昨晩、生まれて初めての土地に足を踏み入れたのだ。見知らぬ土地で初めての夜。心細くなって当然であろう。大体、一人で寝かせるお前が悪いのだ」「なんだその理屈は。心細いも何も、壁一枚隔てた隣の部屋なんだ。問題ないだろ」「ビルがいない」「……ビル?」「うむ。クマのぬいぐるみ、ビルだ。やつはまだ実家にい
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-18
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