Lahat ng Kabanata ng 名も無き星たちは今日も輝く: Kabanata 31 - Kabanata 33

33 Kabanata

─24─ 師匠

「汝に平安あれ」  先程見た光景と全く同じその言葉に、ユノーは思わず振り返った。 その視界に入ってきたのは、心ここにあらずと言うような表情を浮かべて起きあがろうとする上官の姿だった。 「……師匠。……どうして……こちらに?」 「どうしても何も、突然姿を消したのは、お前の方だろう。おかげで殿下はたいそうご立腹だ。しかもいらぬ手間を部下にかけさせるとは……」  珍しく戸惑った様な藍色の瞳を向けられて、けれどユノーは立ちすくみ、ややあって思わず数歩後ずさった。 そして、震える声でなんとか取り繕うとする。 「も……申し訳ありません……。勝手に……お邪魔して……。あの……」  けれど、経験値ではユノーは司令官と比べると完全に劣る。 鋭い視線を投げかけられて、彼は完全に口ごもってしまった。 「……ロンダート卿、何を見た?」  開戦の直前に投げかけられたのと、全く同じ質問である。 けれど、今度はユノーは返すべき言葉を持たなかった。 その様子に全てを理解したのだろう、シーリアスはわずかに吐息を漏らし、苦笑になりきらない表情を浮かべて見せた。 「わかった。酒場の笑い話のきっかけぐらいにはなるだろう。……全部本当の事だから、気にするな」  その言葉が終わるか終わらぬかのうちに、ユノーの涙が埃の積もった床に落ちた。 「…&hellip
last updateHuling Na-update : 2025-04-15
Magbasa pa

─25─ 一抹の不安

「まったく、お前という奴は今までどこで何をしていたんだ?」 後宮内のテラスで遅れてやって来た師匠と友人の姿を認めるなり、ミレダの口からは予想通りの怒声がついて出る。 彼女のかたわらには卓がしつらえてあり、その上には茶器や菓子が並べられている。そして、一足先に訪れていたカザリン=ナロードが、やや眉根をよせその様子をみつめていた。 慰霊式の後、お前が無事に帰還したことを慰労してやるからささやかながら茶会を開いてやる。そう提案したのはミレダだった。 公的ではないから強制力もないのだが、皇帝の妹姫というミレダの身分を考えると、それは半ば命令と言っても良い誘いである。 いわば主賓であるにもかかわらず遅れてきたシーリアスは、どこか面白くなさそうに主催者の苛立ちを真正面から受け止める。 だが、いつもとは異なりミレダからわずかに視線をそらし、やや離れたところに立ち尽くしたままそこから動こうとしない。 全てを押し殺したような表情から、カザリン=ナロードは何かを感じとったようだった。 不安げに眉根を寄せ、大司祭は静かに口を開く。「……何か、あったのではないの?」 何気なくかけられたその言葉に、ことの顛末を説明しようとしていたジョセが一瞬固まる。 けれど、問われた側はそんなに大騒ぎするほどのことではないとでも言うように、いつもと同様感情のない声で答えた。「何故自分がこの立場にいるのか……猊下や殿下のお側にいるきっかけを、ある人物に見られただけです」 わずかに目を伏せ吐息を漏らすシーリアス。青ざめた顔でカザリン=ナロードはジョセに向き直ると、ジョセは沈痛な表情を浮かべ一つうなずいた。 ただ一人話が見えないミレダは、少しいらだったようにシーリアスに鋭い視線を突き刺す。そして、表情同然の鋭い声でまくし立てた。「だから一体、何がどうしたんだ! 私にわかるように説明しろ!」「宰相の飼い犬に力づくで嬲られている所を、ロンダート卿に見られただけだ」 まるで他人事のように言うその人に、ミレダは返す言葉も
last updateHuling Na-update : 2025-04-16
Magbasa pa

─26─ 謁見

 後味の悪い慰霊式の日に周囲で起きた様々な出来事に未だ混乱しているユノーとは裏腹に、時間はことのほか静かに、そしていつも通りに流れていた。 そして気が付けば、忘れるはずもない父の命日はいつの間にか目の前に迫っていた。 せめて墓前に良い報告……騎士籍を取り戻したとの報告ができれば、そう思っていたのだが、未だその報せはない。 やはり生きて戻ってきては駄目だったのか、そうユノーは諦めかけていた。 だが予想に反して、ロンダート家に宮廷からの使者が訪れたのである。 明日参内するように、との命令を携えて。 その見計らったかのような事の展開に多少の疑問を抱きながら、ユノーは慰霊祭の時身につけていた礼装を再び引っぱり出した。 そして、翌日。 果たして迎えの馬車が、ちっぽけな家の前に現れた。 街の目抜き通りを抜け、宮殿の正門を馬車は粛々(しゅくしゅく)と走り抜ける。 皇宮の敷地にはいること数十分、手入れの行き届いた庭園の緑を眺めるユノーは、そのまぶしさに目を細めた。 やがて馬車は謁見の間がある建物に横付けされる。 扉を開ける御者に会釈をしてから、ユノーは案内役の侍従に従い、謁見の間へと向かう。 初めて足を踏み入れる選ばれた者達しか立ち入ることが許されぬ空間は、一目見てそれと解る高価な絵画や彫刻などで埋め尽くされている。 やがてその先に、一際大きな両開きの扉が見えた。 脇に控える者が左右からそれを開くと、侍従は脇に退き、こちらでお待ちください、とユノーに告げて頭を垂れた。 会釈を返し、ユノーは赤い絨毯の上に足を踏み出した。 背後で重々しい音と共に扉が閉まる。 高い天井とそれを支える柱には、細かい彫刻と彫金が施されており、明かり取りの窓から射す光が一段高いところにある玉座の上に落ちる。 さすがに貴族とはいえ末端の騎士との謁見とあって、その前には薄絹の幕が貼られ、彼のいる『世界』とは隔てられていた。 いや、ユノーような最末端なものに対しては代理のものが現れて、儀礼的に辞令を伝えて終わるはずである。
last updateHuling Na-update : 2025-04-17
Magbasa pa
PREV
1234
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status