「今のは······、」「見事な舞だったぞ、公子殿! 花見酒なんて粋なことをする」 上機嫌になった緋の宗主が、盃を掲げてこちらに声をかけてくる。正直、このどこからか降って来る無数の花びらたちは、無明が用意したものではない。 おそらく、あの声の主たちがやったのだ。宝玉の主たち。四神。どうやらあの声は、自分にしか聞こえていなかったらしい。(なんで俺が? それに······待っていると言われても困る。俺はこの邸から出るだけでもひと苦労だっていうのに) この紅鏡からは離れられない。 そもそも彼らの言う神子でもない。 ふと、白笶と眼が合った。現実に戻されるように本来の目的を思い出す。こく、と頷き口元を緩める。目的のひとつは達成したがこれからが本題なのだ。 長い時間霊力を消耗した上に、笛を吹きながら長時間舞っていたというのに、無明は息ひとつ切らしていなかった。舞台を下り、そのまま宗主や姜燈夫人の前に立つと、ゆっくりと跪いてそのまま頭を下げた。「出過ぎた真似をしたことを、お許しください」 予想もしていなかった言葉に、夫人は驚いた顔をしていた。いつもの言動からは考えられないほど謙虚で礼儀正しいその姿に、その場にいる親族の誰もが目を疑う。「いえ······助かったわ。あなたがいなければ奉納祭自体が成り立たなかったわ」「母上、こんな奴に礼など不要です。最初のあの姿で十分恥を晒しました。望み通りに罰を受けさせるべきです!」 虎宇はふんと鼻を鳴らして無明を睨む。その理不尽な言動に無明は頭を下げた姿勢のまま、唇を軽く噛みしめる。「母上、それはおかしいです。あいつはちゃんと舞を舞って、四神の宝玉も浄化されました。それよりも藍歌夫人が心配です」 兄の滅茶苦茶な言いがかりを見ていられなくなった竜虎が、思わず反論をする。お前はどっちの味方なんだと、睨まれた。「とにかく、すべては奉納祭が終わってからだ。あとで使いの者を送るから、それまでは邸で控えているように」 わかりました、と無明は宗主の提案に頷く。再び舞台の方へ向き直ると、そのまま無言で広間を後にした。 賑やかしい広間を抜けて渡り廊下の方を歩いていた時、ひとりの従者が駆け寄ってきた。それはいつも邸に膳を運んできたり、周りの世話をしてくれている若い従者だった。騒動の際、広間の入り口で無明の衣を遠慮なく引っ張り、必死
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-07 อ่านเพิ่มเติม