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All Chapters of Never Islan: Chapter 31 - Chapter 40

41 Chapters

29話 My brother's heart was already broken.

 ホムンクルスそれは人工的に人の手で作り出された人口生命体である。 人の手で人工的に作り出されたガーボンヒューマンとは全く別の存在である。 ガーボンヒューマンは1からすべて体を形成する肉体そのものを人工的に作られほぼ完ぺきに作り上げられその存在そのものがオリジナルである。ホムンクルスはその逆である体を形成するためには元となる存在が必要不可欠なのだ。 体の体格や性別そして顔を形成するためには元となる存在となる人物の髪の毛が必要なのである。 そして作成者はその元となる存在の記憶と思い出を心に強く宿っていなければならないのである。そしてホムンクルスの寿命は作成者と一心同体となりどちらかが死ねばもう片方も死ぬこととなる ホムンクルスを作るためには元となる存在と強い絆が必要なのである。その存在のすべてがその作成者の記憶を元に作られるからだ。  いわばホムンクルスとは作成者の記憶が実体化したものなのかもしれない。作成者が死ねばホムンクルスが死ぬのはここからくるサイクルなのかもしれない。 しかしなぜその逆の場合でも死んでしまうのか?それは今現在でも謎である。一つだけわかっていることがある。ホムンクルスを作ろうとした者は皆、心に傷を負っている者がほとんどであった。 ザクザク.... 青年は少女を背負い積もった雪を力ずよく踏みながら力いっぱい歩く どれくらい歩いただろうかそろそろ市内に入るはずだ。 さらに歩き続けると青年と少女の周りは様々な色に輝く電球の光のような物が街のあらゆる建物に付けられキラキラと光る光景が彼らの前に表す。  「綺麗だ...」 今現在のこの世界は世界的な寒冷化により電気の供給がいきわたらなくなっている。  どうやらこの光は電線などを使わなくても発光し続ける事が出来る人工発光電灯のようだ。様々な色が町中に光を照らしている。 「綺麗....」 少女はその光景を目にしながら青年にしがみつく    「起こしてしまったか...すまない」 そういうと青年は再び歩き出す。 「ごめんなさい私何も覚えてなくて...」 「いいさ、構わない。ミナが目を覚ましてくれただけでも...それで十分だ」「私は何であの機械で眠っていたの?」「ミナは病気でずっとあの機械の中で治療のために眠っていたんだ
last updateLast Updated : 2025-04-17
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30話 Sonokono kokorowa Jigawa Betsujindesu

久しぶりに家に帰れる。ユウキはそう思いながらミナを背負い歩き続けた。 家に帰るのは5年ぶりだ。あの日から家には一度も帰っていない。 あの装置を動かすために色々と時間をかけてしまった。 ユウキはミナをホムンクルスとして蘇生させるために5年の月日をあの研究室で過ごしたのだ。「 もう少しで家に着くから辛抱してくれよ?」 ミナはユウキに背負われながら「すうすう」と寝息を立てながら眠っている。 彼は無言で更にしばらく歩き続けた  しばらくすると急に胸が焼けるような感覚がユウキを襲い始めた。突然にである「はぁはぁ....くそ....なんだこれは」 ユウキは胸がしめつくような動悸と目まいの症状が現れた。 ドサ! ついに我慢できなくなりその場に倒れこんでしまう。「え?...」 ユウキは隣で倒れて「ゼエゼエ」と苦しむミナをみて彼女の手を握る。「なんで...ここまで来て..」「誰か...助け...」  ミナはゼェゼェと息を荒くし苦しそうにしている。 雪が降りだしてきた。 ユウキはミナに覆いかぶさるようにして庇う。「ちゃんと問題なく発光しているね」 美亜と奏花は町中の建物についている人工発光電灯に異常が無いか見回りをしていた。「ミディールさんの言った通りこれで少しは見晴らしが良くなるといいんだけど...」 今の時期は吹雪などで昼間でもほとんど光は遮られ真っ暗になるときもある。 そこで少しでも楽になればという事でミディールの案で人工発光電灯を街のいたるところに付ける事となった。「まるでクリスマスの時期に付けられるイルミネーションみたいだね」 美亜は色とりどりに光り輝く人工発光電灯を見ながら積もった雪を踏みながら少しずつ歩き出す。 かなり積もっているようで歩きづらそうである  しばらくすると雪が再び振り出してきた。少し吹雪きそうな予感がする。「もうこれぐらいにして屋敷に戻りましょう」 二人は一通り確認し終わると屋敷に戻る事にする 屋敷に向けて歩き出した二人だがやはり予想通り吹雪いてきた。「美亜ちゃんあれーーー。」 奏花が何かに気づき指をさす。 指をさした場所に人が倒れている。  雪に埋もれている。男の子が女の子を守るように覆いかぶさっている「しっかり....」 美亜は二人に必死に声をかけ続ける。 奏花近くの民家に助け
last updateLast Updated : 2025-04-17
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30.5話「ーーーー。」

××××年×月××日僕に妹が出来た。妹を出産した後、体が丈夫でなかった母はそのまま寝込みがちな生活が続いた。元々病気を患っていたので無事に生き延びたのは奇跡だったかもしれない母より------。「私に何かあったら代わりにあなたが守ってあげて」と息子にたのむ。----------------。父は母の看病で手いっぱいで妹への世話などできる状態では無かった。父は僕と妹のすべてが無関心だった。母への介護で手いっぱいだったからだ。僕は妹に「ミナ」という名前を付けてあげた。ミナはいつも僕に可愛い笑顔を見せてくれる。僕がミナを守るんだ。母は今日も寝ている。最近では眠っている時間の方が長いような気がする。それでも母はミナがそばによると気配でわかるのか起き上がり笑顔を見せる。母よりーーーーーーーーー。「彼女に素敵な名前をありがとう」と息子に言う。----------------------------------。父は今日も母だけを心の拠り所にして生きている。とにかく全てが母を中心に考えている。仕事をする理由も母のため。僕は父と会話すらしたことがない全てが母のため------。でも僕は母も父も二人の事を一度も恨んだことはなかった。父は僕たちに愛情は微塵も無かったが母に対しての愛情は本物だから。母よりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。「お父さんを恨まないで」と息子に言う。--------------------------------------------------------------------。母の僕たちに対する愛情は本物である。だから僕は父も母も恨まない。
last updateLast Updated : 2025-04-17
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30.7話 死が世界を分かつまで

彼が旅立ってから2年がたった。私はあれから彼らの転移場所を探り入れた。彼の祖母が残した座標。彼らは必ずその場所にいる。 何故あの人は二人をこの座標の世界に導いたのか?そして私は知りたかった。彼らが死を受け入れた先に手ら入れたその先の時間を。 グロウベルグシステムの端末は確保した。後はこちらの世界でのやり残しをすべ終えるだけである。 出来うる限り彼らに情報をわたしたかった私は二人にとって最後の時間を徹底に調べる事にした。2人が最後の時間を過ごしたあの日、戦後最大規模と断定された大地震と大災害が起きた。 あの爆発的な地震が起きた直後。震源地の海域のその周辺の海域の島々のすべては壊滅となった。 私は震源地からその周辺の海域そして壊滅的な状況となった島々を調べる事とした。2011年3月11日。福島沖から襲来した津波はその後の世に災害だけでなく大きな災いを残した。 この津波は島々だけでなく本土にまで押し寄せ被害を葬った。 この時起きた地震の震音と震端数を私は徹底的に調べ上げる事にした。震音と震端数のデータは私の研究機関が残しているそこから調べる事にする。 何だこれは?通常ではありえないこの波と波長音は?バカな.....こんな歪に整った波長と震端数これはまるで....こんなものは人の手で起こされたものとしか言えない。 しかもこれは...地震発生直後から震源地から爆大な、なんだかしらのデーター情報が滝の用に漏れ出している。データーの解説が出来ない。 もはやこの地震は何者かの手によって人の手によって起こされたとしか言えない 私はこの震源地に自らの目でその後をこの目線で確認する事にした。その震源地に行く前にある島に私は立ち寄ろうとした。 この島は誰も住んでいる人がいない無人島だ。 人が住めるようにするために開発開拓が進められていたがプロジェクトを支えていた会社が財政難により経営破綻してしまい開発と開拓の話はオジャンとなった。 島に足を運ぼうとした私は現実とは思えない不気味な光景を見た。 私は船の上からあり得ない光景を見ている。私はいったい何を見ているのだ?ないのだそこにあるはずの島が。 有ったはずの島のその位置に海ごとくっきり切り取られるような状態となり大穴が開いた状態となりその穴めがけて海水が滝のように流れていく この場所
last updateLast Updated : 2025-04-17
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31話 偽りでも愛情は本物

ユウキは左手を見てみるとまるで火傷の跡のようなものが出来ていた。凍傷だ。 「私たちがあなたたちを見つけるのが遅かったらこんな傷ではすまなかったかもしれませんよ....何でこんな危険な日に妹さんと....」 ユウキは美亜のその言葉に何も言い返すことが出来なかった。本当のことを言えば大変なことになる。島中に噂は流れ島にはいられなくなる。 そもそもこの子は僕の言うことなど信じるはずがない。 「食糧調達だ......それに薪も切らしてしまっていた。食料はまだどうにかもっていたであろうが薪はどうにもならなかった妹を連れて行ったのは.....この子を一人にさせるのは危険だと思ったからだ。側にいてくれた方がよっぽど安心だと思ったからだ。」「だが僕の考え方が甘かった。危うく。この子をミナを死なすとこだった。」 「せめてこの吹雪が落ち着くまではここで休んで行ってください妹さんのためにも...」 「ああ...そうだな」ユウキはうつむきながら思いつめた顔をのぞかせる 「んん...?」どうやらミナが目が覚ましたようである。 「よかった....。」ユウキは優しくミナの手を触る。冷たくてひんやりする。 「兄さん......」その一言にユウキの心が一瞬にして凍り付いた 違う....ミナじゃない.....ここにいる少女は...ミナとは違う意識と自我か芽生えてしまった...。見た目はミナとそっくりだが違う...ミナは僕の事を「お兄ちゃん」といつも呼んでいた。 例えこの子の肉体がミナのものとまったく同じように作られたとしても芽生えた自我は別人。それでもユウキは今ここにいる「ミナ」をけして離さないと誓った。これがやってしまった行為の責任だと思ったからだ。 「もう.....大丈夫だから....」 ユウキは優しくミナを抱き寄せる そんな二人を微笑ましく見守る美亜。 「そろそろ暖炉の薪を追加しないと、私、薪をもってきますね。」「覚める前にそのスープ飲んでくださいね。おかわりもありますよ遠慮なくいってくださいね。」そういうと美亜は2階の部屋に薪を取りに行く。 ユウキは今自分たちがいる部屋を見回す。 それにしても....随分と立派な家.....というより屋敷かな?壁には見るからに立派な装飾がされており綺麗な画が飾られている。  「兄さん....
last updateLast Updated : 2025-04-17
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32話 ホムンクルス....そして...?

数日前..... 今は使われていない研究所が何者かに侵入されその施設の設備を使用された可能性がある事をミディールは現在の拠点の施設から遠隔操作で発見。これを調べるため理人と隆太はその研究所に調べに行く事となった....のだが... びゅぅうぅぅぉぉォォォォォォォ!!!(吹雪)  「また強く吹雪き始めたな」 「ふぃっくしゅ!!さむ!!!」 一方、たび重なる吹雪が原因で町中についていた人口ライトが遂にその全てが完全に破損。市長はミディールに街の安全を守るために人工発光電灯の取り付けを依頼。 美亜と奏花が急遽、この人工発光電灯の取り付けに駆り出されることとなった。 「ねえ?私達っていつからミディールさんの助手みたいなものになったっけ?」 「わ....私に言われても」 そして二人が電灯をつけてる丁度その時期にユウキとミナは吹雪に襲われ更に原因不明の動悸と体調不良により二人とも気を失ってしまうが丁度通りかかった美亜と奏花に助けられ間一髪、事なきを得る事となった。 そして現在.......。 「私たちが偶然通りかからなかったら君たちほんとにどうなってたかわからなかったよ」「私、奏花て言うのよろしくね」 「僕はユウキと言うんだ。で、こっちは妹のミナだ。」 「美亜ちゃん、奏花ちゃん二人ともよろしくね」 彼らはそれぞれ無事であることに安堵し、そして兄と妹は助けてくれた二人に感謝した。何より自分たちに優しく、そして親切にしてくれた事に心が温かくなるような感じがした。 同時刻.....ミディールの研究所にて......「ミディールさん、コーヒーもってきましたよあったまるから飲んでくださいな☆」 「ありがとう理緒ちゃん」 ミディールは理緒からわたされたコーヒーをゆっくりと飲みしばらくすると「ぷは~と息を吐く」「ありがとう、生き返るわ」 「にゃは☆おかわりもってきますか?」 他愛もない会話をする二人だが理緒はふと気になることが頭に浮かびミディールに聞くことにする。「理人ッち達が向かった研究所の後ってかつてはどんな研究をしていたの?」 ミディールはこの問いかけにたいし急に顔色を悪くすると重い表情を浮かべ説明し始める。 「あなたには....というかこの場合あなた達かしら?嘘は言わないほうが良いかもしれないわね...」「あの場所はかつて人
last updateLast Updated : 2025-04-17
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32.5 「次の世界にいるものたちへ」

私はあり得ないものを見ている ここにあった島は?。 いったい何が起きている 何だ?この光景は?まるでこれは島ごとクッキリと取られたような光景ではないか? 本来この場所には開発が途中で止められた無人の街の光景が見られる島が存在していたはずた。 あの島はいったいどこに消えたのか?  2011年3月11日。あの日からこの海域周辺は禁句の場所として誰も立ち入ることのない海域となってしまっている。こんな物騒な海域に誰も立ち入るはずがない。あの日この海域周辺であの島で何があったのか?誰も見たものもいないし知るよしもないのだ。 私はすぐさま近くを巡回している自衛隊に無線で連絡を入れ合流した。 「久しぶりだな。甘夏目准尉」 「准尉はやめてくれあくまでこの階級は自衛権のために与えられたものだよ新田(あらた)少尉」 彼とは大学に通っていたころからの古い付き合いである。 気楽に話ができる相手でもある。きっと力になってくれるはずだ。 「彼は行ったのか?...」「ああ....今頃はきっと妹さんと久しぶりに再会しているはずだ」 「おまえも行くのか?....」「うん...そのためにこちら側でできるだけの情報を得ようと動いている」 「で、いまこの光景があると...」 「こんな光景を見てしまったらね....いやでもこう思うよね。彼らが向かった次の世界では何かとてつもなく厄介なことが起きていると。」「阿久津那智はなぜ彼らを?....まさかその厄介な事と関係があるのか?」 「さあ?しかし二人の再会を利用した事だけはどうやら事実のようだね」  そう言うと甘夏目はあるメモを新田に見せる   「これは?」    「あの人が残したメッセージ。簡単に言うと「座標」だよこれを元に美香ちゃんはグロウベルクシステムを使い次の世界に向かった。そして理人さんも..」「明らかに裏がありそうな匂いがプンプンするじゃないか」 「そうだね。だけどきな臭いのはそれだけでは無いんだよ彼女は何処の施設でグロウベルグシステムを使用したのか、そしてその遺体はどこに収容されのかは全くの謎なんだ。 「何だと?....」 「私は思うんだよまさかと思うがあの大災害は彼女がしようとしているその「何か」と関係しているのではないかと。だから私は彼らが向かった世界に行く前に少しでもこちら側の世界で情報
last updateLast Updated : 2025-04-17
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33話 遭難(そうなん)です

吹雪のため、破棄された施設の中に避難した理人と隆太はそのまま足止めを食らう形となってしまった。 「どうだ?何とかなりそうか?」 「いまこの施設内の電力系統にアクセスしているうまくいけば施設内のシステムを回復できるはずだ」理人は施設内のPC端末を操作してシステムを回復できないか試しているようである。 「電力操作....システム系統...供給維持...アクセス系統異常なし...後はオンラインモードに移行..電圧固定異常なしこれで行けるはず」 「マジで頼む死にたくない」すると施設内部が明るい光が灯されていく。 「た、助かったのか?」 「うん、上手くいったよこれで凍死だけは免れるよ」 「縁起の悪いことは言わないでくれよ兄ちゃん」隆太は不意に苦笑いをしてその場をごまかそうとする「何か食えるもん無いか探しに行かないか?さっき食堂みたいなところがあったのを見たぜ」 二人は食堂らしい部屋に入ると複数のテーブルと奥においてある大きな冷蔵庫を複数個目にする。確かにここは食堂だったようだ。しかし空腹を満たせなければまったく意味がない。二人は手分けして食べられそうなものを探す事にする。 理人は冷蔵庫の中から封が明かされていない完全に密封された食料を見つけた。「これ..レーションかしかも結構な数があるぞ」 一方隆太はレトルトのような食料を見つけた。「レトルトのスープか...でも火が使えなきゃ意味ないぞ」 さらに.....「1分でキープ。ウォーターゼリー。飲み水にもなりそうだな」 とりあえず二人は飢えだけは凌げそうである。 二人はとりあえずレーションを食べる事にする。「これお菓子みたいだな」 「災害などが起きた時の非常食として作られたんだよこれは。まぁ今の状況にはぴったりじゃないか?」「食えるだけマシってわけだ」 ムシゃ!!ムシャ!!.....ごくり!!........「お菓子だなこれは....まあ不味くはないぜ」 「んじゃ俺はこっちのほうを.....」理人はウォーターゼリーを口にして飲みだす  ごく..ごく....「昔これと似たよなもの飲んだことがある...朝にのむやつ...とりあえずこれで喉はうるおせるかな?」 何とか空腹を満たすことができた二人だが。吹雪が落ち着くまではこの建物から出る事は出来ない。二人はもうしば
last updateLast Updated : 2025-04-20
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34話 親近感

A級ブリザードそれは時として多くの人の命を落とす恐ろしい災害。人工物を凍らせ破壊しそして人の命を脅かす。 ユウキとミナが屋敷に滞在してからすでに3日が過ぎたが一向に収まる気配がしない 理人と隆太は無事なのか?美亜と奏花は心配でたまらなかった。「ざーーーざーー!!」   奏花はラジオを付けたがノイズの音しか聞こえない。この様な状態ならば電波が届くはずがない。 美亜は暖炉の薪を追加していく。とにかく暖炉の火が消えないようにしないといけない。ミナの体調の事も問題もあるため暖の問題には特に油断が出来ない状況である。 「すまない僕たちのためにいろいろと迷惑をかける」「気にしないでください困ったときはお互い様ですよ」 美亜はユウキとミナの境遇に何故か親近感がわいていた。なぜか二人を放っておくことが出来なかった。 「理人君だっけ?君の大切な人なんだよね?こんな時に何だけど本当に無事だといいんだけど...」 「あの人ならきっと無事ですよ!建物の中に避難しているはずですから。きっとユウキさんともいい友達になってくれると思いますよ。」二人は何気ない会話をしながらこう思った『ああ、やはり自分たちと何か似ているな』と 「この吹雪がやんだらとりあえず実家に戻るつもりだ。」 「その話何ですけど。あのですね、もしよければあの人が帰って来るまでここにいると言うのはダメですか?」「でもこれ以上迷惑かけるわけには...」ユウキはこれ以上迷惑をかけるわけにはいけないと思ったがせめてこの吹雪がやむまでは致し方ないと思っていた。 しかし彼女のその優しさは凄くありがたかった。両親を早く無くしずっと妹のためだけに生きて来た。ここまで人から優しくされたのは生まれて初めてとさえ思えてしまえるほどであった。 「くーくー..」  「すうーすぅー..」奏花とミナは寝息をたてながら寝ている。 「こいつ...友達が欲しかったんだろうなきっと...」 「もう友達ですよ...私たちは...」 「ありがとう、本当にありがとう」 ユウキはホロっと目から涙が流れ始めた自分がしてしまった行為は人として一線を越えてはならない事だ。  どんなに尊い存在で大切な存在であったとしても一度死を迎えた命を簡単に蘇生させるなどという行為は許されない道徳では無いのか?彼の心を重く締め付け
last updateLast Updated : 2025-04-20
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34.5話 遺された想いの鎮魂歌

神奈川県綾瀬市。何もない地たが自然あふれる何故か懐かしさを感じる土地である。彼らが住んでいた場所でもある。私と新田は彼らの遺品を整理するため理人の住んでいた家に来ていた。 彼、理人さんの死後、彼の遺品の整理を本人の依頼から頼まれていた。 「いいのか?本当に彼の遺品の整理は俺がやるから自分の身の回りの整理をした方が良かったんじゃないのか?」 「彼からの依頼だからね。仕方がないよ」 二人は荷物をダンボールに入れていく。新田は一つの写真立てを目にして手にする。 「もしかして、この子が?」 「そうだ理人さんの妹さんだよ」新田は彼女の写真を見て複雑な気持ちになって来た。 これは......ほとんどが妹に関わる持ち物ではないか.....彼は......彼女との再会のためにどれだけの苦悩と苦しみを味わったのだろうか?  新田は理人と美香のツーショットの写真を見つけた。写真の裏にはこう書いてある。2011年3月10 「この写真は美香ちゃんがグロウベルグシステムを適用する前日に取ったものだろうね」 綺麗な装飾がされた写真立てに入れられている。余程大切にしていたのであろうか?色違いのマグカップが二つ。色違いのゲーム機PSPが二つ。さらに色違いの箸が2セット。どれも大切にほかんされていた。どれもこれもが2つにセットされ色違いの者ばかりである。多分二人が一緒に暮らしていた時に使用していたものであろうか? 箪笥の奥から綺麗な装飾が施された大きな箱が置いてあった。甘夏目はその箱を開けようとするが手が震えて開ける事が出来ない。 「もういい。俺が開ける」そう言うと新田はゆっくりと箱を開けていく  綺麗な白い装飾が施されたドレスが入っていた。間違いなく結婚式に着る品物だ新田はドレスと一緒に小さな箱が置いてある事に気づきその中を確認する。その中には指輪が二つ入っていた。 小さい方の指輪の裏側には小さい字でこう書いてある。『妹へ永遠の愛と共に人生のその最後まで共に生きる事を誓う』  新田は「はぁー」と大きく息を吸った後腰が抜けてその場に倒れこむ その後新田は泣き崩れてしまう。  「彼の顔も知らない君が何でそんなに泣くんだい」 「だってよ....彼の苦しみを考えるとよぉ....本当に愛してたんだな...妹の事」 「彼らの関係は知っていたけど
last updateLast Updated : 2025-04-20
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