Lahat ng Kabanata ng 君と奏でるトロイメライ~今度こそ君を離さない~: Kabanata 31 - Kabanata 39

39 Kabanata

未練 04

とても心地良い気分でスッキリと目覚めた春花は、あまりの爽やかさにうーんと大きく伸びをした。久しぶりにぐっすり寝たような、そんな気分だ。自分に掛けられている毛布を見て、ようやくここが静のマンションだったことを思い出した。「……ショパン?」耳を撫でるピアノの音に春花は顔を上げる。心地良い揺らぎはこのピアノの音だったのだろう。静は春花に気付くと、ニッコリ微笑んで演奏の手を止めた。「桐谷くんごめん、なんか寝ちゃって。ショパンだったよね?」「うん。春花がよく眠れるように」「すごくよく眠れたよ」「それならよかった。春花がつらそうに寝てたから」「ねえ、もしかして帰ってきてからずっと弾いていたの?」「春花の寝顔が可愛かったから、ずっと見ていたくて」「ええっ!」流された視線が予想外に甘くて、春花は思わず頬を赤らめながら目をそらす。それに、いつの間にか「山名」から「春花」へ呼び方が変化していることに動揺が走った。変に意識してしまったことに焦りを覚えるが、それに対して静は何も気にしていないようだ。「あ、あのさ、名前で呼ばれるとなんか恥ずかしいっていうか、ドキドキしちゃうっていうか……」ゴニョゴニョと静に訴えてみる。 静は立ち上がり春花の元に行くと、彼女を覗き込むようにして視線を合わせた。「な、なに?」「春花をドキドキさせてるんだ」微妙な距離がもどかしい。 お互いの呼吸音が聞こえ、毛布の擦れる音さえも大きく聞こえる。ドキドキと高鳴る鼓動が聞こえてしまうのではないかと思うほどの距離感は、まるでキスをするような感覚に似ている。近づく距離に反射的に目を閉じた。 と、その時。「ニャア」鳴き声にはっと我に返り、春花はほんの少し仰け反る。猫は春花の腕にグリグリと頭を擦り付けていた。「あ……」「こら、邪魔するなよ」静がため息混じりに猫を抱き上げると、猫は静の腕をするりと抜け、目を真ん丸にしながら床をあざとくゴロンゴロンと転がった。「……お前」「あ、猫。猫飼ってたんだね」「ああ、猫アレルギーじゃないよね?」「大丈夫。すごく人懐っこいね。名前、何て言うの」「……」「……?」静は開きかけた口を躊躇いがちに閉ざし、春花は不思議に思い首を傾げる。ふいと春花から視線をそらすと、ぼそりと呟いた。「……トロイメライ」「ニャア」静の言葉に反応
last updateHuling Na-update : 2025-03-25
Magbasa pa

未練 05

静の家に居候すること早一週間が過ぎた。日々目まぐるしく過ぎていき、ようやくの休日である。春花はアパートの解約手続きをしに不動産屋まで出掛けた。同時に次の物件も探さなくてはいけないため何ヵ所か候補を出してもらい見学をさせてもらったが、結局その場で決めることはできなかった。「おかえり、今日は早かったね」マンションへ帰ると静がキッチンでコーヒーを淹れており、春花にもマグカップを差し出した。「ありがとう。今日は休日なの」「そっか。どこへ行っていたの?」「アパートの解約と次の物件探しだよ」静からマグカップを受け取ろうとして、春花はドキッと肩を揺らす。静の表情が強張っていたからだ。静は落ち着きながらも強い口調で言う。「なんで? 探す必要ないだろ? ここに住めばいいんだから」「ダメだよ」「どうして?」「だって……迷惑かかるし」「俺が一度でも迷惑だって言った?」「言ってないけど。でも……」と、そこで春花は口をつぐむ。いつだったかワイドショーで見た【ピアニスト桐谷静、フルート奏者と熱愛報道】が頭を過り、いたたまれない気持ちになってくるのだ。同級生だから、静が優しいから、だから困っていた春花を助けてくれただけであって、いつまでもそれに甘えてはいけない。静にも、静の恋人にも申し訳ないからだ。だがその事を口に出すことはできなかった。そんなことは知らないままで、ただ静に甘えられたらどんなに幸せだろうか。ずっと好きだったのだ。高校生のときからずっと、春花は静が好きだった。
last updateHuling Na-update : 2025-03-26
Magbasa pa

未練 06

離ればなれになり静がピアニストとして成功を収めていくにつれて、自分とは生きている世界線が違うのだと悟ったあの日、春花は静に対する【好き】という気持ちを【憧れ】へとシフトさせていった。そうやって気持ちをすり替えることで自分自身を納得させて過ごしてきた。だからこそ他に恋人を作ることができたし、高校生の時の思い出は綺麗なまま春花の心の中に大切に保管されている。静と再会できたことは奇跡のように感じるし居候させてもらっていることもまるで夢のようなのだ。ここできちんとけじめをつけないといけないのだろうと、春花は気持ちを強く持った。だがそんな春花の気持ちを静は一瞬で打ち破る。「俺が春花を守るって言っただろ?」その強くて優しい言葉は春花の心に突き刺さった。意図も簡単に。「……桐谷くん優しすぎるよ」「大事な春花のためだから」春花は自分自身が弱っていることを自覚していた。だから静の優しさは心地よくてつい甘えたくなる。高校生の時のようにずっと隣にいたいとさえ思えるのだ。そんなおこがましい考えを振り払うかのように、春花は別の話題を切り出した。「あ、店長が、来るなら一曲弾いてほしいって」「そう? なにがいいかな?」「トロイメライがいい。桐谷くんのトロイメライ、聴きたいな」「春花、来て」「え?」言われて静に着いていった先はピアノルームだ。静は椅子を引いて春花を座らせる。「覚えてるだろ? トロイメライ」「……うん」高校生の時に連弾したトロイメライは、春花にとって死ぬほど練習して今でも思い出して時々弾くくらい覚えている曲だ。静は春花の隣に座った。触れそうで触れない距離は春花の心臓をドキリとさせる。静が鍵盤に手を置いたのを見て、慌てて春花も手を置いた。「いくぞ」すうっという静の呼吸音を合図に、ポロンと指を動かした。春花の指、静の指から繰り出される鍵盤の響きはたくさんの音と混ざりあって深みを増していく。二人で奏でる広い音域はまるでそこに別の空間が存在するかのような魅力的な世界を生み出し、たちまち没頭させていった。久しぶりに沸き上がる高揚感。思い出される青春に胸がいっぱいになる。「春花……」「桐谷くん……」「あの時の続きを言わせて」「あの時?」「そう、最後にトロイメライを演奏した時の続き……」春花は目をぱちくりさせて首を傾げた。
last updateHuling Na-update : 2025-03-27
Magbasa pa

未練 07

◇コンクールも受験も無事に終わり、あとは卒業式を迎えるだけのある日の放課後。二人は音楽室に赴いていた。たくさんの思い出が詰まった音楽室、そしてグランドピアノ。「ねえ、卒業記念にトロイメライ弾かない?」「そうだな。これが山名と弾く最後のピアノか……」「うん、そうだね……」そんな会話をしてしまったために、二人の間にしんみりとした空気が流れる。本当にこれが最後の演奏だ。コンクールがあるからという理由で切磋琢磨してきた時間も、卒業を控えているだけの二人にはもう必要がなくなった。春花は胸の辺りをぐっと押さえる。(この演奏が終わったら告白しよう)これが最後のチャンスだ。これを逃したらもう告白できる気がしない。二人、進路は別々なのだから。決意を胸に春花はピアノに対峙する。隣にいる静をいつも以上に感じながら、想いを込めて鍵盤を打ち鳴らした。二人で奏でるトロイメライは最高に気持ちがいい。ずっと弾いていたい。 ずっと曲が終わらなければいいのに。弾き終わった直後、何物にも代えがたい高揚感が胸を熱くする。この余韻は忘れてはいけない。壊してはいけない。そう感じたからこそ、春花は静にとびきりの笑顔をみせた。「山名、俺……」「ずっと応援してるね。私、桐谷くんのファン1号だから。有名になったらコンサートのチケット送ってよね」「……ああ、わかった」気持ちを誤魔化したあの日。 寂しく笑った静。二人の気持ちは宙に浮いたまま、月日は流れた。◇「あの日って……?」「最後に二人でトロイメライを弾いた日のこと、覚えてる?」「うん」「あの時、俺は春花に伝えたいことがあったんだ」「伝えたいこと……」よみがえる思い出は春花の心臓をぎゅっと締めつける。込み上げる衝動は期待なのか、不安なのか。春花はじっと静の言葉を待つ。「好きだ。高校生の頃からずっと。春花が好きだ」あっという間に春花の心をかっさらうかのように、体の奥から忘れかけていた何かが解き放たれる。閉じ込めていた感情が溢れ出てくるのがわかった。胸が熱く、張り裂けそうになる。「……私も。あの時本当は伝えたかった。桐谷くんのことが好きって。でも言えなかったの……」「春花……」あの時、お互い好き同士だった。お互い遠慮して勇気がなくて、心地よい関係が壊れてしまうのを恐れて伝えることができなかった。一体何
last updateHuling Na-update : 2025-03-28
Magbasa pa

静 01

静はずっと春花が好きだった。 春花の旋律は心地よく、人を癒すような旋律はずっと聴いていられる。まったく飽きない。だが彼女はいつも自分を卑下し、逆に静のピアノをすごいと褒める。それがなんだか悔しく、そしてむず痒かった。音楽一家に生まれた静は小さい頃からピアノを習わされた。強制的に始めたピアノだが、静はピアノが好きだった。重厚で繊細な音色は子供心にも胸を熱くさせる。上手く弾けたときの爽快感や達成感は体が震えるほどだ。だが年齢が上がるにつれて指導が厳しくなっていき、いつしかピアノを好きな気持ちがどこかへいってしまった。――できて当たり前だから誰も褒めてはくれない。ピアニストを目指して頑張ってきたのに、途中で何が何だかよくわからなくなってしまった。そんな時、春花に出会った。同じ音楽部でピアノが大好きで、優しい旋律だけじゃなく楽しそうに弾く。そんな自由な春花を見るたび、静は羨ましくて仕方なかった。「桐谷くんのピアノはずっと聴いていられるね」いつだって春花は静のピアノを褒め讃える。静だけではない、音楽部の一人一人をよく見ていて優しい言葉をかける。静にとって春花は、心にともしびをくれる天使のような存在だった。「あなたたち、連弾してみたらどう?」ある時顧問からそう提案された二人は、遠慮しつつも頷いた。お互い気になる存在ではあるものの、その距離感は遠い。だが、このことをきっかけに静と春花は一緒にいる時間が増え、ピアノの練習を媒介としてプライベートなことも話すようになっていった。それは求めていたことであり、関係が一歩進んだことに喜びを隠しきれない。毎日放課後が楽しくて仕方がなかった。「うちは両親が不仲だからさ、学校にいる方が楽しいんだ。桐谷くんとピアノを弾いている時間が一番楽しいかな」「俺も山名とピアノを弾くの好きだな」「……えへへ」お互い顔を見合わせて照れたように笑う。生きていれば誰だって嫌なことのひとつやふたつあるに決まっている。静だって、ピアノに関して言えば家庭に不満があるのだ。だから春花の悩みもその程度なのだろうと軽く考えていた。そうやって二人は想いを共有し意気投合することで、静の春花に対する想いは募っていった。
last updateHuling Na-update : 2025-03-29
Magbasa pa

静 02

受験も近くなった頃、暗い表情をした春花を前に静は言葉がでなかった。「……ずっと一緒にピアノを弾きたかった。一緒に音大に行きたかった」春花の絞り出す言葉が矢となって静の心を刺す。ずっとこのまま楽しい毎日が続くのではないかと、錯覚することだってあった。むしろ続いてほしかった。一緒に音大に行きたかったのは静の方だ。春花とずっと一緒にいたいと願っていたのは静なのだ。このショックは計りきれない。春花の落ち込んだ姿を見るのは初めてだった。けれど春花はそれ以上何も言わず、すぐに普段通りの明るい春花に戻った。静にはわかっていた。それが春花の気遣いなのだと。一瞬見せた落ち込んだ姿はまるで嘘のように元の春花に戻っている。もしかしたら抱えきれない大きな不安や悩みがあるのかもしれない。それを押し殺しているのかもしれない。気づけば静は春花の手を掴んでいた。「俺の前で強がったりするな! 泣けばいいだろ」「……ううっ」春花の瞳からはポロポロと涙がこぼれ落ちる。気持ちを押し殺す春花をどうにか解放してやりたい。楽にしてやりたい。卒業式を間近に控えた放課後、二人は思い出のトロイメライを連弾した。これが学生生活最後の連弾かと思うとより一層熱がこもる。隣に座る春花の存在を感じ取りながら、心を込めて鍵盤を打ち鳴らした。演奏後の高揚感は静に勇気を与える。 今が告白のチャンスだと確信した。だが、静の気持ちとは裏腹に春花は笑顔で言う。「ずっと応援してるね。桐谷くんのファン1号だから。コンサートのチケット送ってよね」それは残酷だった。それ以上何も言わないでほしい、このままの関係を崩すなと言われているようにしか思えなかった。静は息をゴクンと飲み込む。 告白する前に玉砕したのだ。「……うん」それしか静は言葉が出ない。告白をするなんていう決意は一瞬で吹き飛んでしまったし、告白をしようという勇気すらどこかへ行ってしまったかのようだ。二人の関係が壊れるのが怖かった。 この心地よい距離感が変わってしまうのが怖かった。――絶対にピアニストになって春花にチケットを送るそう新たに決意し、二人の関係は進展することも壊れることもなく、穏やかに日々が過ぎていく。春花を守りたい。 春花を幸せにしたい。自分に何ができるのか全くわからなかったけれど、ただ、漠然とそう思った。卒業前に春
last updateHuling Na-update : 2025-03-30
Magbasa pa

静 03

告白できなかったからといって、静の春花への気持ちが変わるわけではなかった。――俺が山名の分まで音大で頑張ってくる。ピアニストになってみせる音大に行けなくなったと泣いた春花にそう宣言した手前、頑張らない訳にはいかない。このもどかしくどうにもできない気持ちをぶつけるには、ピアノしかなかった。静にできることはピアノを弾き続けること。努力し続けること。静は大学で一心不乱にピアノに打ち込んだ。その甲斐あってか、静はめきめきと実力を発揮し、コンクールで何度も賞を取って順調に実績を積み重ねていった。静の初めてのコンサートは海外だった。決まったときはただただ嬉しくて、ようやくここまで来たのかと自信に満ち溢れた。「海外に来てとは言えないよな……」静はため息ひとつ、さすがに気が引けて春花にチケットは送らなかった。ここぞと言うときに遠慮してしまう悪い癖はなかなか直らない。あの時だって告白していたら……などと何度後悔したことだろう。「今さら遅いかもしれないけど……」自虐的に笑うと、自分の情けなさが露呈するようでなおさら落ち込んだ。もしも今後日本でコンサートを開催することがあれば、次こそは春花にチケットを送る。これ以上の後悔は重ねたくない。本当に、何もかも祈る気持ちだった。
last updateHuling Na-update : 2025-03-31
Magbasa pa

静 04

日本の、それも地元で開催するコンサート開催を決めた静は、意を決して春花にチケットを送った。住所が変わっていたらどうしよう、ちゃんと届いたとしても果たして春花は来てくれるだろうか。これ以上後悔はしたくないと思いながらも不安はつのる。だが、それとは別に一歩踏み出した満足感もあった。やっとスタートラインに立てた気がしたのだ。自分が送ったチケットの席番号はわかっている。リハーサルのとき客席に下りて場所を確認し、舞台からもまた確認する。「……意識しすぎだろ、俺」自分の行動に思わず苦笑いをするが、それほどまでに春花を意識していることを改めて実感し、静の気持ちは益々高ぶっていった。 落とされた照明の中、静は春花を見つけた。はっきりとは見えないがそのシルエットだけで春花だと確信が持てる。チケットが届いたこと、春花が来てくれたことが、静の心を安堵と喜びで満たしていく。最高のパフォーマンスでおもてなしをし、春花への想いよどうか届けと願わずにはいられなかった。演奏を終えた静はジャケットだけ脱ぎ捨てると、慌てて出入り口まで走った。あわよくば春花と会いたい。そんな奇跡の再会を夢見るように、ひたすらキョロキョロと探し回る。と、ホールを出たところで一人歩く春花を見つけた。「山名!」静の声にビクッと肩を揺らし、春花は恐る恐る振り返った。「……桐谷、くん?」高校生の頃と全然変わっていない、いや、むしろ外見はとても綺麗で大人の女性になった春花に、静は胸がいっぱいになった。しゃべり方も穏やかで「桐谷くん」と呼んでくれることが何よりも嬉しい。まるで高校生の頃に戻ったかのように錯覚する。だが、ごめんと断りを入れて電話を取った春花の表情はずいぶんと強張っており、静は胸騒ぎがした。そして春花の口から「彼氏が……」と出てきたことに衝撃を受けた。「あはは、もう、困っちゃうよね。束縛なんてさ」何でもないように笑う春花は、音大に行けなくなったと告白した音楽室での出来事を彷彿とさせる。そんな春花を見たかったわけじゃない。幸せそうに笑う、天使みたいな春花を求めていた。五年も経てば環境も考え方も変わるだろう。それを差し引いたとしても、全然幸せそうじゃない春花の姿に静は激しく後悔した。なぜあの時告白しなかったのだろう、と。春花には笑っていてほしいのに。 俺のピアノで癒されるならいくら
last updateHuling Na-update : 2025-04-01
Magbasa pa

静 05

◇甘く蕩けるようなキスは二人の失っていた時間を取り戻すかのように心に沁みて、そっと唇が離れた後も余韻が残っている。お互い顔を見合わせると、照れながらふふふと笑った。「ずっと好きだったんだ。だから春花に彼氏がいてどうしようかと思った」「私もずっと好きだったの。でも桐谷くんは雲の上の人だからあきらめてたの」「そんないいものじゃないよ」「ううん。すごいんだよ。……桐谷くんこそ彼女は?」「彼女?」「フルート奏者の人。芸能ニュースで見たよ」「ああ……。打ち上げがあって帰り一緒に帰っただけ。彼女でもなんでもないよ」「そっか」春花は胸を撫で下ろした。ずっとモヤモヤしていた気持ちは、静自身の言葉によって霧が晴れていくようにすっと引いていく。自分はまだここにいていいんだと安堵した。「だからさ、春花は出ていかなくていい。一緒に暮らそう」まるで心を見透かしたような静の発言は、春花の心臓をドキッと高鳴らせる。夢を見ているかのような展開に信じられない気持ちでいっぱいになり、春花は静に訴えた。「私の頬っぺたつねって」「ん? こう?」「……痛い」「えっ、ごめんっ! そんな強くつねったつもりじゃ……ごめん、大丈夫?」言われるがまま春花の頬をつねった静は、慌てて手を引っ込める。オロオロとし出す静に、春花は声を上げて笑った。「あははっ! 痛いから夢じゃないね!」「夢じゃないよ。驚かせるなよ」静は困ったように笑い、優しく春花の頬を撫でる。温かくて優しい手つきに、春花はうっとりと身を委ねた。「もう一回キスしていい?」「うん」甘く微笑んだ静に胸をときめかせながら、春花はゆっくりと目を閉じた。窓から差す木漏れ日は暖かく二人を包んでいるようだった。
last updateHuling Na-update : 2025-04-02
Magbasa pa
PREV
1234
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status