◆◆◆◆◆ 王宮の広間に、ルイスと王だけがいた。 王宮の奥深くにあるこの謁見の間は、普段よりも静かで、外の喧騒がまるで別世界のようだった。 ルイスは父である王を見つめながら、真剣な口調で進言した。 「魔王領の調査と開拓を正式に進めたいと考えています。」 王は微かに目を細める。 「魔王の領地をか……?」 「はい。魔王は討たれました。しかし、あの地には未だに強い魔力が残り、人々が踏み入ることができません。」 ルイスは王へと一歩進み出て、続けた。 「王国の領土として、魔王領を無秩序なまま放置すれば、他国の介入を許すことになります。」 王はゆっくりと指を組み、考え込んだ。 しばらくの沈黙の後、低く口を開く。 「……確かに、お前の言う通りだ。」 「では、許可を?」 「許可しよう。」 ルイスの胸に安堵が広がる。しかし、王の次の言葉が、その余韻を一瞬で断ち切った。 「だが、お前にはもう一つ、密かに果たすべき任務がある。」 王は横に控えていた侍従に合図を送り、小さな黒い箱を差し出させた。 「……これは?」 王は箱を開いた。 中には赤い宝石の指輪が収められていた。 透き通るような、深紅の輝き。 それはただの装飾品にも見えたが、どこか不吉な雰囲気を感じさせる。
Terakhir Diperbarui : 2025-02-26 Baca selengkapnya