◆◆◆◆◆ 魔王討伐の一行が、ついに王城へ帰還した。 街は歓喜に包まれ、人々は勇者たちを称える歓声を上げた。王城の大広間では、すでに祝勝の宴が始まっていた。 大広間の中央―― 王子は誇らしげに立ち、魔王の小指を王へ捧げた。 「陛下、これこそが、私が魔王を討伐した証です!」 硬化を免れた魔王の小指。それを王の前に掲げた王子の姿は、どこまでも堂々としていた。 「おお……!」 王は感嘆の声を漏らし、貴族たちは口々に賞賛の言葉を述べた。 「王子様こそ、この国の希望だ!」 「素晴らしい……!」 王子の名声は、一夜にして確固たるものとなった。 そんな中、彼を支えた聖女として、ひとりの少女が王子の横に並び立つ。 「魔王討伐において、私を支えてくれたのはこの聖女だ!」 少女は頬を赤らめ、恥ずかしそうに微笑んだ。 彼女の名が呼ばれるたび、人々の喝采は大きくなる。 その光景を目の当たりにしながら、遥はある異変に気がついた。 ――コナリーがいない。 どれだけ目を凝らしても、討伐隊の中に彼の姿はなかった。 遥は、人々の間をかき分けるようにして王子のもとへ向かった。 「王子……」
Last Updated : 2025-02-14 Read more