彼は足を踏み出し、人々の後を追おうとした。しかし、高橋菫が彼の手を引いて、涙で満ちた目で首を振った。「南央、行かないで。今日は私たちの結婚式の日なのに、こんなに多くの親戚や友人がいるのよ。もし私を置いていったら、私は恥をかくよ」月島南央は彼女の手を握りしめた。「ちょっとだけ見てくるだけだよ。時佳はいつも冷静な人間だから、今日は急にこんなことをして、すごく心配なんだ」「じゃあ、私は?私のことを心配してくれないの?私、もうすぐ死ぬんだ!」高橋は激しく咳き込みながら言った。月島は彼女を一瞥することなく、急いで行った。「ごめん、必ず見に行く」万が一、清水時佳が本当に他人と結婚したら、彼は一生後悔するだろうと思った。「私も行く!」高橋は月島と共にステージを下り、会場の人々も、司会者もその場に立ち尽くしていて、どうすればいいかわからなかった。新郎と新婦が同時に消えてしまうなんて、何事だ?一方、清水の結婚式の時が迫っているが、肝心の新郎はまだ現れなかった。榊原家の人たちは謝り続け、「すぐに来る」と言っていたが、榊原北都はずっと来なかった。そのため、会場の人々はざわつき始めた。「月島が言った通り、この結婚式はただの茶番劇なのか?清水が月島を刺激するためにわざとこんなことをしてるんじゃないか?」「一体何をしてるんだ?これでどちらの式を参加すればいいんだ?」「やっぱり月島の方に行こうかな。こちらには新郎もいないし」元々、高橋は心配していた。もし清水が本当に他の男と結婚したら、月島がそのショックで彼女を取り戻し、結婚を止めてしまうのではないかと。しかし、今人々が言うように、新郎が来ていないと聞いて、高橋はますます心配がなくなり、大いに騒いでやろうと思った。「清水さん、こんなことをしても意味がないでしょ!」高橋は清水のところに歩み寄り、わざとらしく言った。「こんな大騒ぎして、みんなに南央とあなたを笑わせたでしょう。何がしたいの?」月島は新郎が見当たらないのを見て、少し安心した。彼は高橋の言うことが正しいと思った。この件がこんなに大きくなってしまったから、自分の面子は完全に潰れてしまった。「時佳、もうやめてくれ。早くステージから降りて、家で待っててくれ」清水は冷笑を浮かべて言った。「家で待って?月島南
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