「え?待ったって......私、来るのに10分もかかってないんですけど......」でも今はそんなことを気にしている場合じゃない。すぐさま本題に入った。「どうすれば......助かるんでしょうか」霊能者は冷静に説明を始めた。「あの五つの道が交わる路まで箒を持って行ってください。風水では『陰陽の道』と呼ばれる場所です。昼は人間が、夜は死者が通る。そこには長年の間に陰気の渦が形成され、ただ歩くだけでも魂を奪われかねない。ましてや、あなたは向こうの物を持ち去ったのですから」霊能者は、箒に私の服を掛けて交差点まで行き、失った魂を呼び戻すよう指示した。出発前に、太い赤い紐で両手を縛られる。言われた通り目を閉じて歩き出そうとした瞬間──激痛が頭を貫いた。生温かい液体が首筋を這い落ちる。かろうじて振り返ると、見覚えのある人影がちらついて見えただけ。意識が遠のいていき、そのまま闇の中へ落ちていった。
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