目を開けると、義母が笑顔で親戚たちを迎えている姿が目に飛び込んできた。その瞬間、込み上げる怒りで胸が熱くなった。これが夢か現実かを考える暇もなく、私は人混みに紛れて義母の部屋へ向かった。そして、例の金のブレスレットを探し始めた。テーブルの上には、赤い包装のジュエリーボックスが二つ並んでいた。確認すると、片方のロゴがかすれていた。やっぱり、義母は不公平だ。迷うことなく、私は二つのブレスレットを入れ替え、何事もなかったように部屋を出て客人たちのもとへ戻った。これからが見ものだ。私は娘の桜子を抱きしめ、その小さな顔をじっと見つめた。何度も夢の中で触れたくてたまらなかった顔だった。胸の奥に込み上げる切なさをこらえながら、優しく声をかけてあやした。しばらくして、義母が一度部屋に戻り、再び赤いジュエリーボックスを手に戻ってきた。満面の笑みでそれを掲げ、人々に見せながら、前世で耳にしたあの言葉を繰り返した。「可愛い孫娘と孫にひとつずつね。月音、私がえこひいきしてるなんて言わないでよ」義母のこの一言は、明らかに私を意識したものだった。小姑への配慮を示しつつ、私をけん制する意図が透けて見えた。しかし、今回はただ微笑むだけにとどめ、前世のようにその場で表情を曇らせることはしなかった。前世ではこの言葉に少し不満を感じたものの、お宮参りの宴ということもあって我慢していた。義母が持つ重たそうな金のブレスレットを見て、私は彼女が桜子を本当に大切に思ってくれているのだと信じ込んでしまった。ところが、そのブレスレットを桜子に着けてから30分もしないうちに、彼女の腕は赤く腫れ上がり、泣き声が止まらなくなった。慌ててブレスレットを外そうとしたところ、義母がそれを見て声を荒げ、私を責め立てた。「何をしてるの?まさか私のブレスレットが悪いと言いたいの?せっかくの善意を踏みにじるなんて、どういうつもり?ちゃんと説明しなさいよ!これは子どもの体質の問題でしょ?ブレスレットを外すなんて、私に何か文句があるの?」私は桜子のことだけが頭にあり、義母の言葉に構っている余裕はなかった。それでも義母は私の腕をしっかり掴んで放さず、動きを阻まれた。そのせいで桜子は治療のタイミングを逃し、私の腕の中で静かに息を引き取ってしまった。
Last Updated : 2024-12-30 Read more