一日の疲れを終え、腰をトントンと叩きながら手を洗い、着替えて家に帰る準備をする。幸いなことに、病院から母が借りてくれた家まではほんの数分の距離だ。疲れ切った体をすぐに休められるのはありがたい。 何度目になるかわからない喧嘩のせいで、橘悠真(たちばな ゆうま)にまたブロックされてしまった。スマホの「送信できませんでした」の横にある赤い感嘆符を見つめ、ため息をつく。 付き合い始めて4年。 最初の1年は、お互いに密接で争いなんてなかった。 2年目になると、小さな意見の食い違いが顔を出し始めた。 そして3年目、4年目では、取るに足らないことで関係がギクシャクし、私たちの絆を蝕んでいった。 無数の喧嘩をしては仲直りし、また喧嘩しては元に戻る……その繰り返し。 喧嘩といっても、実際にはほとんど彼が一方的に怒っているだけだった。 私は年上だからと、彼を気遣い、できるだけ譲るようにしていた。 どうしても我慢できないときは病院に逃げ込んで、目の前の問題から距離を取ることで冷静になろうとした。 今回の喧嘩のきっかけは、彼のパジャマを乾かしてアイロンがけするのを忘れたことだった。 「最近、本当に忙しいの。新しいのを買えばいいじゃない」と、私は穏やかに説明した。 「新しいのだって、結局洗わないと着られないでしょ? 何回も頼んだのに、約束してくれたのに、なんで守らないんだよ?」 悠真の怒りが立て続けに爆発し、私は言葉を失う。彼がその件について繰り返し言っていたのは覚えているが、それを真剣に受け止めていなかった自分が悔やまれる。 「透子、君は僕のことを本気で考えたことがあるのか? どうせ僕なんて、ずっと普通の弟みたいな存在なんだろう? それに、毎回喧嘩した後、僕が君をなだめるなんて、惨めすぎるよな」 悠真は自嘲気味に笑みを浮かべると、私は無性に不安になった。手のひらを強く握りしめ、心が折れないように必死で堪える。 元々、問題に向き合うのが苦手な性格の私は、彼の言葉に対して説明するよりも、ただ逃げたくなる。 「そんなことない!」と震える手で彼を引き留めようとするも、悠真は私の手を冷たくかわし、ドアを乱暴に閉めて出て行った。「夏休みのせいで......入退院する患者がめっちゃ増えて......本当にただ忙しかっ
Huling Na-update : 2024-12-02 Magbasa pa