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君がいない季節を超えて のすべてのチャプター: チャプター 11 - チャプター 12

12 チャプター

第11話

一度誰かを意識すると、不思議とその人に何度も会うものだ。 彼女もそうだった。 いつも一人でいるか、せいぜい数人の友人と一緒にいる彼女。 変わらないのは、どんな時でも淡々としたその表情だ。 ある日、教授が急用で、隣のクラスの授業と合同になったことがあった。 大教室に集められた学生たちの中に、また彼女の姿を見つけた。 その時初めて知った。 彼女は同じ学年で、隣のクラスだったのだ。 だけど、彼女は私のことを覚えていなかった。 あの日、トレーをひっくり返してしまった時のことも、全く。 それが何とももどかしかった。 正直、私はこれまで異性に困ったことなんてない。 周りにはいつだって誰かがいる。 でも、彼女に対して自分が抱いている感情が一時的な興味なのか、それとも本気なのかが分からなかった。 彼女に惹かれる理由が「好奇心」なのか、「恋」なのか――それすらも曖昧だった。 その後、実習や研修で忙しくなり、彼女と会うこともなくなった。 そして、少しずつ彼女への思いも薄れていった。 それでも時々、あの時もっと勇気を出していれば――そんな後悔が胸をよぎることもあった。 だからこそ、もう一度彼女に会えた時は本当に驚いた。 ドアの向こうに立つ彼女。 あの淡々とした表情は変わらないけれど、目元にはわずかな哀しみが宿っている。 こんな偶然があるなんて。 この研修に参加して、本当に良かったと思った。 「Hello,I'm very hungry and can't stand Western food. Can I borrow some food from you?」 (こんにちは。お腹が空いて西洋料理が耐えられないの。何か食べ物を分けてもらえない?) 「俺、日本人だから日本料理が少し作れるよ。よかったら一緒に食べる?」 もちろん、彼女は私のことを覚えていない。 でも、それでいい。最初からやり直せばいいだけだ。 お盆の夜、わざと彼女を誘い、一緒に酒を飲んだ。 ただ、彼女の酒量があまりに低いのには驚いた。 たった二杯で酔いつぶれるなんて……まるでお酒を飲んだことがない人みたいだ。 彼女が夢の中でつぶやいた言葉を聞いて、さらに驚いた。 「悠真……悠真……」 その名前を聞
last update最終更新日 : 2024-12-02
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第12話

悠真サイドストーリー 今日もまた、お姉ちゃんと喧嘩してしまった。 いつも通り、彼女は一言も僕をなだめようとはしない。 僕たちの喧嘩は、いつも僕が一方的に怒りをぶつけるだけだ。 お姉ちゃんは、僕の言葉をまるで気にしていないように見える。 だけど、喧嘩をすることでようやく感じられるんだ。 彼女が僕の隣にいること。彼女が僕のものだってことを。 喧嘩が終わると、結局また僕から謝りに行く。 彼女を失うのが怖いからだ。 今回もいつも通り、MINEで歩み寄ろうと思ったのに、彼女は完全に無視してきた。 半日待っても既読がつかないなんて、ひどすぎる! 怒りのあまり、彼女をブロックしてしまった。 だけど、ブロックした瞬間から後悔が押し寄せた。 もしかして、彼女が僕に何か伝えようとしていたのを逃してしまったのでは? だから翌日、こっそり彼女をブロックリストから外した。 これで、彼女が何かメッセージをくれたら、ちゃんと見られる。 でも、どれだけ待っても彼女からの返信はなかった。 10日以上経っても、一言も。 試しに卒業写真を送ってみた。 僕のカッコいい姿を見れば、少しは僕のことを思い出してくれるかもしれない。 それだけじゃ足りないと思って、こう付け加えた。 「この中で、誰が一番可愛いと思う?」 彼女に危機感を与えたかったのだ。 「僕を放っておくと、他の子を好きになっちゃうよ」って。 でも彼女は、ただ淡々とこう聞いてきただけだった。 「新しいターゲットってこと?」 久しぶりにメッセージを交わしたのに、そんなそっけない反応…… 僕は意地になって「そうだよ」と返した。 僕だって需要があるんだ。彼女だけが僕を軽く見ているだけなんだって、証明したかった。 再び彼女と顔を合わせたのは、卒業祝いの飲み会だった。 わざと彼女の病院の近くにあるバーを選んだのだ。偶然を装って会えるかもしれないと思って。 だけど、僕がいない間、彼女は随分楽しそうにやっているようだった。 酒を飲んで笑っている。あんなに酒を飲まない人だったのに。 僕がいない方がそんなに楽しいのか? 彼女の気を引こうとして、わざと瑠奈と親密な様子を見せた。 瑠奈はいい演技をしてくれた。僕が頼んで少し多めにお金を
last update最終更新日 : 2024-12-02
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